そこはそこだから

陽に強く傾けば陰になるという事を
陰に強く傾けば陽になるという事を
忘れているのか、知らないのか。

光の中なら己の輪郭は見え続けていると
盲信して、目が眩んでいるだけのモノも
闇の中なら己の輪郭は消えてなくなっていると
盲信して、目が眩んでいるだけのモノも
大差ない。

ただ、そういう状態というだけのこと。

陰陽のどちらを欠いても
おかしなことになる。

世の中の大きな流れに合わせて自分を染め上げて逆方向に引っ張りバランスをとろうというのは
まぁ大層立派な考えで、それを実行しているモノはそりゃ必要なことをなさってるのだろうと思うわけさ。

ただし、物事は小さいところでもバランスをとっている。
常に動きがあり、それぞれが心地よいところを探し続ける。

年単位、その日の数時間、たった数分。
様々な流れの中で陰と陽のバランスを見ているわけで、たまに何処かが傾く事はあろう。

どちら側にいたとて、己の輪郭を見失わなければいいのでは？と私などは思う。
闇の中で見つける光と、光の中で見つける闇と
どちらも心地よければいいかと思う。

過去に私を苛つかせた人間が何をしたかというのを思い出していた。
私が闇の中で遊んでいるところを邪魔したのだなと思う。
明るいところの方が安全だとか、明るい方が善だとか、自分の不安の大きさのバランスに耐えられないという身勝手さで私を闇から引きずり出そうとした。
一人で明るいところにいればいいのに、勝手に私が闇に輪郭を溶かしきっている憐れなものと見た。
結果、獣のような私と対峙する羽目になっていたな。

とにかく、私はぐるんぐるんと陰と陽を動かしている。陰っているからと陽を無理にあててくれるなよ。それは大事な日陰なのだから。