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偉大なる根粒細菌

豆科の植物の根には丸い粒のようなものがたくさん見られます。

これは細菌が棲むためのコロニー。

植物は自分が生きていくために様々な菌類を味方につけています。

植物が生きていくためには、窒素が欠かせません。

窒素が葉や茎、果実、種子を構成するためのタンパク質やアミノ酸などの原料になります。

そうは言っても、空気中にある窒素分子(N2)はとても安定した三重結合の状態で存在しています。

「安定している」とは、それだけ化学変化を起こしにくいということ。

例えば、酸素分子(O2)は金属などあらゆるものと結びつきやすく、すぐに「酸化」して化学変化を起こします。

これは酸素は二重結合なので、窒素よりは不安定な状態だからなのです。

ところで「結合」とは、外郭にある電子の共有数のことで、2つで一対=安定した状態になります。

そして窒素は単体(N)だと、対にならない3つの電子が存在した状態で、とても不安定なのです。(これは磁石に例えると、S極かN極のどちらか一方しかない状態では不安定になることと一緒です。)

そこで、もうひとつのNと結びつくことで電子を共有させ、N2分子として空気中に安定し存在しています。

イメージでいえば、「鍵が3重にかかったような状況」なので、空気中の窒素分子はとても強固。簡単には切り離せないのです。

化学肥料の製造行程でも、高温高圧の特殊な環境下で窒素分子を単体の窒素(N)に変化させ、植物が直接吸収できるものにしています。

そんな強固な窒素分子を根粒細菌は簡単に分離してしまう。

まさに植物にとっては有難い細菌なんです。

分離した窒素はアンモニアに変わり、他の菌類によってアミノ酸やタンパク質になっていきます。

その代わりに菌たちは、植物が光合成で作った糖類をご馳走としてもらい、完璧な共生関係が成り立っているんです。

目には見えないけど、根粒細菌をはじめ、微生物の力って偉大ですね。

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