見出し画像

9歳の壁を乗り越える力

うちの娘は、ちょうど「9歳の壁」を迎えています。

9歳の壁って何でしょう?

「9歳の壁」は、10歳の壁ということもあるし、小4の壁ということもあるようですが、要は脳が発達し、これまで関心を持てなかった抽象的な概念がわかるようになり、状況が見えるようになったり自分を客観的に認識できるようになったりする成長に伴う課題のようなものです。

なんと、文部科学省のHPにも「9歳の壁」が表現されています。

”9歳以降の小学校高学年の時期には、物事をある程度対象化して認識することができるようになる。対象との間に距離をおいた分析ができるようになり、知的な活動においてもより分化した追究が可能となる。自分のことも客観的にとらえられるようになるが、一方、発達の個人差も顕著になる(いわゆる「9歳の壁」)。身体も大きく成長し、自己肯定感を持ちはじめる時期であるが、反面、発達の個人差も大きく見られることから、自己に対する肯定的な意識を持てず、自尊感情の低下などにより劣等感を持ちやすくなる時期でもある。
 また、集団の規則を理解して、集団活動に主体的に関与したり、遊びなどでは自分たちで決まりを作り、ルールを守るようになる。その一方、この時期は、ギャングエイジとも言われ、閉鎖的な子どもの仲間集団が発生し、付和雷同的な行動が見られる場合もある。“

○ 現在の我が国における小学校高学年の時期における子育ての課題としては、インターネット等を通じた擬似的・間接的な体験が増加する反面、人やもの、自然に直接触れるという体験活動の機会の減少があげられる。
 これらを踏まえて、小学校高学年の時期における子どもの発達において、重視すべき課題としては、以下があげられる。

・抽象的な思考の次元への適応や他者の視点に対する理解
・自己肯定感の育成
・自他の尊重の意識や他者への思いやりなどの涵養
・集団における役割の自覚や主体的な責任意識の育成
・体験活動の実施など実社会への興味・関心を持つきっかけづくり

子どもの発達段階ごとの特徴と重視すべき課題より
https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shotou/053/gaiyou/attach/1286156.htm

なんと、9歳は『ギャングエイジ』なのですね。
そりゃ、口の利き方も悪くなったりするわけだ。

もう一つ、気になったのは、9歳の壁の時期には『発達の個人差も顕著になる』という点です。
自分の立場、能力、人間関係、役割意識などなど、いわゆる社会性の基礎となる要素が、プラス方向に身につくのか、マイナス方向で身につくのか、なんと9歳で分かれ道を迎えているのでしょうか!?

確かに、「体験格差」「経験格差」なんて言われるし、感性豊かに体と心を育むことで、自己肯定感、優越感など、自分が満たされる機会が増えるし、それが勉強のやる気につながって学力も上がる、っていうスパイラルのような流れも出来上がっていくのかもしれません。

となると、9歳の壁は、単なる幼児の3歳の壁とかイヤイヤ期のように、通り過ぎれば何とかなるものではないのかもしれません。

抽象と具体

9歳に身につく能力として「抽象概念」が挙げられていますが、いったい何なんでしょう。
・抽象:「花」といった事物の共通点に着目したものの見方
・具体:「チューリップ」「バラ」といった現実の1つ
といった感じでしょうか。

小さいうちは、目の前のことを具体的な一つ一つで理解をしてきたけれど、9歳頃になると、目の前に存在しなくても違うものと結び付けたり、分類したりカテゴリー分けして考えられたり、応用力のような力がついてくる、というわけです。

それと同時に、自分と他人の違い、自分の良し悪しもわかってきて、自分のありように対する自己・他者評価から自己認識も進んでいくのだとすれば、9歳の壁をポジティブに乗り越えるのは、本当に重要であり、大変なことなのかもしれません。

9歳の壁を超える力はどこから?

9歳の壁を乗り越える力の源は、やはり本人の中に芽生える自己肯定的な感情だと思われます。頑張ろうとか、やってみようと思う前向きな気持ちが、困難を乗り超えさせて成長につながります。加えて、「失敗したけどもう一回!」「難しいけど、やってみる!」というプラスのスパイラルを形成していってくれます。

しかし、その自己肯定的な感情は、一人で自己努力で育めるものではなく、周囲の関わりが不可欠なので、周りがどういう反応をしてきたかも大きく影響するものと考えられます。
また、周囲の大人が、たくさんの経験の芽を提供して、触れて・聞いて、作って・壊して、といった一見、あとに残らないような、無駄なようなことから生まれる感性や感情をどんなふうに意味づけられてきたか、ということも関わっていそうです。

そう考えると、9歳の壁はあなどれませんね。
日々のことに終われて、ついつい、親のペースに持ち込みがちですが、9歳の感性を尊重して、壁超えの支援に努めようと思います

いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集