【シリーズ 旅と読書③】北イタリアを舞台としたおすすめ小説
アントワーヌ・ガラン翻訳の『千夜一夜物語(アラビアン・ナイト)』(1704年)、ジュール・ヴェルヌの『八十日間世界一周』(1873年)、アガサ・クリスティの『オリエント急行殺人事件』(1934年)など旅を思い起こさせる小説は数えられないほどあります。
こうした名作が書かれた時代は、今ほどに海外旅行が簡単にできる時代ではありませんでした。なので、読者はこうした本を通して、旅に出かけ、世界を体験したのだろうと思います。
時代は違えど、旅に出かけられないのは、このコロナウイルスが蔓延した現在も同じ状況です。
旅に出られない今だからこそ、本を通して旅に出かけてみませんか?そして、コロナが終息し、旅に出かけられるようになったとき、物語の舞台を実際に訪れようじゃありませんか。
この記事では、北イタリアを舞台としたおすすめ小説を3冊紹介します。
『海の都の物語-ヴェネツィア共和国の一千年』 塩野七生著
敢えて紹介するまでもないと思いますが、やはりイタリアに関する書籍といえばまっさきに名前が挙がるのは、塩野七生さんです。古代ローマから中世イタリアまで、とにかくイタリア史に関する著書は数多くあります。今回は、北イタリアということで、ヴェネツィア共和国について書かれた『海の都の物語-ヴェネツィア共和国の一千年』を選びました。ヴェネツィア共和国の影響はクロアチアのイストラ半島や、モンテネグロのコトルなどにも見ることができます。
『武器よさらば』 アーネスト・ヘミングウェイ著
北スペインの記事でも紹介したアーネスト・ヘミングウェイ。第一次世界大戦中、イタリア軍に志願兵として参加するアメリカ人の青年が主人公です。軍を脱走し、イタリア兵に追われながらも、従軍看護の女性とともに逃げていくというストーリーです。イタリアとスイスの国境を成すマッジョーレ湖が舞台です。ヘミングウェイ自身も、マッジョーレ湖畔のホテル「グランドホテル・デ・ジル・ボロメ」の滞在を楽しんだそうです。
『トリエステの坂道』 須賀敦子著
イタリアに関する書籍ということでは須賀敦子さんも絶対に外せません。イタリアに留学し、もともとは翻訳家として日本文学のイタリア語訳や、ウンベルト・サバらの著書の日本語訳を行いました。その後自身でもエッセイストとして活躍。『トリエステの坂道』は、彼女が敬愛するウンベルト・サバの生まれ故郷トリエステを、初めて訪ねた時のエッセイです。サバは20世紀イタリア最大の詩人と言われています。
(おまけ)ウンベルト・サバ詩集
旅に出かけられない今だからこそ、旅に思いを馳せながら、海外を舞台にした小説を手にとってみませんか?
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