見出し画像

本日、お手軽グリーンカレーの気分也

 ここ最近、初夏の暑さが続いたが、今日は肌寒かった。ふらりと寄ったスーパーマーケット。トマトが安いので購入しようと買い物かごに入れた男は、フロントボタンのカットソーにカーゴパンツ、スニーカーサンダルと少しだけ季節を後戻る格好をしていた。

 すくんだ体は売り場の冷気で、わずかにかじかんでいたようだ。何か思いついたようで、足早に肉売り場へ行くと、ちょうど良さげなしゃぶしゃぶ用の豚肉スライスを見つけ買い物かごへ入れる。惣菜、パンコーナーを軽く見てまわると、そのまま進みレジであっさり会計を済ませた。

 借りていたレンタルDVDをレンタルショップで返し、下調べしていた旧作DVDを無人レジで借りた。当初、戸惑っていた操作もすっかり慣れた。店を出ると100均ショップへと向かう。人波をかわし食品コーナーへ向かうと、缶詰のグリーンカレーを手にした。こいつは在庫がないことがままあり、レトルトだとイメージした味と違うので難儀する。レジでお金を支払いレジ袋はキャンセルしてテープを貼ってもらい、そいつが見えるように手に持ち、買ったものですよアピールをしながら店を出た。

 グリーンカレーをそれなりに作ろうとすると、ココナツミルク、グリーンカレーペースト、ふくろたけなど、結構食材がお高めになる。しかし缶詰のグリーンカレーだと具はほぼないが、比較的近い味に近づける。ちなみにグリーンカレーペーストはタイ産だと辛めだが、シンガポール産だとマイルドになる。ところが、タイ産も近年市場の拡がった日本向けにマイルドな味付けにしているようで、辛党にとっては残念至極である。

 男は家に戻ると買ってあったニンニク一片と玉ねぎ1/3程をスライスした。IH調理機の上に鍋を乗せオリーブオイルを適当に入れ、スライスしたニンニク、玉ねぎとプラス鷹の爪を少々入れ、焦げないよう中火で炒めた。買ってきた豚肉を一口大に切って入れ、適量塩を振る。その間トマトのヘタを取り、くし形切りで六等分にする。いい香りがしてきて豚肉に火が通ったらトマトを入れる。そしてグリーンカレーの缶詰の中身をあけて、IH調理機の火力を弱火にする。しばし煮た後スイッチを切る。炊飯器から皿にごはんを盛り、そこへ鍋の中のグリーンカレーを一気に注ぐ。

「いただきます」

豚肉が香ばしい。ニンニクもほんのり効いている。
わずかな鷹の爪もオリーブオイルに染み出て辛味を誘う。
トマトの酸味の主張も、野菜を食っているぞ、という満足さだ。
缶詰にちょい手間で本格的な味に近づいた。

「ごちそうさまでした」

 満足な夕飯の後は、温かい紅茶に少し流行りの、はちみつ酒をちょっぴり入れてほっと一息。借りてきた名作DVDでも観て涼暮れ月の夜を過ごす。

いいなと思ったら応援しよう!

ナミソラフウモ
どうぞよろしくお願いします。