ハッピーハロウィンのハッピーに疑問あれどハッピーな事は素晴らしい

「お菓子って美味しい?」

美味しいんじゃないかな。

「魂より?」


私は少しだけ返答を考えた。
魂ってどんな味なんだろう?


「ね、美味しい?」

不味い魂より信用できるかな。


私が用意するお菓子は、企業や職人さんの努力により、一定の味が保証されている。
たぶん、他の人も美味しいお菓子を用意してくれている。
魂は、ほら、個性的だから。ご家庭の味だから。
多分、差が激しいはず。私はそう頭で考えながら、答えた。


「ふーん」

やっぱり魂のが食べたい……かな?

「魂はお腹はいっぱいになるけど」

けど?

「それなりに大変だから美味しい魂しか食べたくない」

なるほど。

「でも当たり外れもあるし、美味しい魂は邪魔が多いから」

邪魔?

「そう、邪魔。美味しいものは苦労しないと手に入らないの」

そうなんだ。
でもさ、お菓子なら簡単だよ!


私は自信満々の態度を取る。
そう、堂々とすることは信用を勝ち得る。
たとえ、それが人以外でも。


「そうなの?」

うん。今日なら特にね!

「そうなの?」

今日はハロウィンだからね。
そのまま出て、トリック・オア・トリートって言うだけでいいよ!

「トリック・オア・トリート!」

そうそう。
いい?玄関までだよ。
境界は越えちゃ駄目だからね。

「どうして?」

入っていいよって言われてないから。

「入っていいよって言われたら入ってもいい?」

それはね。だって、そう言うのなら。


私は、大きく頷いてそう言った。

だいたいトリック・オア・トリートと声を上げた時点で家の中にいらっしゃいとは言われずハッピーハロウィンとお菓子を手渡されることだろう。
……物好きは、わかってて呼び込むかもしれないが、そこまで世話を焼いてやる義理もない。


私はね、君たちも私達もハッピーならいいわけさ。

「ハッピー?」

楽しいってことだよ。

「楽しいことはだいすきっ」

それは良かった。
さぁ、じゃ、人の子に紛れて行っておいで。
素敵なハロウィンになりますように!!

「わーいっ!!」


人ならざるもの達が楽しそうに混ざっていく様を私はにこやかに見守った。
あとは人間側が頑張ってくれ。私は知らん。


ところで、魂は美味しいのかな?
たぶん、楽しいことしてる人の魂は美味しいよね♪
そんな事を思いつつ、キャンディを口の中で転がした。不思議な味がするキャンディだった。


今宵、遊びに行くかわいい子達に、美味しいお菓子を振る舞ってあげて。
お家に招かず玄関先でね。



ハッピーハロウィン🎃

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