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この子ばっかりズルい!
親の心が未成熟だと、子供を思いやる事が出来ません。
この子は平気な顔をしているけど、本当は無理をしているんじゃないか?
この子は笑っているけれど、本当は泣きたいのを我慢しているんじゃないだろうか?
といった様に、子供の気持ちを汲み取ろうという発想に至りません。
心が成熟して初めて、得ることが出来るものは、沢山あります。
たとえば、愛、尊重、思いやり、といったものは、心が成熟する事によって得られる代表的なもの、と言えます。
幼児が見ている世界は極めて、独りよがり、な世界です。
その独りよがりな自分を、親から受け容れられる事によって、
幼児は、自分には価値が有る、という感覚を身に着けます。
それは、自分の存在に対する、安心感、と言い換える事が出来ます。
その安心感に後押しされて、幼い心は段階的に成長し、年齢なりの発達課題を乗り越え、経験を重ねる事で、やがて成熟するのです。
幼児であっても、自分よりも弱い存在、小さな存在を、可愛い、と感じます。
赤ん坊や、動物を可愛いと感じます。
しかし、可愛いと感じる事と、愛する、尊重する、思いやる、という事は別の事です。
たとえば、幼い子供が、ペットショップで小動物のハムスターに心を奪われ、親におねだりして買ってもらったとします。
その子は、手のひらに収まるくらいの柔らかな小さな生命に魅了されます。
心底、可愛い、と思います。
その子は、その思いのままに、突っついたり、手に乗せたり、撫で回したりします。
可愛いから、放っておけないのです。
ハムスターは、体力も、ストレス耐性も、生命力も、その体躯なりです。
とても儚い生命です。
可愛いからと放っておけなくて、突っつき回されて、ハムスターは儚い生命を散らします。
その子は、心底可愛いと思っていても、小さな生命を思いやる程に、心が成長しておらず、
ハムスターを愛するところまでは届きませんし、小さな生命を尊重する事は出来ません。
その子の幼さは、可愛いからこそ突っつき回さずにはいられない、のです。
幼い愛は、独りよがりで、待てないし、放っておけないし、思いやれないのです。
心理的に未成熟な親は、幼い頃、独りよがりである事を禁じられた人です。
別の言い方をすれば、子供らしい子供時代が無かった人、と言えます。
自分の感情を殺し、親の顔色を伺い、親の感情を優先しなければならなかった為、
自分には価値が無い、と思い込み、深く傷つきました。
その時、心は凍りつき、成長の歩みを停めてしまいます。
心が成長出来ないまま、やがて親になっても、心は幼いままです。
我が子を可愛いとは思っても、
幼い心は、待てないし、放っておけないし、思いやれません。
だから、可愛いと思うに任せて、突っつき回さずにはいられません。
心が未成熟な親と、子供の関係は、前出の幼児とハムスターに似ています。
違うのは、ハムスターは突っつき回されて、儚い生命を散らしますが、
子供は心を壊されます。
心理的に未成熟な人が、その事に気がつくのは簡単ではありません。
傍から見て心の成熟度が測れるものでも無く、本人は心の成長が止まったまま生きて来たのですから、気がつき様が無いのです。
ただ、親になり、子供との関わり合いの中で、気がつく人は少なくありません。
日々子供と過ごす中で、思いもよらない自分の感情と出くわす事は多々あるのです。
可愛い我が子の笑顔が、親の自分は嬉しい筈なのに、何故か癇に障る、
可愛い我が子が、楽しそうなら、親の自分は嬉しく思う筈なのに、どういう訳だか腹が立つ、
自分ばっかりズルい!
そう感じてしまいます。
幼い心は、独りよがり、です。
自分が誰よりも楽しい気分でいたいのです。
注目を浴びたいし、誉められたいのです。
それなのに、この子は、自分ばかりが楽しそうなのです。
この子は、ズルい!そう感じます。
愛するにも、尊重するにも、思いやるにも、必要なのは、心の成熟です。
可愛い、と感じるのは、幼児でも感じます。
幼児の、ハムスターが可愛い、のも、心が未成熟な親が、我が子が可愛い、のも、
成熟した本当の愛では無く、そこには尊重も、思いやりも、ありません。
この子はズルい、と感じるなら、愛にも、尊重にも、思いやりにも届いていません。
心の未熟さは、色々な形で姿を現しますが、
子供や、後輩といった自分より弱い立場の者と接する時は、
とても分かり易い、と思っています。
見下げたり、虐めたり、自分の苛立ちをついついぶつけてしまったり、
ぶつけないまでも、激しい苛立ちを覚えるなら、
心は未成熟だと思って良い、と考えます。
述べました様に、気がつく事が難しいのですが、気がついたなら、
自分の心を育て直す事は、必ず出来ます。
子育ては母親にとって待った無しで、逃げ場もありません。
気がついたその時は、きっと苦しいことと思いますが、
自分で自分を育て直したなら、
我が子の笑顔を心から尊く感じます。
この子に教えられたなぁ、と思えたなら、それが、
心が劇的に成長した証しです。
読んで頂いてありがとうございます。
感謝致します。
伴走者ノゾム