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思い込み
小学校最終日、4年生に話をした。最後に短く、1分間スピーチ。
私が英語の先生としてここにいる意味。伝えたいこと。
こうして前に立っていると、英語が得意!という人が見えます。そして英語苦手だな、って思っている人も見えます。この中に英語苦手だな、って思っている人、どのくらいいる?
パラパラと手が上がる。悲しいことにその数は私が思っているよりも多い。クラスの半分になるクラスもある。生まれて10年ちょっとしか経っていないその間に、この子たちには何があったんだろう。
英語ってね。苦手になろうと思ってもなれないの。そんなことがあったら、英語を使って生活しなければいけない人が困るから。言葉はみんなが使える様に出来ているの。
じゃ、苦手を決めている人って誰だろうね。
英語が苦手だって決めているのは、実は自分なんです。だからね、先生はハッキリ伝えます。皆さんが英語が苦手っていうのは、思い込み。勘違い。
いつもはペラんとゲームしたりして盛り上がってるテンション高いおばちゃんだけど、今日は言わせてもらう。一人一人の目を見て、噛み締める様に伝える。
英語を苦手って思う時はどんな時かっていうとね、人と比べている時です。誰かが自分の知らないことを知ってたら、「あの人すごい」そして「それに比べて自分は…」って思っちゃう。でも知らないってだけなんだよね。
一人の人を見て「あのおじさん知ってる」って人と「知らない」って人の違いは「知ってるか知らないか」だけ。良い悪いじゃないでしょう。「知らない」なら「知れば良い」そして、みんなはこの1年でたくさんの英語を知った。私から見たら、みんなは本当にすごかったよ。
1年前の今頃、みんなはこの新しい教科書を見て「英語がいっぱいやん」「難しそう」って思っただろうけど、今はパラパラ見ても言える言葉や意味がわかる内容がある。それってすごいこと。人と比べるのではなくて、自分と比べてごらん。1年前よりももっといろんなこと知ってる自分、すごい。それを繰り返して、みんなは英語ともっともっと仲良くなっていけるんです。
授業が終わったら、カードを片付けている私のところに子どもたちが続々やってきた。英語に対してネガティブな気持ちだったことを話してくれる子、感謝を伝えてくれる子…たった1分程のメッセージだったけど、子どもたちには届いたのかな。嬉しくなった。
本当はね。英語だけじゃない。なんだってそう。
人と比べていると、幸せから遠ざかっちゃう。自分基準で幸せになってね。もう会うことはない子どもたちと先生たちに、心からのメッセージ。
こんな素敵な人たちと時を過ごせて本当に幸せな一年だった。
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