小学生のとき同級生からうけた性暴力。
相手は仲のいい男の子だった。
一緒に遊んでいたときのこと。
今でも鮮明に覚えている。
その日も、ただ遊んで、学校の話をして、
漫画の話をして、恋愛の話をして、
夕方になり帰ろうとした時。
「話をしよう」と言われて
建物の陰に引き摺り込まれた。
肩を組まれ、強引に襟から手を入れられ、
握り潰すように胸を掴まれた。
襟が引っ張られ、
わたしの首が絞まるのを見ると
「苦しそうだから」と
ブラウスのボタンを外され、
襟元から中を覗かれた。
「もう帰る時間」と言って
掴んでくる手を振りほどき、
自分の自転車に乗って逃げようとした。
髪を掴まれて引き摺り降ろされ
ペダルで足が傷だらけになっているのを
彼は見向きもせず
何度も建物の陰に連れていかれた。
とても力が強かったのを覚えている。
同い年なのに、ここまで抵抗できないのかと
男と女の差を思い知った。
わたしは、相手の機嫌を損ねないように
これ以上酷いことをされないように
無理矢理笑いながら、その時間をやり過ごした。
幸い、服を全て脱がされることも
行為に至ることもなかったが、
恐怖は刻み込まれた。
ただただ、怖かった。
家に帰ってから、普通に振舞って過ごした。
この出来事は、
両親には話さなかった。話せなかった。
相手の少年のことは、
わたしの両親もよく知っている。
同じスポーツチームに所属していたから
毎週のように顔を合わせていた。
わたしの父は
キレたら何をするかわからない。
もしわたしが今日の出来事を話したら
相手の少年を
相手の家に怒鳴り込みにいくかもしれない。
ボコボコに殴りに行くかもしれない。
もしかしたら、
わたしの話は信じてくれないかもしれない。
どちらも想像できてしまったから、
わたしは黙った。
相手の子が殴られるのは可哀想だし、
信じてもらえないのは自分が傷つくから。
だから黙って、
忘れようと心掛けることにした。
翌日、
彼は学校で
何事もなかったかのように話かけてきた。
わたしはこれまでと変わらず、
笑って受け答えた。
自分のやったことが許されたと思ったのか、
彼は同じことを再びわたしにおこなった。
「話があるから」「他の女子もいるから」
と呼び出された。
行かないと何をされるかわからなかった。
今度は学校で虐められるかもしれない。
スポーツチームでの居場所が無くなるかもしれない。
充実していた小学校生活を
壊されたくなかったから、行ってしまった。
二度目が起こって以降、
彼からも、他の友達からの遊びの誘いも
「塾があるから」と無難な理由をみつけて
すべて断った。
友人関係を最低限に減らした。
スポーツチームでは、へらへら笑いながら
ただ時間が過ぎるのを待っていた。
この出来事からわたしが学んだのは
“わたしが黙っていれば誰も傷つかない”
“嫌なことは笑ってやり過ごせばいい”
ということだった。
今でも当時のことは夢にみる。
泣き叫びながら目を覚ますこともある。
今でも相手のことが憎くて仕方がない。
相手が住んでいる地元に帰るのが怖い。
こんなことを抱えていても
生きていかなくてはいけないことがつらい。
この記事を最後まで読んでくれた方へ。
子ども同士だから、仲が良さそうだから、
笑っているからと言って、何かが起きていないとは限りません。
子どもたちが安心して、楽しく過ごせる社会のために、ほんの少しだけ、子どもたちの言葉や行動を気にかけて、
あたたかく見守ってくださるよう、
お願い致します。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?