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「主格が I(アイ)」:自分を見つけて


I の名前は 伊織。

I は とあるアパレル会社に勤めているのに、

毎日毎日 スーツ姿で出勤しなければならない。

I はもっと個性のある物で着飾りたいのに…。

もっともっと I を出して

もっともっと I 自身を認めてあげたいのに、

それは許されない事で、

I は 主格を 失いつつある。


自分は自分の主格が分からない。。。
美しい言葉が溢れるこの国で、自分の立ち位置が分からない。
助けを求めたところで、 何がどうなるって…
人が離れてゆくだけだ。


I の生物学的主格

俺 の名前は伊織。
俺 は とあるアパレル会社に勤めているのに、
毎日毎日 スーツ姿で出勤しなければならない。
俺 はもっと個性のある物で着飾りたいのに…。
もっともっと 俺 を出して
もっともっと 俺 自身を認めてあげたいのに、
それは許されない事で、
俺 は 主格を 失いつつある。

こういうと 周りは皆 納得して

”好きなものを着ればいいじゃん”

”お前らしくいれば 自分を見失う事なんてないさ”

”そんな会社辞めちゃえば?”

と I に言い放つ。

でも、そんな言葉は 何の救いにもならない。

何もわかっちゃいない奴らが 口をそろえて I を暗闇に突き落とす。

何にも分かっちゃいない。

何にも…。 


I の心理学的主格

あたし の名前は伊織。
あたし は とあるアパレル会社に勤めているのに、
毎日毎日 スーツ姿で出勤しなければならない。
あたし はもっと個性のある物で着飾りたいのに…。
もっともっと あたし を出して
もっともっと あたし 自身を認めてあげたいのに、
それは許されない事で、
あたし は 主格を 失いつつある。


I は どうすればいい?

主格を どこに置けばいい?

こんなに美しい言語を話せる自分が

その美しさで 路頭に迷う。

まるで 雑踏の中の 泥まみれの捨て猫だ。


だから I は この国の主格を捨てた。

I が これ以上 傷つくことがないように…

I が I らしく あり得る場所なんて

この美しい言語には ないのだから。


I は I で I として 生きてゆく。





あとがき:

お読みいただきありがとうございました。
たまたま日本語の主格を考える瞬間がありまして、会話をしていた友達をモデルに書いてみました。
彼は(彼女は)とても素敵で、自分のアイデンティティを誇りながら生きている人です。
個人としての ”I” を胸を張って生きている。
そんな中、彼(彼女)の様な人が 性主格のある日本にも沢山いるはずで、
そんな方々に 唯一 英語で素敵だなと感じる ”I” を届けたくて。

「僕」でも「俺」でも 「私」でも「あたし」でもない、
自分という言葉… ”I” を持って これからもご自身であり続けて欲しい。
人は自分以外の誰にもなれなくて、
自分を生きるしかない。
あなたは あなたの ”I” を築き上げて
私の築き上げた ”I” と対等に 意見を交わしていける
んです。

だから あなたと対等な一人の人として 
あなたに ”I” を届けます





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