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馬糞堆肥と菌ちゃん農法 その1

本日はまたテーマ変わって、農業について。

馬の仕事をしてきて
馬糞の堆肥は一番いいんだよ」と言う話は
何十回と聞いてきた

そのたびに、若かった私は
「へぇーそうなんですね!」程度の反応
わざわざ堆肥を取りに来てくださる方が多くて
ありがたい、ぐらいに思っていた

そんな私も、これだけの堆肥があって
みんな「上等上等」と
おじいおばあが喜んで持っていくのに
何も使わないのももったいない、と思って
8年ぐらい前から、独学で畑を作り始めた。

今日は、そんな馬糞堆肥の、知られざるお話。


8年前の初めて馬糞堆肥で作った野菜

馬の堆肥が一番?


確かに馬糞堆肥はとても上手く
できることも沢山あったけど
盛大に失敗したこともあった。
立派に育ったとしても無農薬でやっているので
呆れるほど虫がつくし
理由がわからないまま生育不良を
起こしたケースもあった。

それはまるで、自然相手に偶然の成功に期待する
ギャンブルみたいな遊びのよう。
成功すると余るほど採れるけど、
失敗すると1つとしてまともに育たない。
馬糞堆肥が良い、と言われる、
その「良さ」を引き出せていないかんじがした。

まるでパプリカのような立派なピーマン

馬糞堆肥が農業に良い理由を調べる日々


そもそも、馬糞堆肥がいい、って
何がどう良いの?
栄養価が高い?吸収が良い?

その点が気になってネットで沢山検索したけど
科学的にその根拠を
提示した記事は見つからなかった。
たまに見つかるのは、

「キノコ類の栽培に有用」
「バラの栽培に有用」
「土壌改良に効果的」
「有機肥料の中で最も窒素成分が少ない」
(窒素は高いほうが栄養価高いんだよね?🤔
低いのにいいってどういうこと?)
などの文言
だけど、どの記事もその理由を説明していない

「良いのはわかったよ、
だからなんでなんだよ?」

もともと理由が理解できないと
納得できない性分。
まして農業とは、理由なしに成功できるほど甘くはない。

もっと根本的な、
何か良いと言われる理由が存在するはず。
でもなかなかそのメカニズムを説明した資料は
見つからなかった。
(※今は資料となる投稿記事も少しは増え、
AIのおかげで、Google検索すれば一応出てきます)

それもそのはず、
このメカニズムを解明するには
まず「馬の消化システム」の話から
理解していなければいけないからだ。

だいたい農業や土壌学の専門家は、
馬についての知識はゼロだった。
馬の解剖学や獣医学はそれこそ専門的すぎて、
ネットにもほとんど載っていない。

ところが、馬の専門家は
土壌学や農業の知識はゼロ。
それぞれが専門的すぎるうえに
お互いの守備範囲外なので、
ここの相互作用を解明することは
かなりのハードルなのだ。

実際、この問題を調べ始めた当初は
手詰まりで調べるのを諦めた。

それが解明したのは、あるスタッフが
入ってきたことがきっかけだった。

菌ちゃん農法との出会い


そのスタッフは、農業職からの転職で
うちの牧場へやってきた。
農業に馬を活用したいから、
馬のことを学びたいという理由だ。

「菌ちゃん農法って知ってますか?」
そのスタッフの言葉をきっかけに、
私はこの方法を広めている吉田先生の話に
興味を持った。

「無農薬なのに虫がつかない」
「無肥料なのに野菜が元気に育つ」

若干胡散臭いInstagramの広告だが、
笑顔で大声で話す農政課の職員みたいな作業服の
この白髪のおじさんが
なんだか親しみやすいかんじがして
この人が嘘を言っているようには見えず、
早速本を買い、オンラインスクールに申し込んだ。

菌ちゃん農法VS有機農法?


菌ちゃん農法は、有機肥料を含めた
無肥料栽培」のメソッドだ。

それは知っていたので
この話を調べ始めた時点では、
正直馬糞堆肥のことは頭になかった。
馬糞が役に立たないとしても、
無農薬無肥料で野菜が作れるなら
それでいいと思ったのだ。

菌ちゃん農法では、有機肥料を含む
いわゆる「栄養素」は加えてはいけない。
植物が自分で栄養を摂取する仕組みを作るため、
あえて栄養の「飢餓状態」を作る。
だから、いわゆる有機農法とは相性が悪い
ということになる。

従来の有機農法が、問題点だらけなのは
日本中の農業に取り組む人たちが証明しているので
ここで説明するまでもない。
有機農法のうえにさらに無農薬栽培となると
とんでもなく難易度のハードルは上がる。
私も最初に県の農業改良普及課に
相談に行ったときに
馬の堆肥を使った有機農法の話をすると
「有機は最初からチャレンジするにはあまりにもハードルが高い」
と止められた。

現状は、農業界全体の考えとしては
残留のないレベルで適度に農薬を併用し
「減農薬」の方向で育てるほうが
現実的で収穫量も安定する、という見方が強い。

私も正直、農薬全てを嫌っているわけではない。
今は時間とともに自然分解されるものもあったり
使用濃度を守れば影響のないものもある。

だけど、「馬のいる農園」の作る野菜を
今後販売していくとなったときに
ブランディング的視点から考えると、
やはり「無農薬・化学肥料不使用」は
消費者にとっては付加価値があり、魅力的だ。
できることなら、この2点は商品価値として加えたい。

仮に「無農薬・化学肥料不使用」で
それなりに見栄えの良い野菜が
スーパーの野菜とほぼ同程度の価格で手に入るとしたら
売れない気が全くしない。
もはや無敵のブランディングの完成だ。

まぁ、馬の堆肥のことは置いといて、
まずは菌ちゃん農法をしっかり実践してみようじゃないか
そう思い、鉢植えからテストしてみることにしたのだ。

意外と理論が難しい「菌ちゃん農法」

菌ちゃん農法は、農業の素人でも、
家庭菜園からちゃんと成功するように、メソッド化されている。
だから、マニュアル通りに進めれば、
ある程度は成功する。

そのようなわけで私も最初は
マニュアル通りにやるつもりだった。
だが、ちょっとした見落としや不都合で
1つでもマニュアルにないことをしてしまうと、
全く成功しないということになりかねない。

頭で理由を理解していないと
行動できないタイプの私にとって
「マニュアル通り」は正直とても苦手だし、
今後、植物相手に「マニュアル通り」は不可能だということも知っていた。

これは、マニュアルを追うだけでなく、
しっかりとそのメソッドの背景となる仕組みを
追わなければいけない。

菌ちゃん農法の本には、
もちろん仕組みやメカニズムもちゃんと説明されている。
特に私の買った本では、
素人でも理解できるよう、極力平易に説明されている。

だけど、正直微生物だのなんだのという話は
素人に容易に理解できる話ではない。
農業や植物にまつわる、
いろいろな前提知識がないからだ。

実際、馬糞堆肥の有用性を説明しているサイトなども
読者へのわかりやすさを優先してなのか、
それとも筆者が正直よく仕組みを理解していないのか、
改めて見てみると
「う~ん」と思わされる説明が多くて、
納得するには程遠かった。

そんなわけで、どうにも理解ができていないまま、
数か月が経過していた。

ちなみに、私は自分がすんなり理解できない物事に対し、
「脳の自動サーチ機能」をよく利用している。
それは、疑問に思ったまま放置しておくと
脳が勝手に情報を収集し、整理し、
最終的に答えを解析してくれる、という便利な機能だ。
(よくわからない方は、「カラーバス効果」で調べてみてね)

今回も、わからないまま放置しておくことで、
気が付けば数か月後に、「こういうことか!」とつながった。

それはつまり、これまで理論的に繋がっていなかった
馬糞堆肥のメカニズムと、菌ちゃん農法のメカニズムが
連携すると最大の効果を得ることができる仕組みだ。

菌ちゃん農法には馬糞堆肥は無縁だと思っていたけど、
全くそんなことはなかった。
むしろ、菌ちゃん農法と馬糞堆肥は、
これ以上ない最強タッグなのだ!

菌ちゃん農法 × 馬糞堆肥


実際、現状としては荒れ地だった農園の開拓整備が忙しすぎて
まだ実際の実行レベルとしてはほとんど進んではおらず
実際の進行を報告できるのは2月ぐらいからになると思います!
ですが、恐らく十分すぎる条件が整っているので
最初から成功する予感しかしません

これが成功すれば、
「美味しい無農薬・化学肥料不使用野菜をスーパー野菜と同価格で」
を、実現できるようになります。
ぜひ、石垣島内の皆様に、最高の野菜をお届けできるよう
頑張りたいと思います!

2年前に馬糞堆肥だけで成功した人参!
頑張ってまた成功させるぞ★

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