「100のドラマから」降り積もれ孤独な死よ 第8話感想~仁は全てを悟ったか?~
第7話で、最終章スタートと書きましたが、後数話でしっかり謎を入れてくる辺り、本当上手な脚本ですね。
第7話感想の成否
第7話感想で書いた内容は、半分くらいは当たっている印象でしょうか?
灰川邸近隣山林での白骨死体は神代(杢代和人)。
花音は失踪少女を一時かくまっていた。
⇒この辺は正解でしたね。
顔アザ男(笠松将)が誰なのか?
沖島マヤ(沖万美)は誰に殺害されたのか?
⇒この2点の扱いが難しいですね・・・
第8話のあらすじ
生き残った灰川邸少年少女の取材へ
森(山下美月)と仁は、花音を見つける事は難しいと判断し、生き残った灰川邸少年少女の2人、川口悟(松本怜生)と東優磨(カカロニ栗谷)を訪ねます。
そして、森と仁の2人はゴミ屋敷の中で、
「六花の花びらは後3枚しか残っていない」
とつぶやいている東を見て、呆然とします。
神代健流の実家へ
次に、2人は神代健流(杢代和人)の実家を訪ねます。
神代母・八木橋(長谷川京子)から神代が灰川邸を出た後、一度自宅に戻ってきている事を聞きます。
そして、神代が、神代の腹違いの弟(八木橋の実の子)の首を絞めているところを見かけ、怖くなり、八木橋は改めて、神代を家から追い出したというエピソードを、2人は聞きます。
また、八木橋の誕生日である8月5日に、黄色のバラを神代が送っており、それは、2024年まで継続されていることも聞き取ります。
ただ、八木橋の家のゴミ箱には、赤いバラが1本捨てられている事を仁は発見しますが、黙認して家を出ます。
月島美来は、シェルターで確保
東が何者かに追われ、飛び出した公道でトラックにひかれて重傷を負います。
その事故現場の写真に花音が映っている事を発見した仁は、花音が手にしている黄色い風船から、少年少女をかくまっているシェルターを突き止め、月島美来の発見に至ります。
森、仁の2人は、月島美来から、直前まで花音と一緒に生活していたこと、別れ際に、十三(小日向文世)の生まれ故郷蔵土村の石碑に書かれた詩を読んでいたことを知り、仁は花音がそこに向かったのではと考え、蔵土村に急行します。
蔵土村で仁は、花音と顔キズ男と遭遇
仁は、蔵土村の石碑の前で、花音を見つけます。
「もし蓮水さんも同じような傷があるなら、俺が一緒に背負います。」
と仁は花音に話し、一緒に逃げる事を提案します。
花音に近づいていく仁。
蒼佑の墓参りの時とは違い、逃げない花音。
そこに、顔キズ男が仁にナイフをもって襲い掛かります。
「蓮水さん、逃げて」
と仁は、花音に叫びます。と同時に、
「逃げろ、花音」
と顔キズ男は花音に叫びます。
仁は、困惑した顔で顔キズ男ともみ合う事に。
また、蔵土村まで来ていた五味(黒木メイサ)に連絡があり、灰川邸山中の白骨死体が神代とDNA型が一致。
神代=顔キズ男と考えていた五味もまた、困惑顔となってしまうのでした。
あらすじが、長い・・・あらすじになってない・・・
事件の整理
第8話で、縦筋の解明は済んでいて、簡単に書いてみます。
神代を殺害した犯人
第8話では、神代が灰川邸から追い出された直後、警察が灰川邸へ捜査が入り、灰川邸解散に至りました。
警察に灰川邸の事をリークしたのは、神代とされており、川口、沖島、東、花音には神代への殺害動機がある様に描かれました。
また、花音が十三のノートの切れ端を持ちながら、過去を思い出す映像の中で、十三と花音が山中の土壌を見ながら、「家族の秘密」と十三が発しています。
このことから、やはり、神代を殺害した(事故的に死んでしまった)のは、川口、沖島、東でしょう。
自宅から戻ってきたときに、おそらく事故的に死んでしまったのだと思われます。
沖島マヤを殺害した犯人
とすると、神代の殺害の恨みを晴らしている何者かが沖島マヤを殺した?
もしくは、神代を殺してしまった呵責の念に堪えられず、警察、もしくは八木橋に謝罪をしようとした沖島が、川口もしくは東に殺害された?
のどちらかでしょうか?
前者とすると神代母・八木橋が犯人になりますが、第8話では、神代がまだ生きている事を疑っているように見えませんでした。
とすると、後者で、川口、もしくは、東という事になります。
東優磨を事故に誘い込んだ犯人
とすると、東を事故に誘い込んだ人物も川口になってしまいますね。
顔キズ男は誰か
では、顔キズ男は誰だ?
八木橋宅に入ろうとしていたところを見ると、八木橋の家族でしょうか?
花音の味方で、顔にアザがあるとすると・・・
花音は母親を火事で失くしている事から推察するに、その火事で火傷を負ってしまった、花音の身近な人でしょうか?
八木橋の家族という可能性もありますが、それを否定する根拠もありませんが、花音を守っている理由が想像できないので、後者の気がします。
2017年、灰川邸で花音が顔キズ男に火炎放射していますが、当時、花音は顔キズ男の実態を知らなかったのでしょう。また、その際、顔キズ男は花音を銃で撃っていますが、顔キズ男は花音のことを知っていて、誤射してしまったと考察します。
とは言え、顔キズ男が誰であるかは、神代、沖島の殺害には関係がなさそうですので、縦筋に変わりはありませんね。
本題
約2000字も書いて、本題なのですが・・・
花音の行動の真意と仁は花音の全てを理解しているかどうか?というところです。
花音の行動
花音は、仁が警察に出頭した後、仁から離れます。
第8話冒頭、蒼佑の墓前でも、花音は仁から逃げました。
ですが、8話ラスト、仁が「花音の傷」について話した時、花音は仁から逃げませんでした。
花音は、母親からのDVを受け、母親を焼死させてしまっているのではないでしょうか?
親殺しのレッテルと、暴力の血縁の連鎖。
これが、仁の言う「仁と同じような傷」。
花音は、自分の罪を認めて役に服した仁に尊敬の念を抱き、自分の罪とどう向き合えばよいのかと悩んでいるのでは?
また、神代を殺めてしまった川口、東、沖島に対しても、灰川邸の真実と向き合う必要があるのではと悩んでいるのではないでしょうか。
仁はそんな花音の考えていること 全てを理解しているのでは?
第8話ラストで、仁は、花音に「傷があるのであれば、一緒に逃げよう」と言います。
真意は難しいところですが、仁は、花音の親殺しと暴力の血縁を理解していると言いたかったのではないでしょうか?
その上で、その辛い思いに寄り添うと話したかったのではないでしょうか?
少なくとも、SNSであるような、「急な恋愛展開」なんて言う浅い話ではないと、私は考えています。
このドラマは、貧富の差が大きくなり始めた現代社会における、なかなか表に出てこない血縁関係内の暴力とその連鎖にスポットを当て、リアリティーを持って物語にしているのではと思います。
長々となりました。
最後までお読みいただけた方々、誠にありがとうございます。