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【全文無料】FACT REDLINE ALL THE FINAL@幕張メッセ9~11ホール 2024.12.08(Sun)

2015年11月20日。
とある一つのバンドの幕引きが行われた。

2024年10月25日。
そのバンドが再び息を吹き返す。

解散から復活までは9年。
大人の9年というと短いように聞こえるが、実際には小学校入学から中学卒業にまでわたる期間だ。

解散という二文字は重い。活動休止とは違い、希望がない。どれだけ待っても、祈っても、再び姿を見ることはできないのだから。
その分復活した時の喜びは想像を超える。「喜び」という一つの感情で完結させることができないほど。

そんな感動を、REDLINEは、FACTは我々に与えてくれた。


人がぎゅうぎゅうに詰め込まれた幕張メッセ、9~11ホール。
何も見えない。背伸びをしてやっとステージ中央のモニターが見えるほどだ。
かつてこれほど人を集めたバンドを観たことがあるか、自分の中で振り返る。

そんな中、会場がふっと暗くなり、モニターに "NEXT ARTIST IS FACT" と映像が映し出される。
いよいよだ。伝説の幕開けをこの目にしかと焼き付けなければいけない。

次々とメンバーが登場する。変に観客を煽ることなく、淡々とステージを歩いて各々の楽器やらを確認する。
ステージ中央で円陣を組む仕草を見せ、それを固唾を飲んで見守る観客たち。

そうして鳴り響く一曲目は「a fact of life」。
9年間か、またはそれ以上の年数この曲を待ち望んでいた観客は、その喜びを全身で体現する。
"おかえり!!" と言うかのように拳を突き上げる者や、"Thanks for the memory that doesn't fade in my heart" をシンガロングする者。
その歌詞通り、FACTの曲と共に歩んだ記憶は決して薄れることなく、ずっと各々の中に存在していたのだろう。

興奮冷めやらぬまま二曲目、「los angeles」の紡ぐビートに足を動かさずにはいられない。もうキッズという年齢ではなくなった観客も、一気にあの頃に引き戻してくれる、そんな曲だ。

その流れは「purple eyes」にも引き継がれる。
熱く燃え滾るフロアに反し、この日の幕張の気温は約13度+冷風。
しかし、幕張メッセの平均気温は初夏レベルだったに違いない。
"高低差で耳キーンなるわ" がリアルで体感できる場所だったはずだ。

Hiro(Vo.)が "最高!" と言い「purple eyes」を締める。本人たちも9年ぶりに味わう感覚に満足しているようで、それが伝播しこちらまで嬉しくなる。
もっともっと最高を更新するから、このままずっとFACTとしての活動をしてほしい。そう思ってしまう。

四曲目にセレクトしたのは「slip of the lip」。本当に何度聴いても、Aメロ、Bメロ、サビ、アウトロ等々すべての流れが心地よく、自然と口角が上がってしまうような曲だ。
ハンドクラップ、ジャンプ、そして何より欠かせないラストパートのシンガロング。
"This is where I belong even if I can't find it" を全員で幕張の地に響かせた。

すっかりこのステージを自らのモノにしたFACTは止まることを知らない。
"サークルピット!!" の雄叫びから始まるは「tonight」。
もうFACTを観ることはできないと知ったあの頃の悲しみ、怒り。
そして復活に対する喜びの気持ちを胸に、"Unstoppable emotion is running through my veins" の歌詞に乗せて走る、走る、走る。

Adam(Gt/Vo.)が "幕ファッキン張ー!!いいね、次行こうか" と軽く言葉を挟み、「FOSS」の出番がやってくる。
ニコニコ笑顔でライブを楽しんでいると、目の前にいた、何もわからないといった顔をした赤ちゃんと目が合う。
君は今、凄い瞬間に立ち会っているんだよ。いつか自慢するんだよ、と微笑み返す。

「FOSS」の演奏が終わり、静まり返ったステージでHiroが呟く。

"もうこの言葉を、生きていく中で言うことはなかった言葉を言わせてください"
"FACTですよろしくお願いします"

Hiroがそう言葉を発すると、歓声や拍手で返事をする観客。本当に温かく、皆が幸せな空間にいられると、目に熱いものがこみ上げてくる。

一呼吸置いて、改めて声を発する。

"約10年ぶりに戻ってくることができました。もう一度言います。FACTです、よろしくお願いします"

今度ははっきりとした地鳴りのような歓声でFACTを称え、これは現実なんだと喜びを噛みしめる。

"KTR(REDLINE主催者)からこの話をもらった時に色々考えたんですけど"
"まだFACTを観たことのないやつに観せてやれる機会もあってもいいかなと思って"

もしこのREDLINE ALL THE FINALが、FACTの解散直後や、コロナ禍で開催されていたら、きっとFACTの出演はなかっただろう。
本当になんとも、運命的なタイミングで開催されたフェスだ。

AdamやEiji(Dr.)にも話を振り、当人たちもクスクス笑いながら場を温める。こんなに大きい幕張のステージなのに、なんとも地元のライブハウスのノリを見ているようで、こちらも口元が緩む。

とはいっても持ち時間は35分。永遠にこの時間を享受していたいが、それも難しい。
サッとスイッチが切り替わり、伸びやかなボーカルから「disclosure」を召喚する。
続けて休みなく軽快かつクリアなギターサウンドと共に「miles away」をぶち込む。ギターの一音目で地鳴りのような歓声をあげるこの曲、さすがだ。

ここでHiroから嬉しい発表だ。この日まで伏せられてきたFACTの活動について言及される。
"ツアーもやろうと思う" 
"FACTはまた解散する。限られた時間しかないから、後から見たかったじゃ遅いから、そっちの方もぜひ観に来てください" 
Hiroの言葉に念押しをするようにKazukiもマイクを握る。
"俺らだけじゃなくて、他のバンドもそう。行ける時に行かないと"
まさに「推しは推せる時に推せ」だ。個人的に、推せずもう二度と観ることができなくなってしまったLINKIN PARKという存在がいる私にとって、この言葉は重く響いた。

さあ、嬉しいお知らせもあったことだし、そろそろお別れの時間だ。とは言っても、今回は今生の別れではないが。
"陽は昇ったぜー!"とHiroが声を掛けると、この復活のステージを締める「rise」が顔を覗かせた。
悲しみの、別れのシンガロングではなく、また会おうという希望を持ったシンガロングと共に、復活のステージは幕を閉じた。


FACTのツアーは2025の夏〜秋で開催される。
しかし、ツアー日程はすっぽりと7,8月の夏フェスの季節が抜けている。ということは、そういうことなのではないか?と期待してしまう。
しかし確証はないのでやはりツアーに足を運ばなければ。
チケットぴあで抽選受付中なので要チェックだ。

やはりerrorやthis is the endやapeも聴きたいのでツアーも夏フェスも行くしかない!
2025年は非常に心躍る年となりそうだ。

(以下Twitterリンクお借りします)

<セットリスト>

  1. a fact of life

  2. los angeles

  3. purple eyes

  4. slip of the lip

  5. tonight

  6. FOSS

  7. disclosure

  8. miles away

  9. rise


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