第2回全国オーガニック給食フォーラム大成功!
2024年11月8日、茨城県常陸大宮市で第2回全国オーガニック給食フォーラムが開催されました。私は運営委員の一人として、メダカのがっこうが委託を受けて、主に資料集とチラシとロゴの作成担当として携わらせてもらいました。
オーガニック給食を目指す全国的なフォーラムは、2022年の第1回目は東京・中野での開催で1,200名の会場が満席となったけれど、今年は初めての東京以外での開催。オンライン参加やサテライト参加もある中で、遠路はるばる茨城県の常陸大宮市まで、どれくらいの人が参加してくれるのか、ドキドキでしたが、740人以上の会場申し込みがあり、会場は熱気に包まれていました。
今年のテーマは、「もっと広がれ!オーガニック給食」、サブテーマは「JAも一緒に給食を変えよう」でした。
JAは地域農業の中核であり、給食への有機農産物の生産流通には大事な存在。そのJAの大きな力が、オーガニック給食拡大には絶対に必要。一方で、JAを強調しすぎると、これまで何十年も有機農業を進めてきたJAではない有機農業の人たちが置いていかれたような気持ちになるのでは、各地で活動しているママたちには遠い話と捉えられるのでは、オーガニックはハードルが高いからJAは引いてしまって来ないのではないか、運営委員会の中ではいろんな意見と懸念が出ていました。
それでも、常陸大宮市という行政とJA常陸というJAがタッグを組んでる常陸大宮は、このメッセージの強力な発信基地になる。常陸大宮のフォーラムだからこそできるテーマ。
事務局の常陸大宮市やJA茨城県中央会やJA常陸、オーガニック給食マップなどなど、たくさんの人の働きかけのおかげで、多くのJA関係者の参加がありました。最後に壇上で各地から駆けつけたJAの組合長12人が挨拶した場面は、感慨深かったです。
「農林水産省のみどりの食料システムができたおかげで、行政は手のひら返しをした。自治体の脱ネオニコへの取組方が前向きに変わり、とてもやりやすくなった。このみどり戦略は我々の磨き方次第で石にも金にもなる。」とJA東とくしまの西田参与。
JAぎふの岩佐組合長は、「JAぎふでは、地産地消ではなく地消地産を大事にしている。消費者が求める基準を作ってもらい、我々はそれに沿って生産する。まずはネオニコチノイド系農薬と、除草剤グリホサードは使わないことを決めた。」と語りました。
主催者でもあるJA常陸の秋山組合長は、「国に対して、オーガニック給食30%目標を明記することを期待する。JAはそれを生産で支える。JAは転換する時代の抵抗勢力になってはいけない」と力強く締めました。
このフォーラムを報じた日本農業新聞のWEB版での見出しは、
「JAも一緒に給食を変えよう」オーガニック給食フォーラム
とババンっと出て、メッセージが全国に伝わる意義深いフォーラムになったなとしみじみとしました。
と、いきなり最後のJAの登壇への感慨を書いてしまいましたが。
東京大学の鈴木宣弘教授の基調講演は、グローバル企業とアメリカに押されて基準を緩めて日本国民を守れないなんてダメだ、しっかり見て知って、食の安全を守る声を上げるんだ、という強いメッセージを伝えるものでした。
国際ジャーナリストの堤未果さんは、お話を聞くのは初めてでしたが、文章とは全然違い、語り口はとても優しさに溢れていて、年中いつでもどこでも食べられるグローバルで画一的な食よりも、今この瞬間を生きる喜び、季節や旬、ローカルな食を大事にしよう、全ての命を慈しむ感性や、鈴虫の声を、害虫のノイズではなく音色として捉えられる日本人の感性を大事に捉え直そう、子どもたちに良い食を手渡そうというお話は、とても腑に落ちました。
JA茨城県中央会の萩谷さんプレゼンツによる常陸大宮市のオーガニック給食オールスターズの紹介はとても良くて、市役所も給食センターも農家もそれぞれの立場から前向きに「子どもたちのために」を合言葉に、100%オーガニック給食を目指していることがよく伝わるポジティヴパワー溢れるものでした。
島村菜津さんプレゼンツのパネルディスカッションは、「子どもたちを守り、地方を輝かせる環境時代の給食とは」をテーマに、女性を集結したもの。JAや行政の話が男性ばかりだったところから一点、壇上は全員女性に。
「できる人を大事なところに充てる、適材適所が成功の鍵」「うちの給食が日本一と誰もが思えたら日本はもっと良くなる」by 勝野美江さん(農林水産省大臣官房審議官(兼経営局)
「カリスマは必要ない、コミュニティの3.5%が参加した運動、そして非暴力の運動は成功する。共生社会を作ることを目指して取り組む」by 野々山理恵子さん(パルシステム生協連合会前副理事長)
「体験を通した学びが重要とよく言われるが、給食は毎日できる学び。全国の母ちゃんたちのマーケットは大きい。母ちゃんたち皆、良い買い物しよう!」by 米山立子さん(白山環境給食まちづくり協議会代表)
「担い手不足が大きな問題。田んぼや畑のことを子どもたちに伝えたい。あさごはんのたねという絵本で伝える活動をしている。農業の楽しさを伝えたい」by 横田祥さん(有限会社横田農場)
最後に島村さんが、これからがこの運動の正念場。農業問題は消費者問題でもある。消費者を育てることが大事と語りました。
島村さんは、常陸大宮市の取組について素敵なレポートを書かれているのですが、これは「2年目の秋の稲刈りが終わるまで記事は書けないと思った。うまくいきますようにと心から祈る思いで見守っていた」と語りました。
島村さんが「ここから日本が変わる」と言った常陸大宮市の軌跡は、是非レポートをお読みになってください。
会場には、いろんな方が来ていました。地方議会議員が多いと感じましたが、活動するママたち、各地のJA職員、自治体職員、農家、市民団体、中には学生の姿も。取り組んでいる人、取り組もうと考えている人、みんなそれぞれの地域に悩み、何かヒントを得たいとフォーラムに集まって、そしてそれぞれが何かしら前向きなエネルギーを胸に受け取ったような感じがしました。
本当に、このフォーラムを引き受けて、実現した常陸大宮市長はじめ市役所の農林振興課の皆様、素晴らしかったです。お疲れ様でした。
次回の第3回目は、栃木県小山市。閉会挨拶で小山市の浅野市長は、「2026年のフォーラムの開催は小山市です。コウノトリとの共生を目指し、4.4haから始めた有機栽培。100%オーガニックを目指すためには60haが必要。2年後には60haを実現して皆様をお迎えしたい」と力強い約束を宣言しました。
第3回目が開催される2年後、このオーガニック給食はどこまで日本で広がっているのか、これからがとても楽しみでワクワクしています。
このフォーラムのこと、そしてオーガニック給食の今がわかる資料集、販売中です。資料集については、また改めて書きたいと思います。