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弱さは悪か
賛否両論、あると思う。でもこれは常に議論が必要だと思うから、敢えて。
「今どきの子どもたちって、弱くなったよね」
私と同世代や同じ親の中からも上がってくる言葉。でも私はその度に「そうかな?」と首を傾げる。
そもそも人って弱い。もちろん鍛錬で多少強くもなれる。ただ、その鍛錬って人が強制的にさせることかな。誰にでも当てはまるものかな。
自分が憧れる大人の存在やどうしてもしたいことがあって、自発的に強くなりたい、と願うことは鍛錬に繋がるのかも知れないけれど。
人って弱い。その「弱さ」を悪者の様に捉えて、人に認めさせてこなかった時代があった。私が子どもの頃からどんどんエスカレートしている。そして今やっと「人って弱いものなんだよ」という共通認識がゆっくりと広がりつつある。
昔の子どもは本当に強かったのか。我慢を強いられてきたり、弱さを隠して生きることを強制されてこなかったか。大人になってからの心を病む人が多いのは、弱さを認めて自分をケアする術を知らなかったのも理由の一つではなかろうか。
人の弱さが社会の傷となり、その傷口から溢れ出した膿が今そこら中。ワイドショーやネットニュースを賑わせている。決して強くない人たちが、傷つき傷つけ無理して築いてきた社会の傷。これ以上悪化させてはいけない。
日本ではメンタルクリニックに通うことや、行きつけのカウンセラーを持つことは、未だに珍しがられたり興味の目で見られたりすることがある。でも人は弱くて、自分を守る方法やケアをする方法を知っている方が生きやすい、という認識が広がったら、きっともっとみんな自分に優しくなれる。人に優しくなれる。生きやすくなる。
今朝、2024年の小中高生の自殺者は統計のある1980年以降過去最多となった、というニュースを目にした。
息子の担任が卒業式でクラス全体に向かって話した最後のメッセージが「生きて」だったことを思い出す。
大人たちにとっては、逆を学んできたからとっても難しいことだけど。自分の弱さを認め、向き合い、自分をケアすることを子どもたちと一緒に学び始めるのはどうだろう。
この本を、我が子ではなく自分自身を育てるつもりで読んでみたら、ちょっとヒリッとするけど何かが見えてくるかも。
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