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孤独を恐れ誰かにしがみつくことで、もっと寂しくなっていないか

「人は一人では生きて行けない」
この言葉は、レイモンド・チャンドラー作のハードボイルド小説に出てくる私立探偵”フィリップ・マーロウ”のセリフです。

色んな人が引用した言葉で、もはや一度も耳にしたことが無い人はいないのではないか、と思うぐらいです。

色んな人に、色んな解釈で、色んな使われ方をするうちに、言葉はひとり歩きする様になります。

使い方も、解釈も、十人十色、人それぞれで構わないと思います。

ただ、見渡すと、
親しい人が沢山いた方が良い、
家族や友達に囲まれる人生こそが豊かな人生、
といった価値観に凝り固まった人々が多い様に感じています。

「友達百人できるかな?」
は、たいていの人が口づさんだ事があるでしょうし、
「悪そうなヤツは大体トモダチ」
と、ラッパーも言う訳です。


私も、人は一人では生きて行けない、と思っていますし、
実際、一人で生きている人なんていない、と思っています。

それは、わかり易く家族や友人に囲まれる、といったことでは無く、
仮に家族や友達が一人もいなかったとしても、
誰かが作った野菜を食べ、誰かがとった魚を食べます。
野菜も魚も肉もお菓子も、服も靴も家電品も、
誰かが作って、誰かが運んで、誰かが売ってくれて、私達は生きることが出来ています。
家も道路も色んな人が作ってくれたから、私達は利用出来ます。

その意味で、私達はただ生きるだけで、人と関わり合う仕組みの中に在るのですから、一人で生きる事は出来ない、と考えます。

友達百人も、悪そうなヤツは大体トモダチなのも、生きる中で誰かと関わり合うことの、ほんの、余剰、の部分の話しだと思っています。

学校で、イケてるグループに属していたいが為に、本当は気が合わないのに、無理をして、自分を殺して、仲よさ気に振る舞うのは、

自分を最大限に粗末に扱うこと、だと思うんです。

スクールカースト上位のグループに属していないと、肩身が狭い、イジめられる、などなど、理由も事情もあると思います。

しかし、そのグループに、或いは、そのグループの誰かに、しがみついても、その時点で、グループ内で心理的なイジめを容認するポジションを自ら選び取っています。

そして何より心の中で、自分で自分を軽んじて、自分で自分を粗末に扱っています。

心が健やかで、自分に価値を感じている人は、誰かにしがみついて、そのグループに、入れてもらう、という事を考えません。

スクールカースト下位のイケてないグループであろうと、気持ちの通じる仲間との交流を求めます。

たとえ孤立したとしても、自分を粗末に扱うことを拒否します。

一番大切なのは自分自身、であることを知っているからです。

誰かにしがみついて自分を拒否するか、
誰かを拒否して自分を受け入れるか、という選択を迫られる局面は、生きていれば、思うより多い、と感じています。

その局面に立ったとき、健やかな人は自分を選び、心に葛藤のある人は、自分を捨てて、誰か、を選びます。

心に葛藤を抱える人は、人間関係のひな型が、間違っています。

その、ひな型、は自分を粗末に扱うことと引き換えに、居場所を得る、という人間関係の作り方、になっています。

ひな型、は、親からもらったものです。

育った環境は、親の顔色を伺い、自分の感情を捨てて、親の感情を優先しなくてはならない環境でした。

親を優先しなくては、
自分を捨てなくては、
居場所がありませんでした。

悲しくて、涙が零れそうなとき、親が笑うことを望んでいたら、悲しい気持ちは投げ捨てて、明るく笑います。

笑えば、そこに居ていいから、です。
自分を捨てれば、居場所が得られるのです。

その時のひな型を使って、人間関係を作ります。

だから自分から、自分を粗末に扱います。
居場所が欲しいから、です。

親の顔色を見て笑った様に、
楽しく無いのに、グループの皆が笑えば笑います。
しがみついた相手の感情を優先します。

その、ひな型、をどこかで捨てないと人間関係は変わりません。

中学も高校も、社会人になっても、自分を二の次にして、他人を満足させることで、居場所を得るコミュニケーションを知らず知らずのうちに繰り返します。

そのコミュニケーションを続ける限り、周りは、その人が犠牲を払うこと前提で居場所を提供する様な人ばかりになってしまいます。


自分を大切にすることを知っている人の周りには、やはり自分を大切に感じている人が集まります。

これは、綺麗事や精神論ではなく、
自分を大切にする人と、自分を粗末にする人とが、引き合う筈がありません。

自分、の捉え方も、
コミュニケーションの取り方も、
全てが違っているのですから、

自ずと、似た対人関係のひな型、を持つ人同士が集まります。


人は一人では生きられないことは、大前提ですが、

他者と尊重し合うことが出来る豊かな自分であることが、

豊かな人間関係を構築する唯一の方法だと考えます。

外に百人の友達を求めるよりも、

心にたった一人の、
大切な自分、を認める事が、

幸せを運んで来る、

そんな気がしています。


読んで頂いてありがとうございます。
感謝致します。


伴走者ノゾム









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