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国語の数学【2】 言葉を引き算する
これは、国語を数学的に解き明かしてみる、という思考の実験です。
第1回「対立概念を因数分解する」はこちら。
前回同様、数学の用語はざっくりした感じで話で進めます。(用語で間違っているところがあったら、すいません。)
今回は、「言葉の引き算」です。
言葉の引き算という言い回しは、普段からよく使われていますよね。たとえば、企画書が文字だらけになると、「もっと引き算したほうがいい」とか。
普段使われている「言葉の引き算」は、数学的に見ても「引き算」なのか、というのが今日のテーマです。
たとえば、こんな企画書を想定してみます。
![](https://assets.st-note.com/img/1645591956130-QgF6ybgaPx.png?width=1200)
なんだか少しごちゃごちゃしていますね。
こんな企画書を書いて上司に出したところ、「言葉をもっと引き算して」と言われた、と仮定して話を進めていきます。
数学的な引き算は、a - b ですから、まず考えられるのが、情報を減らす、ということです。
たとえば、この企画書だと、急に重要文化財の話が出ているので、ここをバッサリ引き算する、というのが考えられるでしょう。
言い回しを減らす、というのも考えられます。「観光での来訪で終わらずに定住をうながしたい」を「観光での来訪から定住へ」と書けば短くなります。
ただし、どうも、日本語として普段使っている「引き算」は、単純な「情報の引き算」「言い回しの引き算」だけではない。
たとえば、下記の二行。なんだか近いことを言っているような気がしますよね。
アクティブな若年層の人口減少
第一次産業の将来の担い手の不足
将来の担い手を若年層、不足を減少、と読み替えれば、
第一次産業をになうアクティブな若年層の減少
と書けば、この2文はまとめられる気がします。
これは引き算ではなく、「最大公約数で束ねて足し算する」と言ったほうが近い気がします。
最大公約数というのは、たとえば、6と21なら、3になります。
6=3×2
21=3×7
最大公約数で束ねて足し算するというのは、
3×2+3×7
=3×(2+7)
という式の変形になります。
先ほどの2文のまとめは、数学的にいえば、
第一次産業の将来の担い手の不足+アクティブな若年層の人口減少
を、最大公約数的な部分である「若年層の減少」で束ねて足し算し、
(第一次産業をになう+アクティブな)×(若年層の減少)
にした、ということです。
もうひとつの方法として、「公倍数で表す」という方法もあります。
※公倍数とは、2つ以上の整数に共通する倍数のこと
「高齢者の増加」も「アクティブな若年層の人口減少」も「第一次産業の将来の担い手の不足」も「観光での来訪で終わらずに定住をうながしたい」も、結局、課題としては、「第一次産業の危機」と見て、これが、この4つで伝えたい「公倍数」的なことなんだと考える方法です。
![](https://assets.st-note.com/img/1645592262391-XDMTtjwdng.png?width=1200)
「引き算しすぎだよ!」という上司の声が聞こえてきそうです。「引き算じゃないんです、公倍数で表したんです」と言い返したくなりますが。
ここまでの思考実験をまとめると、一般的に言われている「言葉の引き算」には、
情報/言い回しを引き算する
最大公約数でまとめて束ねて足し算する
公倍数で表す
の3種類があることがわかります。
「言葉をもっと引き算して」と言われたときに、どうすればいいかわからない「?」な気分になるとしたら、この3種類のうちどれをやるべきかがわからない、ということなのかもしれません。
そんなときは、この3種類のどれをやるのか、そこから考えるのはどうでしょうか?
言葉の謎が、すこしでも減らせますように。
国語の数学、気が向いたら、また書きます。
練習問題:
「言葉足らずだから、言葉を足して」と言われたときの数学的な方法を考えなさい。
第1回「対立概念を因数分解する」はこちら。