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愛と皮肉と物語 / イントゥザウッズ

こんにちは、Nanaです。

イントゥザウッズを見ました。
ちょうど現在大阪でミュージカルが上演されているようですが、大阪には行けないのでおうちで映画を観ました〜 舞台で見てみたかった…🥺

2014年にディズニーから公開された映画ですが、元は1986年に公開されたミュージカルだそうです。
童話の登場人物たちを集め、新しい物語を紡ぎあげた作品です。登場する童話は、シンデレラ、ラプンツェル、ジャックと豆の木、赤ずきんと盛りだくさん。彼らが同じ時代の同じ世界線に生活しているというのが、童心をくすぐります。しかし中身はそんな童心をひっくり返すようなものでした。まず主人公はプリンセスでも少年少女でもヴィランでもないただのパン屋です。まあこの童話の森に住んでいる以上、ただのパン屋とはという感じですが、童話の主人公たちが主人公を務めると思ってしまったのでまず驚きましたね。しかもただのパン屋なら「え?魔女?シンデレラ!?」みたいに驚くリアクター的な役割で、我々と同じ思考回路を持っているのかと思いきや、全くそうではなくきちんとこの童話の世界線に生きています。「隣の魔女だわ!」「今日は何の御用?」みたいに普通に魔女と共存してます。びっくり。なんだか不思議な感じです。
こういう童話が同じ世界線というストーリーは誰でも夢見る、つまり簡単に思いつくものではありますが、作品として昇華するのは難しいと思います。それぞれの人の中にストーリーやキャラクター像があって、一見共通認識のように思われますが意外と異なっているものです。その上、物語で描かれていない事前事後のストーリーはそれぞれが勝手に考えているものが数多くあります。これを作品として世に出すのはなかなか勇気がいるもので、相当な自信があって作ったのだろうと思います。僭越ながらその勇気が素晴らしいと思いました。

映画は流石ディズニーといった感じで、とにかく映像が美しい
衣装がどれも素敵で衣装集みたいな冊子があれば欲しいくらい、本当に綺麗でした。特に赤ずきんとラプンツェルの衣装が好きです。かわいい。魔女のドレスも、シンデレラのボロい方も捨てがたいです。本当にかわいい。
衣装やプロップスがしっかりしているからこそ、見応えがあって、そんなはずないのにこの地球上のどこかにこんな物語の村があるのではないかと思ってしまいました。ディテールをこだわることが作品のリアルさに直結します。フィクション的であればあるほど、細かい点に気を配らないと視聴者はつまらないと感じ離れていきます。本作はそれをよくわかっている作りだなと感じました。ただでさえファンタジーな作品を、複数組み合わせるありえない設定に納得させる画作りだったと思います。

そして!とにかく曲が最高でした!!!
ほぼ全編通して歌っている作品です。ミュージカル苦手な人は絶対観れません。というかミュージカル好きな人でも、こんなにずっと歌っているのは苦手な人もいると思います。私は大好きなのですが、やや疲れたというのも否めないですね。
WSSも担当したスティーブンソンドハイムが作詞作曲ということで、当たり前に最高です。耳に残る素敵な曲たちです。ハーモニーも最高でとにかく良いので観て欲しいです。とにかく観て。以上。

実際中身はどうなんだ、というと曲のお陰で成り立っているというのが正直な感想です。
設定が面白いので、その理解で前半は面白いのですが、やはり詰め込み過ぎというのでしょうか。後半はよくわからないというか疲れてしまう感じです。これはストーリーの問題だけではなく、ほぼ全編歌で話を進めているという点も関係していると思います。やはり歌ばかりだと、純粋なストーリー理解が難しいような気がします。音のせいで言葉が流れてしまわないよう、集中して観なくてはならないためどうしても疲れてしまいます。疲れてくる頃に、一度解決しかけて、実はまだストーリーが続く、という感じなので後半は入ってきにくいですね。後半がこの作品で本当にやりたかったことで、視聴者の童心を打ち砕き頭の中を混沌とさせたかったのではないかと思います。多角的な捉え方をさせるための作品だと思いますし、やり方は間違っていないような気がしますが、最後まで「面白い!」と思える人はかなり少ないような気がするので勿体ないです。
本当に本当に曲が良いので、この作品を低評価する人は少ないと思いますが、面白かった!という人も少ないような気がします…
いや、面白いんですけどね、万人受けはしないと思います。
童話の登場人物たちの人間味が垣間見える作品なのでひねくれた人間にはかなりおすすめです。ただ、ひねくれた人間はミュージカル好き少ない気がするのが難点ですね。

すごく挑戦的で原作のミュージカル制作陣は心から楽しんで作っただろうなと感じます。
また、映画としてリメイクした制作陣も、映画だからこその魅せ方を研究して楽しんで作ったのだろうと思います。
いろんな作品へのリスペクトと盛大な皮肉と醜い人類へのを感じる作品でした。
ぜひご覧ください。


最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
Nana

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Nana
ケーキが食べたいです。今はモンブランが食べたい気分。

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