マルチリンガルの頭の中はどうなっているの?
よく日本人の方から「頭の中どうなってるの?」と聞かれることがあります(そう思えば、あまり中国人に聞かれたことはないな笑)。中国語、日本語、英語、タイ語の4か国語を使っていますが、実は自分がどういうふうに考えているかを意識することはあまりなかったです。
最近バイリンガル教育について興味が湧いてきましたので、こちらの本を手に取ってみましたが、バイリンガルの幼児と成人の違いを理解しながら、自分自身の多言語習得過程を振り返るようにしています。
技能面
各言語のレベル
言語技能には聴く、話す、読む、書くという4つの技能がありますが、現在のレベルを表すとこんな感じになるかなと思います。
聴く 話す 読む 書く
中国語 ◎ ◎ ◎ ◎
日本語 ◎ ○+ ○+ ○-
英語 ○- ○- △ △-
タイ語 △- △- △- ✖️
やはり聴く→書く順で難易度が高くなり、外国語の場合レベルが低くなっています。日本語は10年以上学習してきましたが、今だに話したいことを100%表現できていないと悶々さを感じる時はただあります。
興味ある本を読むのが好きで日本語の読む力を鍛えていますが、読む時は特に一回中国語を訳してから理解している訳ではないことに気づきました。つまり、そのまま日本語として丸ごと頭に入って、理解処理しています。ただ、理解度、あるいは記憶に落とし込めたのは100%ではないことも事実です。
一方、話すや書くとアウトプットしようとすると、やはり中国語がベースにあって、日本語に訳するという作業が入ってしまいます。おそらく日本語が母語の方がこの文章を読むと、なんか硬いな、なんか翻訳っぽいなという感じはするのではないかと思います。
やはり話すためにはたくさんの「聴く」、書くにはたくさんの「読む」とインプットを増やすことが大事と思います。
マルチ言語の相互作用
日本語を1から勉強し始めた時、当時第二言語になっていた英語を介して日本語を習得した記憶はあまりないですが、最近習い始めたタイ語は確かに中国語も日本語も英語も使って理解し、覚えているなと実感しています。特にタイ語に関しては、文法は中国語と、構造は英語とかなり似ているので、対照しながら理解しています。単語の場合、ノートを振り返ってみると、解釈には英語もあり、日本語もあり、その時一番最初出てきて、しっくりくる言語に翻訳して覚えています。参照できるものが複数あると、理解のスピードは比較的に速いと感じます。
日本語で抽象的、概念的な内容を読む場合、日常挨拶のような頭使わなくても済むような内容と違って、場面から離れて、認知力必要度の高い内容は、土台が一番しっかりできている中国語が理解の助けになっていると思います。
複数言語を話すことで子供の認知力向上を目指す親もいると思いますが、複数言語がどちらも発達段階に相応するレベルに達すなら、その効果は期待できるかもしれませんが、現実的にはどちらも同じ高いレベルにさせるのは困難で莫大なエネルギーを注ぐ必要があります(特に環境条件がない場合)。なので、土台となる言語をしっかり土台として築き上げることこそマルチ言語を習得する鍵となるとのことです。
文化習得
読み書きだけができるのではなく、価値観やものの感じ方など文化習得を伴うバイリンガルは「バイリンカルチュラル」と言います。
私の場合、こんな感じになっています。
認知 行動 感情
中国語 ◎ ◎ ◎
日本語 ◎ ○ △
英語 △ △- △-
タイ語 △- ✖️ ✖️
「理想のバイリンガル像」は喋れるだけではなく、その言語の文化も理解して、感情面で積極的に受け入れ、行動するということですね。そういう意味では、私も、マルチ言語を使えるとはいえ、感情と行動面ではまだモノリンガルになっています。特に日本語の場合、中国の文化や価値観と違うところに関しては、最初は違和感を感じながらも、理解しようと努力はしますし、年月を重ねて繰り返して直面すると、そのうち「日本ではこういう考え方の方が通用するんだ」と理解ができます。しかし、理解≠受け入れる。わかっていても受け入れ難いし、自分も同じ行動するとは思えないです。
例えば、人間関係についてです。知らない同士から、友達、親戚、家族などの関係においての距離の取り方や濃度や維持方法など、あまりにも中国と違い過ぎて、戸惑うことがありました。「日本では一般的にはこうだ」と頭では理解できますが、「それでいいのか」を疑問に思いますし、「自分ならそうしない」と行動面にも反映しています。
(1)と(3)ができても、なかなか(2)を実現させるのは難しいのではないかと思います。
まとめ
理想像になるのは難しいものの、マルチ言語を学ぶこと自体は間違いなくメリットはあると思います。よく言われる思考の柔軟性や言語に対する理解力、話し相手に対する配慮の力は鍛えられますし、このように言語を通じて自分自身の思考特性や嗜好、価値観などを理解するにも有用だと感じています。
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