東村山で夢みる給食
2025年1月19日(日)、東京都東村山市の東村山サンパルネで、映画『夢みる給食』の上映会がありました。
主催されたのは、東村山で活動している「たねをまく」さんと「ひとの和」さん。企画をされた伊藤結美子さんは、保育園で働き日々子どもと触れ合うお仕事をされながら、食や農、環境についてもっと知ろう、勉強しようと色々な映画の上映会や勉強会を開催されてきたそうで、今回も、食についてもっとみんなで知って考えるきっかけとしてほしいと思ったとのこと。
私は今回の上映会のアフタートークで話す3人のうちの1人だったので、事前に何回か打ち合わせしていたのですが、この企画に関わるスタッフみんなが温かくて、みんながHAPPYな気持ちを持って帰ることができる上映会にしたい、そして何かアクションにつながるきっかけとなるものにしたい、という熱さもありました。
その企画側の方々の熱意と地道な宣伝により、100人のホール(午前)、30人の会議室(午前・午後)はほぼ満員。多くの方が東村山市の方でした。
映画『夢みる給食』は、やっぱりいいですね。オオタ・ヴィン監督の作品は、「いただきます」や「夢みる小学校」などいくつも見ていますが、給食の映画は、これでもかぁ!というくらい、オーガニック給食への気合いが詰まっています。医師による科学的な説明も、夢みる現場の方々(保育園の園長、市長、公務員、農家、農協職員、かあちゃん、市民などなど)のリアルストーリーもあり、都市でも農村でも、自校式でもセンター方式でも、保育園でも公立学校でも、どこでもできるんだという実例もあり、何より元気になるパワーと子どもたちの笑顔が詰まっています。
個人的には、私は夢みるかあちゃんで、アレルギーとアトピーを抱える娘がいるので、千葉県いすみ市の夢みるかあちゃん、有機野菜を育てている近藤立子さんの言葉が刺さりました。
好きなシーンや言葉はたくさんありますが、最後の鮫田さん(千葉県いすみ市役所の公務員)の台詞も好きです。
これは、鮫田さんが、亡くなった稲葉光國先生(民間稲作研究所)のことを念頭に言っている言葉だと思いますが、私には、鮫田さん自身もその「志を持っている人」のように映ります。かっこいい。
実際に映画を見て、感じてもらいたいなと思います。
映画の後は、3人のトーク。
○菅野奈穂(オーガニック給食研究家 ←私)
○川瀬悟(有機農家(オーガニックファーム所沢農人))
○手塚幸夫(房総野生生物研究所)
ファシリテーターは、隅屋輝佳(私の大親友)でした。
私からは、オーガニック給食の意義、全国的な広がりや動き、まず地産地消から取り組み始めることが大事だということ、流通の流れが違うこと、子どもたちの食育・エディブル教育にも良いこと、東村山市も地場産給食に取り組み始めていることなどをお話しました。
東村山は、米はほぼありませんが、野菜については、キャベツやじゃがいも、小松菜、長ネギなどがあり、年に数回「地場野菜の日」として市内の給食に提供されています。なので、農家さんや、市の産業振興課、学務課、栄養士さんたちの連携体制ができているように見えます。市の計画などでも地産地消・給食への市内産野菜提供推進もしっかり書かれています。この流れを「いいね!」と言って市民が応援して、一歩進んだその先に、オーガニック給食があるといいなと思います。
東村山市のお隣、埼玉県所沢市の有機農家である川瀬さんは、生態学を学んで、サラリーマンした後に有機農家に転身した話、所沢で給食に有機野菜を提供している話、環境のためにできることをいろんな人たちと実践している話をしてくれました。すぐ隣の市の川瀬さんの実践は、東村山にも良い風を吹かせそう♪
川瀬さんは、昨年一緒に吉田俊道さんの講演会をやったりした同志なので、同じ壇上に立っていることが、感慨深かったです。
最後に、千葉県いすみ市からはるばる来てくれた手塚幸夫さんからのお話。
いすみ市で給食の有機米100%を実現した背景に何があったのかを紹介していただきました。市民の声、市長の決断、地道な研修、下支えとなった文化など。
ご自身が、教育ファームで、「食育(有機給食)」「農業体験(有機稲作)」「環境教育(生きもの調査)」を一体的に取り組まれ、子どもたちに直接伝えてきた故の深みがありました。
印象に残ったのは、この言葉です。
有機は草と虫との戦いと言いますが、よくいろんな農家さんが「害虫も他の虫が食べてくれるから大丈夫」とも言います。数字にすると、とてもわかりやすい。生物多様性によって害虫を減らして、安定的に作物作りをしていくことを「総合的生物多様性管理」と呼ぶそうです。
農林水産省は「みどりの食料システム戦略」で2050年の耕地面積の25%を有機にするという目標数値を掲げています。手塚さんは、「自分は生きてないと思うけど」と笑いながら、「答えを出してくれるのは、有機給食を食べた子どもたち」だと語りました。自分たちがやった結果は、子どもの世代に出てくると。
手塚さんのお話、まだまだ聞いていたかった。。。時間はあっという間でした。
ファシリテーターの隅屋輝佳。学生時代に共にパレスチナ問題を学び、その後、アフリカでも働いていた彼女が、今は地元の東村山に戻り、活動しています。オーガニック給食など門外漢だったはずなのに、この日のために必要な文献はしっかり読み込み、ばっちりと完璧なファシリテーションをこなしていました。どんな人の言葉もきちんと受け止めてリフレクションできる才能は昔からであり、打ち合わせの時もずっとそうなのだけど、我が親友ながらあっぱれ!
今回の上映会は、本当にいろんなところまで、企画スタッフたちの想いが散りばめられていて素敵でした。なんと言っても、チケットは手作り! しかも、できるだけ捨てられないようにしたいとの思いから、牛乳パックから紙をすいて、そしてしおりとして使えるようなデザインに。こんなチケット見たことない!気合い入りすぎでしょー、文屋さん💕 捨てられません。
たくさんの方々の熱い想いが響き合った時間となりました。
呼んでいただき、ありがとうございました。
これからの東村山がとても楽しみです!