一場面物語 途中
ここは途中も途中の駅。
私は一人線路に足を投げ出すようにして腰掛ける。
「ねぇ、一緒に行こう!世界は広いし、ここよりもっと素敵な場所が沢山あるよ!!こんなとこよりいいよ!!」
君は何にもわかってないなぁ。
私はにこやかに微笑んで立ち上がる。
列車がやって来て、扉が開いた。
タイミングを見て君を押し込んだ。
『二度と来んな』
笑顔で手を振った。
ここは途中も途中の駅。
私は一人線路に足を投げ出すようにして腰掛ける。
「ここは落ち着く。ここに留まろうかな…」
ご勝手にどうぞ。
「あ、そこのひび割れ…直したほうがいいんじゃない?それに、雑草も抜いたほうがいいし、ベンチなんかあると親切だと思うんだよね!!」
君は何もわかってないなぁ。
私はにこやかに微笑んで立ち上がる。
列車がやって来て、扉が開いた。
タイミングを見て君を押し込んだ。
『どっか遠くでやれ』
笑顔で手を振った。
ここは途中も途中の駅。
私は一人線路に足を投げ出すようにして腰掛ける。
「連れては…いけないんだ?」
まぁ、どうみてもね。
「ここに留まるのは?」
君が消失するのが許せるなら。
「でもさ、消失したら」
そう。私は君を嫌いになるよね。
「じゃあ、さよならだね」
君はわかってなくないけど、やっぱり、わかってないなぁ。
私はにこやかに微笑んで立ち上がる。
列車がやって来て、扉が開いた。
タイミングを見て君を押し込んだ。
『ばーか』
笑顔で手を振った。
ここは途中も途中の駅。
始まりがあって
終わりがある。
そんな線路の途中も途中。
素敵な列車が目の前を
通り過ぎて行くときに
"始まりのわくわくを忘れませんように"
"険しい道も進んでいけますように"
"終着がハッピーエンドでありますように"
私はそんな事をおもっている。
ここは途中も途中の駅。
私は一人線路に足を投げ出すようにして腰掛ける。
「だいぶ、おまたせ?」
彗星くらいまたせるじゃん。
『そういう、夢をみたんだ』
一人呟き、一人笑う。
そうなったら、旅に出よう。
そう決めている。
それまでは、私は途中をやっている。
列車が来たら相変わらず、タイミングを見て押し込んで。
笑顔で手を振る私がいる。
サポート設定出来てるのかしら?出来ていたとして、サポートしてもらえたら、明日も生きていけると思います。その明日に何かをつくりたいなぁ。