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先生の本音

 「あのさ、昨日あんな風に叱ったけれど、いっぺんにいろんなことが起きて、先生も驚いてしまって。思わずあまり考えること無しに、叱ってしまったと思います。ごめんなさい。もっと話を聞くべきだと思ったよ」

 先生がこんな風に話す中で、更に先生を責める生徒はあまりいないと思う。私の元に届く子どもたちの声は、「先生だって忘れ物するのに、すごく怒る」とか「先生も間違えるのに絶対に謝らない」とか、そういう不満。
 実際職員室にいると、弱音を吐いたらおしまい、謝ったらおしまい、みたいに思ってるのかな、と感じる先生方が一定数いて。ピンと張り詰めているから、めちゃくちゃ辛そうなのに無表情に「いや、全然大丈夫です」と言うから余計に心配。そう言う方が翌日から急に学校に見えなかったりするのを見てきたから更に心配。

 先生が弱音を吐けない。先生が本音で話せない。
よく聞くのは「生徒に舐められたら終わりですから」というキャリアの長い方々の声。本当にそうかな。そういう関係の作り方しかないのかな。
 私にはわからないけれど。私は人が人を舐めるっていうことを考えの中心に置いたことがないから。でも私が先生になって毎日職員室で「舐められたら終わり」って言われ続けてたら、それが私の真ん中にきてしまうのかもね。

 私は真ん中に「お互いのリスペクト」を持ってきている。これは揺るぎない。私は生徒をリスペクトするし、出来れば相手からも同じ目線だと嬉しい。この場合のリスペクトはイコール「表向きの尊敬表現」ではなく、その人を人として大切に思うこと。私は先生だけど、間違ったなって思ったら謝るし、間違ったことをちゃんと生徒に指摘して欲しいとお願いしている。自分の判断だけじゃわからないことも多いから。

 先生が本音で話せないのは、子どものせいじゃなくて、むしろ先生を取り巻く大人たちのせいだと思っている。「舐められたらいかん」っていう漠然としてるのにやたら強めの助言とか、上から目線でリスペクトもなく意見する保護者とか。結局は大人。

 結局は大人。

 子どもたちはいつもそれを見てる。
リスペクトのない世の中を見てる。

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なみお
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