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いつも忘れる早春賦
春は名のみの風の寒さや
谷の 鴬 歌は思えど
時にあらずと声も立てず
時にあらずと声も立てず
誰しも一度は耳にしたことがあるのではないだろうか。
歌詞は朧げでも、その旋律を聴けば「春」を想わせる童謡の名前は「早春賦」という。
幼少から歌が好きだった。
眠る時は何かしら音楽をかけてもらって寝ていた。
その中には童謡集のカセットテープもあって、繰り返し流れる歌を覚えて歌っていた。
日本の童謡は春の歌が多いと思っている。
調べたわけではないが、体感として多いと思っている。
春の童謡といえば、私がよく口ずさむのは「朧月夜」である。
春の霞に柔らかなお月様の光が滲む山間は、菜の花の香りや、新しい草の香りで満ちている。
町中に産まれた小さな私は見たこともないはずなのに、懐かしい故郷を思うようにその風景を想像できていたので、不思議。
さて。
そんな私だが、どうしても毎度、歌詞も、名前も忘れがちな歌がある。
冒頭で紹介した「早春賦」である。
有名な童謡で、春を待ち侘びる歌である。
何度も繰り返し聴いてきたのに
どうしても「春のウグイス〜♪ルルル〜ルルルル〜……あれこの歌、歌詞なんだっけ?題名なんだっけ?」となりがち。
因みに、「春の鶯」という歌詞はない。「谷の鶯」である。
なぜだ。
「春が来た」も「ちょうちょ」も「春の小川」もしっかり覚えて歌ってきたのに「早春賦」だけが飛んでしまう。
大人の私は考える。
そして思い出す。
柔らかな白いガーゼ。
パイルの柔らかな布団カバー。
ゴウゴウと音のする古びたエアコン。
暖かな春と冬の間の光。
小さな妹がベビーベットですやすやと眠る時、小さく控えめに流れる「早春賦」
……あ。
早春賦は童謡にしては厳かで、穏やかな気持ちになる。1曲を気に入りリピート再生していたこともあるので、たぶん、早春賦は姉妹とも一番寝付きが良かったのだろう。
私達は、早春賦の壮大な長野県安曇野の早春の風景に揺られ抱かれ眠っていたのだ。
だから覚えていないのだろう。
しかし、眠る幼子の耳に届くかすかな旋律と大好きな生き物(ウグイス)だけは、しっかり刻まれたというわけだ。
そうか、そうか。
私はふむふむしながら、忘れない為にnoteに記事を書き出した。
これで、きっとこれからの春は、のびのびと早春賦を歌いだせることだろう。
休憩終わり。
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