
2023年はどんなドアに出会うのだろう〜絵本『たくさんのドア』
2023年になりましたね。あけましておめでとうございます。
みなさんはどんなお正月をお過ごしですか?
さて、昨年はクライアントワークに自分なりに力を注いだ1年でした。一方で、自分というフィルターを通して見た世界をほぼ発信できていないことがちょっぴり気がかりでもありました。
ですので、2023年はnoteを意識的に更新していくことを自分自身に課すことにします。
ここで唐突な話で恐縮なんですが、昨年12月は自身の日本語能力や文章力と向き合う機会がありまして、ライターとしてしっかりと学び直すことを決意したんですね。
で、日本語文法や言葉に関する書籍を、とりあえずたくさん読むことにしました。
すると、ことばをテーマにした絵本にも関心が向くようになりました。さっそく絵本でつむがれる“ことば”にぐいぐいひかれ、口に出して世界を味わい尽くしたいと思っている自分がここにいます。
心が動くということは、誰かの心にもきっと響くはず。このワクワクを独り占めするのはもったいないので、ここに記録していこうと思います。
おとなになっても背中を押される絵本『たくさんのドア』
新年一本目は、こちらの絵本をご紹介。
主婦の友社出版『たくさんのドア』。大ベストセラー絵本『ちいさなあなたへ』の言葉を紡いだアリスン・マギーによる絵本で、日本語訳はなかがわちひろさんが手掛けています。
きょうも あしたも あなたは
たくさんのドアをあけていく
そのむこうに
たくさんの あたらしいことが まっている
あなたは どんなひとに なり
いったい どこへ いくのだろう
どうやって こたえを みつけて いくのだろう
上記二つのフレーズが、シーンを重ねて印象的に繰り返されます。
あどけない少女が、落ち葉を発見したりブランコに乗って風を感じたり。また大きな葉っぱで航海中に嵐に巻き込まれたり。これらの挿絵は、子どもが日々新しく出会う世界を抽象的に表現、具体的なエピソードについては読み手に想像する余地を与えてくれます。
少女の表情に我が子を重ね、そしてかつて子どもだった自分自身の姿もまたいつのまにか投影。
うれしさ、喜びだけでなく、困難なときもある。答えが見つからないときもある。
出産し子育てがスタート、右も左もわからないまま手探りする毎日。子どもの成長は楽しみなのだけど、親としてこれでいいのだろうかと自問自答する日々。
『たくさんのドア』は、そんなもんもんとした気持ちを詩的で美しい言葉が優しく包み込み、まるまった背中をそっと撫でてくれます。
◇◇◇
『たくさんのドア』とは、今から約12年前に、わたしが子育て1年生のときに出会いました。
当時わたしは新潟県長岡市に住んでいて、「NPO法人多世代交流館になニーナ(以下、になニーナ)」という施設に0歳児を連れてよく通っていました。そこは中越地震をきっかけに手を携え合った方々による団体が運営しており、子育て中のママや地域の方々が交流することを目的とした場所でした。
になニーナでは、クラフトやヨガ、郷土食料理教室など実に多彩なイベントが開催、その中に「ママのための絵本読み聞かせ」なる講座があり参加しました。
そのときに紹介してくれた1冊が、『たくさんのドア』でした。
長岡市を拠点に絵本セラピストとして活動するひろかわかよこさん。絵本の言葉をゆったりとすくいあげ、やわらかな声色にのせて、ママたちの心にそっと届けてくれました。
その時に強烈に印象に残っていることがあります。ひろかわさんが読み聞かせをする際、ママたちと目を合わせることをあえてしなかったこと。おそらく、絵本に込められたメッセージを、ひろかわさんのフィルターを通してでなく、ママたち自身が自由に受け取れるようにしてくれたのかなと、今となっては思います。
“あなたの こころを ひらくのは だれかの ことば”
あなたの こころを ひらくのは だれかの ことば
絵本の中の一節。シンプルな文章ですが、読むたびにハッとさせられます。
不安を感じるとき。問題がおき一人で抱え込もうとするとき。あきらめたくなるとき。なにもかもを投げ出したくなるとき。
ネガティブな渦中にいるときに、誰かとたあいない話をすると、すーっと楽になることがあります。
本を読んでいると心がほぐれるようなことばに出会うこともあります。
どんな困難にぶちあたっても、味方してくれるのもまた自分の外の世界だということを教えてくれます。
2023年、たくさんのドアを開けていこう
わたしにとってお守りのような絵本の『たくさんのドア』。
大人になっても心に優しく響き、何度でも読みたくなります。人生の道しるべのような絵本。ぜひ読んでみてください。
そして新しい年、2023年。たくさんのドアを開けて、新しい出会いを楽しんでいきたいですね。
みなさんにとって充実した1年となりますように。