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映画鑑賞記録『ジガルタンダ ダブルX』
2025年が明けた。
昨年は、劇場で映画を観た本数はちゃんと数えていないが40本弱だった。
見逃した作品もたくさんあったが、素晴らしい作品にたくさん出会えた一年だった。
さて、今年はじめの鑑賞作品となったのは、インド映画『ジガルタンダ ダブルX』。日本で公開されたのは去年の9月で、友だちにも勧められていたのだけど、タイミングが合わず見逃していた。
こんな時の強い味方は、墨田区菊川にあるミニシアターのStrangerさんだ。
いつも、公開日から時間がたった作品を上映してくれる。
今年の最初の上映作品として挙げられていたのが本作。
これを見逃す手はない。
劇場についてみると、すでに来場者があふれ、活気づいていた。
どんな話なのかをほとんど予習せずに観に行って、その上、前日に変な夢をみて寝不足だったこともあり、眠たさに負けて途中うとうとしてしまった。いまいち話の筋もつかめず…。
しかし、この作品のおもしろさは、最終幕に爆発する。
眠気も覚める急展開。
主人公の一人、念願の警察官採用試験に合格したキルバイは血を見るだけで失神をしてしまうほど小心者。ある日、殺害事件の犯人として現行犯逮捕されてしまう。
捕らえられ、警官の職を失ったキルバイに、悪徳警官のラトナが、「ジガルタンダ極悪連合」の親分、シーザーを殺せば無罪放免にする、という指令を下す。
それを引き受けたキルバイは、シーザーが募集していた映画監督に応募し、シーザーに近づくこを思いつく。運よく監督に採用されたキルバイ。
撮影をしながら、シーザーの殺害を画策するが、実行できないまま期限が迫ってくる。殺せなければ、自分と家族が皆殺しになってしまうというのに。
追い詰められたキルバイは、ある方法を思いつく。
シーザーの故郷の森に住む村人たちを襲う、シェッターニという男との決闘シーンの撮影をシーザーに持ちかけ、シーザーが倒されれば任務は完了すると。シーザーはその提案を受け入れ、二人だけで森に向かう。
一度は失敗したものの、何とかシェッターニを捕まえ、その身柄を警察に引渡すことに成功し、村人たちとともにそれを祝う二人だったが、事態は思わぬ方向には展開してゆく…。
力あるものが、弱きものを容赦なく踏みにじる残虐さ。
非暴力で抵抗する名もなき市民の血を笑いながら浴びる権力者たちの歪さ。
しかし、市民には文化がある。
市民の武器は、武力ではなく、アートであることを真っ正面から描いた感動のラスト。はたしてキルバイとシーザーはどんな道を選んだのか。
血も涙もない悪党だったシーザーが、先頭に立ってみなを引き連れる姿は目の裏に焼き付いて離れない。
そのシーザーの思いを叶えようとするキルバイの姿が凜々しい。
弱虫で卑怯者だったのに。
今、世界は混沌としていて、新しい年が明けてもめでたい気持ちになれない。世界は、日本はこれからどうなっていくのだろう。
どこに希望を見いだせばいいのだろう。
そんな気持ちに、力強いメッセージとともに、明かりを灯してくれた『ジガルタンダ ダブルエックス』。
今年最初の一本に選んでよかった。
今年は観た映画や読書の記録を全部残したいと思う。
何となく感じていることも、記録するために言語化すると自分の気持ちが整理されるので、書くことは難しいけど楽しい。
世界が、少しでもましな方向に向かいますように。
そのために自分は何をするのか考えながら、一つでも行動に移したいと思う。