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【人と地球に優しい】炊飯器で作れる☆すももの夏バースデーケーキと、手作りネームプレート&キャンドル
●グルテンフリー、小麦・大豆・乳製品アレルギー、無添加、オーガニック、アニマルウェルフェア、非遺伝子組み換え対応可能ケーキレシピ
●ケミカルフリー天然オーガニック蜜蝋バースデーキャンドルレシピ
↑ 英語でも記事を書いています
I also write articles in English.
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毎年来る夏の誕生日会
バースデー用のネームプレートから毎回手作りしているのですが、ケーキの材料を買いに行くと、やっぱり苺はありません。
その代わりに真っ赤なすもも(大石早生)が店頭に並んでいます。
酸味が強く弾けるような瑞々しい果肉と、ほのかな香りが特徴の大石早生。
そのまま食べるのであれば別の品種のほうが甘くて美味しいのですが、鮮やかな色彩と強い酸味が実はケーキにピッタリなんです。
…え?
桃のほうが美味しい?
メロンやマンゴーのほうが甘くて好き?
ちょっと待って!
そんなこと言わないでっ!
夏はすもも。
すももも桃も桃のうちでしょ!?
スポンジから手作りすると本当に美味しいのに…。
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世間ではマイナーなケーキ。
でも私にとってはずっと定番。
もっと多くの人に魅力を知ってほしい!
そんなわけで今回は、
大石早生を使った色鮮やかなバースデーケーキのレシピ
初めてでもそれっぽくなるデコレーションのコツ
人と地球に優しいケーキ飾りのレシピ
このあたりについて私なりに書いていきたいと思います。
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●ケーキの作り方
・スポンジについて
必ず前日に焼いたものを使用します。
当日焼くと粉っぽくてあまり美味しくならないので、必ず前日に。
私はいつも炊飯器で焼いています。
分けずに全卵をそのまま泡立てて、バター無添加で作っています。
もちろん卵黄と卵白は別々に泡立ててもOK。お好みで選んでください。
卵黄と卵白を分けない共立て法(ジェノワーズ)のマイレシピは下記より ↓
卵黄と卵白を分ける別立法(ビスキュイ)のマイレシピは下記より ↓
スポンジに使う卵について
材料がシンプルであればあるほど、何を選ぶかで美味しさに差が出ます。
ですが、高級卵であれば良いかと聞かれると、それも一概には言えません。
結局どれを選ぶかは個人の自由なのですが、卵に拘りたい人は以前書いた記事があるので是非読んでみて下さい ↓
生地の泡立ちに大きく影響するため、必ず鮮度の良いものを使用すること。
グルテンフリーや無添加に拘った既製品のスポンジケーキも購入できるようになってきましたが、シンプルな材料と道具で気軽に手作りできるので、是非参考にしてみてください。
デコレーションはなるべく食べる3時間~6時間前に済ませます。
できたてを食べても美味しいのですが、冷蔵庫で休ませたほうがクリームや具材の水分がスポンジによく馴染んで断然美味しくなります。
予定を組んで時間を逆算してから作ること。
焦らずゆっくりが大事です。
・すももについて
皮ごと食べるので有機や無農薬の大石早生がおすすめ。販売期間が非常に短く、生産者もまだまだ少ないのですが、インターネットでも購入できます。
すももは品種によって味や大きさが変わりますが、赤っぽい色であれば他の品種でもできます。
種の取り方は桃とほぼ同じ。
食べごろ果樹園さんの動画がとてもわかりやすいので参考にしてください ↓
1.流水でよく洗い、割れ目に沿って包丁で縦一周切り込みを入れる
2.上から見て十字になるように、もう一周縦に切り込みを入れる
3.ルービックキューブを回すように、両手で果肉をねじりとる
(うまく取れない場合は、種に沿って包丁を少しずつ入れて取ります)
切り方や並べ方はお好みでOK。
今回はデコレーション用に4等分にした果肉を10個使用して、その他は一口大に切って間に使用。大石早生は1パック分(全部で8個程度です。)
小さめのものを使って、数を増やしてもOK。赤く形が整っているものはデコレーションに使います。
味見をして酸味が強烈な場合は、量を減らしたりクリームを甘めにするとバランスが良くなります。3段にするときは、すももを減らしてバナナなどの別の果物にしても美味しいです。
今回は省いていますが、変色を軽減したい場合は1%程度の塩水に10分程さらすか、レモン汁を適量かけて馴染ませてください。
下準備が終わったら、使う直前まで冷蔵庫に入れておきます。
・生クリームについて
生クリームは低脂肪にするか高脂肪にするかでも濃厚さが変わります。
(30程度であれば程良く、50程度であれば濃厚になります。)
添加物が入っている生クリームの方が、夏場などホイップした後に形が崩れにくくなるのですが、健康を考えるなら不要だと思います。
一般的なスーパーで購入できる商品の中では、タカナシさんの生クリームが添加物不使用で個人的にはおすすめです ↓
遺伝子組み換えが気になる人は、丹那さんや四酪さんの生クリームがおすすめです ↓
国産グラスフェッドの無添加生クリームなら、なかほら牧場さん ↓
グラスフェッドビーフ(牧草飼育牛)とは
自然環境の中で牧草を自由に食べてのびのびと育った牛のことです。
日本で主流の穀物飼育と比べると、ストレスや環境負荷が少ないのが特徴。肉や乳製品は本来の美味しさを感じられるものが多いです。
業務用にはなりますが、有機JASを取得している生クリームを購入することができるセタナオーガニックさんのショップもあります ↓
高脂肪の生クリームを低脂肪にしたい場合は、よつ葉さんのQ&Aが参考になります ↓
乳製品不使用のクリームを作りたい場合は、後述する「乳製品不使用ホイップクリームの材料と作り方」を参考にしてください。
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・スポンジの切り方について
必ず冷蔵庫でしっかり冷やしてからお皿の上にのせます
垂直に1本、水平に3本、深さ1cm程度の目印の切り込みを入れます
回しながら小刻みに切り、浅い切り込みをまず一周入れます
さらに回しながら少しずつ切っていき、最後に中央を切り離します
水平に3枚カットしたら、最初の目印に合わせて重ねます
自己流なのですが、私はいつも小指をテーブルに当てて、包丁の高さをなるべく固定しながら水平に少しずつ回して切っています。
スポンジの奥と手前にガイドとなる同じ高さの棒を2本平行に置き、それに沿わせるように横から真っすぐ切る方法や、紙を巻いてから切る方法もあるのですが、道具を準備するのが面倒なので私はやっていません。
一方方向から切る方法は家庭用の短い包丁ではスポンジが上に乗ってしまい上手くいかないことがあるため、身近な道具で綺麗に切るには回しながら少しずつ切っていくのがおすすめです。
周囲から確実に切っていくので、途中で曲がったり崩れたりすることが大幅に減ります。切り終わったら再度乾かないように包んで、クリームの泡立てが終わるまで冷蔵庫に入れておきます。
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・クリームの作り方について
動物性ホイップクリームの材料と作り方
生クリーム:200ml×2個
苺ジャム:大さじ4~5杯程度
ジャムを使うとクリームの色が若干変わりますが、ペクチンの作用によって泡立て時間が短くなるので、今回は有機苺ジャムを使用しています。
(大きい果肉が入っていると泡立てるときに飛び散りやすくなるので、果肉が小さめのものが作りやすいです。)
乳製品不使用ホイップクリームの材料と作り方
添加物が多い市販の植物性生クリームを使用せず、ココナッツミルクや米粉を使って手作りすることもできます。豆乳でもアーモンドミルクでも可。
↓ 森の米パンさんの動画が大変参考になるので、宜しければご覧ください。
(クリームの扱い方は動物性と異なるため、必ず概要欄を参照すること)
・必ず味見をして調整
クリームに使う材料は、他の材料をそれぞれ必ず味見してから調整します。
この時期は夏バテしている人も多いので、動物性なら脂肪分35%の生クリームを使って甘さを控えめにするのがおすすめ。
季節の他に、好みや食べるタイミングなども考えながら決めてください。
・甘みの付け方はお好みでOK
蜂蜜やメープルシロップでも美味しいです。
少ない量でも砂糖と同程度の甘味が感じられ、全体の風味もアップします。
私は健康志向なので基本は有機甜菜糖を使い、代用できるところは有機メープルシロップや蜂蜜、有機苺ジャム等を使うことが多いです。
※蜂蜜を使用するときの注意
蜂蜜にはボツリヌス菌という細菌が含まれている場合があるため、腸内環境が整っていない1歳未満の赤ちゃんには絶対に与えないでください。
熱に強く、加熱調理では殺菌できません。
与える場合は1歳を過ぎてからにしてください。
・夏場は絞らなくても8分立
大き目のボールに氷か保冷剤を沢山入れ、水を入れます。その上にボールを重ねて必ず冷やしながら泡立てます。
生クリームは暑さに弱いので、暑い時期はややしっかりめに泡立てるようにすると最終的に丁度良く仕上がりやすいです。
泡立てた後も冷蔵庫や保冷剤で冷やし続けるようにしてください。
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・重ねる順番とコツ
クリーム → すもも → クリーム →スポンジ
これを2回繰り返します。
どの程度間に入れるかは好みですが、中心に乗せすぎないようにすると切ったときに先端が崩れにくくなります。
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★クリームを塗るときのコツ
上にまずたっぷりのせる
塗るよりも置くイメージで全体に厚く広げる
段の隙間の空洞はしっかりクリームで埋める
お皿を回しながらヘラを滑らせるように当てて、上面を整える
お皿を回しながら側面のクリームを整える
上面に飛び出た側面のクリームを整える
最後にお皿についたクリームを拭き取って完了
隙間などに空洞があると塗っている最中に穴が空いたようになってしまうので、埋めるように意識してクリームをまず置くのがポイントです。
↓ 違う部分もありますが、全体としてはクラシルさんの動画だとイメージが掴みやすいかもしれないので参考にしてみてください
昔で言うとレコードみたいな感じ。
ヘラを持っている手はあまり動かさないでお皿を回すのがポイント。
難しい場合は凹凸をランダムに付けてもお洒落に仕上がります。
下が剥がれてしまうのでペタペタはしないこと。
中央はネームプレートを飾るので余ったクリームを盛ります。
すももは尖ったほうを外側にして放射状になるように配置。一度置いたら置き直しをしないようにすると綺麗に仕上がります。
★シンプルでもちゃんと見せるコツ
・クリームよりも他の具材を主役にする
大きめの果物やメッセージプレートを飾ると、クリームの形がランダムでもさほど気にならなくなります。完璧を求めないのであれば、絞り袋は無くても大丈夫。
・足元のお皿は常に綺麗にする
ラフな服装をしていても靴がピカピカだとちゃんとした格好に見えます。
ケーキもある意味それと同じで、足元にあるお皿にクリーム等の汚れがついていない状態を心がけると、上がラフな塗り方でも綺麗にまとまります。
汚れてしまった場合は、清潔なティッシュや布巾を折りたたんで、淵に沿わせるように一周拭き取るようにしてください。
夏場はあまりおすすめしませんが、絞り袋を使う場合はこちらの見せ方も是非参考にしてください ↓
●簡単手作りネームプレートの作り方
・プレートの材料
一般的に売られているものは添加物や着色料等が多いので、私はよく手作りしています。
ベースにするのは板チョコでも良いのですが、夏は特に冷蔵庫と室内の温度変化が激しくて結露しやすくなります。個人的には美味しくて見た目が崩れにくいビスケットをベースにするのがおすすめ。
どんなケーキの具材でも、ビスケットなら比較的よく合います。
↓ 私がよく使っているのはこちら
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・グリコ 発酵バターが薫るショートブレッド
【原材料】小麦粉(国内製造、シンガポール製造)、発酵バター、砂糖、マカダミアナッツパウダー、食塩、(一部に乳成分・小麦を含む)
産地等これ以上の情報が無いので何とも言えないですが、現状ではスーパーで購入できる数少ない無添加ビスケットです。
ショートニングやベーキングパウダーも不使用。
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・Walkers Shortbread
【原材料】小麦粉、バター、砂糖、食塩
塩気がやや強めではありますが、イギリスのビスケットも日本のスーパーで購入しやすくなっています。ケーキのサイズに合わせて、2個~4個使うとちょうど良いです。
オーガニックビスケットもありますが、四角いものが少なく原材料がシンプルなものも少ないので、今後増えていくことを期待しています。
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↑ 小麦ではなく米粉クッキーを選ぶなら、こちらもおすすめ。
体に優しい材料に拘っている、小麦と乳製品フリーの米粉クッキです。
げんきタウン やさしい豆乳クッキー プレーン
【原材料】米粉(国産)、てんさい糖(国産)、菜種油(遺伝子組み換えでない)、有機豆乳、大豆粉(国産)、さつま芋澱粉(国産)、有機ココナッツ、自然塩
・米粉クッキーで手作りもできます
卵・バター・豆乳・ナッツ・砂糖不使用の体に優しいクッキーレシピです。
kinakoさんのレシピがとても参考になります ↓
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冷蔵庫でケーキを休ませている間に、文字を書いておきます。
個別包装になっているので、文字に合わせて個数調整しやすいです。小さな穴も書くときのガイドになるので便利。
全部で11枚。今回は4枚使用。
ケーキに固定するのでやや上寄りに書くのがポイントです。大きめのオーソドックスな書体であれば、初めての人でも簡単に書くことができます。
余ったチョコはビスケットの接着に使えます。書き終わったら冷蔵庫へ。
・デコペンも色々
天然色素であっても人によってはアレルギーや不調の原因になるため、色はオーソドックスな茶色のデコペンがおすすめです。
デコペンを手作りしたいときは、パティシエールさんの動画がわかりやすく参考になります ↓
道具は食品用として売られているものを使ってやってみてください。
使用するチョコレートの選び方は、下記の記事を是非参考にしてください。オーガニックのチョコレートや、アレルゲン28品目を含まないチョコレートについても書いています。
チョコ以外で書きたい人は、野菜から作られたジョイベジもあります ↓
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デコペンも手作りできますが、できれば無添加や有機素材のものがスーパーで普通に買える時代が来てほしいですね。
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・飾ったら完成
サクッとした食感が好きな人は、ロウソクを飾るタイミングで乗せると◎
かなりボリュームのあるケーキになります。
食べ応え抜群。
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★綺麗に切るポイント
切る前にケーキをしっかり冷やしておく
包丁は必ず事前によく研いでおく
包丁をコンロで炙るかお湯で温め、水気をよく拭いて切る
ついたらその都度拭き取り、また温めてから切る
できるだけ小刻みに動かすようにして切る
すももが切りにくい場合は、別皿に取り出して個別に切る
スポンジの断面と包丁の隙間にクリームが入ってしまうと見た目が悪くなってしまうため、できるだけ包丁が左右にぶれないようにします。両方の断面に密着させた状態で小刻みに切るのがポイント。
切っても切っても、ふわふわの断面!
瑞々しく酸味のある大石早生は、生クリームやスポンジによく合います。
え~? すももってどうなの? と思っている人も、参考にしていただけると嬉しいです。
●バースデーキャンドルについて
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・人と地球に優しいバースデーキャンドルを考える
ここからは、ちょっと余談です。
誕生日ケーキのロウソクを使うときに毎回思うのですが、吹き消した後の煙の臭いがちょっと気になるんです。
換気をしていても、やっぱりこの煙はあまり吸いたくないかな~と…。
私は原型師の仕事をしていたときに蝋を頻繁に扱っていたので、色々と思うところがあるのです。
当時は合成香料や石油由来のパラフィン等を含んだ造形用の蝋を、ワックスペンや高温の半田ごてで溶かして、日々原型を作っていました。
煙が出るのは日常茶飯事。
以前はそれが当たり前だったので気にすることもなかったのですが…。
今は、やっぱり体に良くないなと感じるのです。
パラフィンではなく安全性の高い蝋で作られたバースデーキャンドルを購入したり手作りしたいなと、いつしか思うようになりました。
価格だけを見ると非現実的ですが、1つの選択肢として、これからの時代は当たり前にあっても良いと私は思うのです。
そして、
特別な日に大切な人と囲む食卓をより良くするために、私が今まで培ってきたスキルが使えるのなら、自分でも何か作って皆さんに伝えていきたい。
まずは初めてでも作りやすいものから、ちょっと書いてみたいと思います。
へーほーふ~~ん。こんなものもあるのだなと、少しでも興味を持っていただければ嬉しいです。
・ロウソクの蝋は蜜蝋がおすすめ
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蜜蝋(ミツロウ)とは、簡単に説明すると蜜蜂の巣の材料。
蜂蜜や花粉を食べた蜜蜂が、体から分泌する天然のワックスです。巣入りの蜂蜜を食べたことがある人は既に知っているかもしれませんね。
蜂蜜を収穫した後に不純物を取り除いて作られているため、蜂蜜の甘い香りがします。リップクリームやお菓子作り(カヌレ)にも使われています。
・伝統的な方法で作るなら
少しずつ蝋をつけて作るオーソドックスな蝋燭は、テーパーキャンドルと呼ばれています。蜜蝋で細く短いバースデーキャンドルを手作りするなら、この方法が簡単で作りやすいです。
↓ 作り方はルトロンさんの動画がわかりやすく、参考になります。
・手作りキットで作るなら
鍋や特別な道具が無くても、工作感覚で楽しく作れるキットもあります。
昔は煮溶かして流して成形するのが当たり前だったので、私は初めてミツロウシートを見つけたときに衝撃を受けました。
紙のようにも粘土のようにも扱えて便利です。
↓ 次は中級者向け
・型を使って作るなら
好きな形の原型を作って型取りすると、沢山のキャンドルを一度に作ることができます。
こんにゃく型
食品素材で作られている体に優しい型です。
細かい造形の型取りや長期保存をしたいときには向いてないのですが、小さなお子さんと一緒に作りたいときや、短時間で素体になるものを作りたいときに大変便利です。
↓ 詳しい使い方はこちらの動画が参考になります
ただ、現在では取り扱いをされていないようです。
購入は難しいかもしれません。
販売再開や別商品を見かけたら、またこちらでご紹介します。
シリコン型
↓ ケーキの上にのせるにはちょっと大きいのですが、型や蜜蝋の扱い方が参考になるので、はちみつ屋さんの動画もご紹介します
シリコン型の作り方について
自分好みの形の原型があるなら、型をとって作るとより楽しめます。
型の作り方は以前書いた記事があるので読んでみてください ↓
ソフビ原型用のワックスで作ったときの様子ですが、みつろうの造形にもある程度応用できるので載せておきます。
■■■ 蜜蝋で食品用として作るときの注意点 ■■■
食用で使うときは普段よりも衛生面や安全性に配慮する必要があります。
使い慣れた道具を持っている場合も、以下の点に十分注意してください。
・1歳未満の赤ちゃん用には作らない
・キッチンなどの衛生的な環境で作る
・食べても安全な食品以外は材料に使わない
・調理道具や食品用の材料を必ず使用する
・道具や材料などは他の用途で共有しない
終始食べ物を作る意識を持って作業するようにしてください。
■道具の代用例
・カッターマット → 木製まな板・厚い食用シリコンシート
・カッター → ステーキナイフや果物ナイフ
・アクリル定規 → ステンレス定規
・きり → 爪楊枝・バーベキュー串
・ヘラ → ステンレス製スパチュラ・割り箸
・シリコン → 食品用シリコン
・段ボール → 食品用段ボール
・温度計 → 食品用温度計
・マジック → 食品用マジック
・接着剤 → 溶かした蜜蝋・ご飯・食品用接着剤
・梱包材 → ラップ・アルミホイル・オーブンシート
・洗浄液 → アルコール・台所用洗剤
・こし布 → 布巾・お茶パック・キッチンペーパー
・軍手 → ミトン
↓ シリコンを選ぶときは成分分析などが行われているシリコンが安心です
・型を使わないで作るなら
ちょうど良い形の容器があれば型はいりません。
ただし、紙コップなどの容器は便利な反面、ほぼ全てにプラスチックがコーティングされています。購入する前に商品情報を確認してみてください。
熱い蝋を入れるので、型を使わないで作るときは食洗機やレンジ対応の食器を私は使っています。
熱に強い
食品用として使える
湯煎や電子レンジ可能
表面がツルツル
溝やくびれが無い
壁面が垂直
程よい高さがある
普段使っていない
こんな食器があればちょうど良いです。
ケーキに使うのでアロマ用も避けてください。
・家にある食材でも型は手作りできる
使い切りの簡単な粘土型であれば、米粉・油・水で作ることもできます。
米粉と水3:1に油を少量加えて練り混ぜます。米粉によって吸水率や固さが変わるため、様子を見て分量を調節してください。
乾燥すると大きさが変わるので精密な原型作りには向いていませんが、アレルギー体質の人や敏感肌の人も安心して作業できます。
粘土ができたらお好みの原型を直接押し当てて凹みを作り、型とします。
乾燥する前に蝋を流し、固まったら周りの粘土を取り除いてください。
◆手作りするときのポイント
・優しい素材を揃える
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オーガニック蜜蝋
1歳以上であれば環境や体に優しく煤が出にくい蜜蝋がおすすめです。
そして蜂蜜と同様に、蜜蝋にもオーガニックがあります。抗生剤や人工的な砂糖水を日常的に与えられている蜜蜂が作った蜜蝋よりも、私はなるべく自然に近い生活をしている蜜蜂の蜜蝋を選んでいます。
蜜蝋の特徴
・蝋の中で最も体に優しく負担が少ない
・燃やしても嫌な臭いがしない
・作業中も美味しそうな甘い匂いがする
・造形が比較的しやすい適度な硬さがある
・粘りも適度にあって、ひび割れしにくい
・熱を加えて溶かさないと付けても剥がれる
・他の物に付くと掃除がやや大変
・日光に当たると色が薄くなっていく
・融点がやや低め
・冷めると体積が減る
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ブロック状の蜜蝋は、100円ショップでも売られているステーキ用ナイフで皮を剥くように削ると溶かしやすいです。
面倒な人は粒状になっている蜜蝋もあります。
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合成香料&合成着色料無添加
色も天然のオーガニック素材に拘りたくて、キッチンにあるものを選択。
蜜蝋約5gと染料を左の容器に入れて溶かし、試しに8種類作ってみます。
上段左から:ビーツ、コーヒー、プレーン
混ぜても混ぜてもプレーンと同じ色で沈みます。
中段左から:ターメリック、シナモン、パプリカ
カレー粉に使うスパイスは色がつきやすい。
下段左から:抹茶、純ココア、カイエンペッパー
油溶性でしっかりした色がつきます。
黒ゴマは油分が多くて固さに影響しそうなので割愛。紫キャベツもスーパーであまり売られていないので割愛します。(恐らく水溶性)
ビーツとコーヒーは水溶性で全く溶けません。
毎日何気なく飲んでいるカフェオレ。コーヒーは牛乳の油脂ではなく実は乳清に溶けています。
茶色はシナモンよりもココアの方が発色が良くて馴染みやすい。蜜蝋がカカオバターの代わりになって、まるでチョコレートのようになります。
他の天然色素も気になる人は、鹿光生物科学研究所の研究データがある程度参考になるかもしれません。色々あって面白いです。
・優しい道具を揃える
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芯も食品用対応素材にする
燃やしたときに有害物質が発生しにくい金属フリーの素材を使用します。
今回は食品用で長時間使用するキャンドルではないので、お肉を縛るときに使うたこ糸を使います。
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造形用の道具を準備する
上から
・100円ショップのステーキナイフ
・100円ショップのバーベキュー串
・100円ショップのパフェスプーン
・100円ショップの蟹フォーク
・100円ショップの小フォーク
・自作の純銅ワックスペン
・手作り割り箸スパチュラ3本
その他
・爪楊枝
・キッチンペーパー
・クッキングシート
・ステンレスバット
・アルコールスプレー
道具も洗浄や除菌をしてから使います。蜜蝋は比較的軟らかいので、割り箸で手作りした道具でも作業できます。先端が斜めになっている割り箸なら割っただけでも使用可能。
写真にはないですが、穴あけ道具は爪楊枝の持ち手部分の先端を半分の太さになるようにカットしたものを使っています。
手で持って回転させながら押し当てると、簡単に穴を開けられます。
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★ワックスペンに一工夫
蝋を溶かすことができる便利なワックスペン。
造形用のペン先は、真鍮素材にニッケルメッキがされています。
ニッケルは金属アレルギーなどの懸念があるため、純銅製にアレンジ。
ワックスペンのペン先には銅などの安全性の高いものが見つからないので、半田ごて用の純銅ペン先を選んでいます。
既存のペン先にアルミホイルを巻き、その上にかぶせて固定しています。
銅は鍋や食器にも使われる安全性の高い金属。
長くなり熱伝導率はやや落ちますが、温度を少し高めに設定すれば蜜蝋には十分使えます。
(ワックスペンも純銅製のペン先が製造されることを期待しています。)
●手作りキャンドルの作り方
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1.本体を作ります
チョコレートを溶かすときのように蜜蝋を細かくして、器に入れます。
小鍋で湯煎して溶かすのが一般的ですが、少量ならレンジで湯煎して溶かすこともできます。
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冷めてくると体積が減る性質があり、中央が凹んでいきます。
冷蔵庫でしっかり冷やして固めたら取り出します。
側面と底面だけを湯煎やドライヤーなどで温めて溶かし、プリンをお皿に出すときのようにクッキングシートの上へひっくり返します。
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2.爪楊枝のドリルで穴を開けて、芯を通します
普通の糸のように予め先を湿らせると簡単です。
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3.底面に蜜蝋を足して蓋をします
蜜蝋のかけらを追加してワックスペンで溶かしながら作業します。芯を立てるようにして埋めていくのがポイント。
蝋と蝋はお互いを溶かして混ぜないと完全には接着できません。
上から注ぐだけでは不十分なのでワックスペンがあると安心です。
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4.芯に蜜蝋を繰り返しつけて蝋燭にします
細くて短いものはすぐに終わります。
大きいものは芯の先端を折ってからつけて、後で溶かし出します。
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5.全体的に形を整えます
足りない部分に蜜蝋の塊をのせて溶かし、肉付けをします。
中に泡や空洞を見つけた場合は、ひび割れなどの原因になるのでワックスペンで溶かしてから蝋を補充し、なるべく綺麗に埋めます。
終わったら全体的に削って、表面を磨きます。
■快適な蜜蝋造形のポイント
・爪を切り指輪などは外しておく
(当たると傷が簡単に付いてしまうため)
・キッチンペーパーなどを最初に切っておく
(ついた削りかすや油分を取りやすくするため)
・基本的に蝋はシンクに絶対流さないこと
(こびりついて詰まるので燃えるゴミに捨てます)
■アルコールを含ませたキッチンペーパーで磨く
本当はしみ抜きで使うAベンジンなどの薬剤を使った方が断然早く仕上げられるのですが、バースデーキャンドルにはタブーです。
アルコールには凹凸を溶かすパワーは無いものの、キッチンペーパーと組み合わせれば安全性を損なうことなくピカピカにすることができます。
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6.色をつけたい部分に、カラーワックスをのせて馴染ませます
のせるだけだと剥がれてしまうので、接着面も適度に混ぜ溶かします。全てにカラーワックスを使うこともできますが、燃やすと良くも悪くも匂いが出てくるため、なるべく表面にだけ薄く溶かし付けるのがポイント。
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7.芯を整えて洗浄し、アルミホイルを巻きます
芯が太い場合は余分な蝋を溶かし取り、足りない場合は補います。適度な長さに切ることも忘れずに。終わったら食器用洗剤で洗って水気を拭き取り、乾いたらアルミホイルを巻きます。
長さなどはお好みでOK。今回は4cmに切ったアルミホイルを4等分にして、4×6cmにしています。
縦横片側だけ5mm内側に折り込み、折っていないほうから巻きます。
最後に先端がやや細くなるように整えてください。
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左から、ターメリック・パプリカ・カイエンペッパー・シナモン・抹茶・純ココア、そしてオリジナルキャラのキャンドルも完成です!
今回のオリジナルキャンドルのモチーフになっているキャラクターは、自キャラのラブミーです。詳細や生い立ちは下記にて ↓
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体に優しい素材で作っているので、万が一溶けてケーキに垂れても安心なのですが、蜜蝋のバースデーキャンドルは溶けるのがやや早いため、早めに吹き消してください。
混ぜている染料の種類や量、蝋燭や芯の長さなどによって炎の大きさや燃焼時間が変化します。色々な種類を作ると均一にするのはなかなか難しいですが、それも手作りならではの味として楽しんでいただければ幸いです。
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保管方法と利用について
蜜蝋は日光や湿気に弱いため、キッチンペーパーで包んだあとアルミホイルなどの光を遮断できるもので包み、乾燥剤と一緒に密閉保存します。
次回使うときは表面にカビや汚れなどがないかをよく確認して、改めて洗浄やアルコール除菌をしてから新しいアルミホイルを巻いてください。
蝋は時間が経つと表面に白っぽく油分が浮いてきますが、アルコールで拭き取って再利用することができます。
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ケーキは食べて美味しいだけじゃない
食べるのは一瞬。でも、大切な一瞬のために。
調理する人にも
食べる人にも
作る人にも
生産する人にも
環境にも
それぞれ負担が少なくなるように、私達にはできることがあります。
1つのバースデーケーキには拘りや想いが詰まっています。
今回は食べられない飾り部分も含めて私なりに書いてみました。
(なんだかんだで原型師の原点まで戻ってきた。)
バースデーキャンドルを作る過程で、造形用に使える安全性の高いワックスもできて感慨深い。
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蜜蝋に抹茶で色を付けると、形が見やすくなって造形向きの蝋になります。お茶パックで漉すか、粉が溜まりやすい底部分以外の蝋を使います。チョコ好きの人は純ココアで着色してもOKですが、保管状況によっては虫が来るかもしれないので作ったあとは念のため注意してください。
もっと硬さを出したいときは
植物性で安全性の高いカルナバ蝋をお好みの分量配合してください。
力を加えたときにヒビ割れしやすくなりますが、摩耗や接触に強くなり、細かいシャープな造形もしやすくなります。
食べ物に関しては安全性や環境への配慮がしっかりされている商品が増えてきているのですが、キャンドルやワックス原型製作に関しては価格や効率重視のことが多く、作り手の健康や環境への配慮は二の次になりやすいです。
一部に蜜蝋などを使う現場はあっても、まだまだ少ないのが現状です。
制作費用なども限られていて現実は難しいかと思いますが、物作りの現場でも柔軟な素材の選択や配慮がもっと行われていくことを私は願っています。
そもそもロウソクから手作りする人はまずいないかと思いますが、現在は手作りのハードルも下がってきているので、1つの選択肢として今回の記事が皆さんの参考に少しでもなれば幸いです。
一読していただき、ありがとうございました。
更新情報について
(大きく変更した場合はここでお知らせします。)
2024.6,25
各アレルギーにもより対応しやすくなるよう更新
食べる人や作る環境が変わっても対応しやすい、持続可能なレシピを追求
2024.7,9
卵、生クリーム、すももについてさらに詳しく追記
2024.7,10
Walkers Shortbread を追記
手作りキャンドルを実際に使った写真や説明を追記
2024.8,11
英語の記事を作成し、リンクを追記
商品内容や販売状況は少しずつ変化しています。
最新情報を書いても過去の情報になっていくため、商品内容が変更されていたり、生産中止や販売終了になっている商品もあります。
他に良いものが見つかったときに随時更新をしていますが、他に良いものが見つからない場合は過去の良品情報として残していきます。購入する際は最新情報を必ずよく確認するようにしてください。
記事はこれからも更新していきます。
一度読んだら終わりではないと考えているので、機会があればその都度こちらの記事を参考にしていただけると嬉しいです。
今後もどうぞ宜しくお願い致します。
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