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大きな主語で語られる未来と、目の前の仕事のギャップ

今日は業界動向やら市場トレンドやら主語の大きな話と、目の前にある仕事とのギャップの話をしたいと思います。

この仕事はAIに奪われるとか、この業界のニーズは無くなるとか。そんな情報は大袈裟じゃなく毎日のように目にします。ひえ〜!と思います。(語彙力どこ)

これから自分の仕事は無くなるのか?この業界はどうなるのか?不安になることもありますが、決して焦燥感・悲観というほどのものではなくて、「チェックすることが多いなぁ、次は何や?」とどこか楽観的でもあります。

「この職種は無くなる!」系の話を聞くたびに思うのですが、仮にそうだとして、仕事が無くなるぞ〜怖いな怖いな〜と思いながら、ボーッと何もせずニーズがなくなるのを眺めるわけじゃないと思うんですよね。いきなり今日明日で無くなるわけじゃないのですから。
冷静に考えれば、10年くらい前から言われてない?大きなゲームチェンジってほどのことを起こしていなくても、これまでだって変化に合わせて仕事のやり方も変えてきたやん?と。変化を過度に嫌うことや、情報へのアンテナが無いことはリスクかもしれません。しかし、変化自体に過剰に反応する必要はないと思っています。

「この業界」「〜〜市場」「これからの時代」のような、大きな主語で語られる未来の話と、今、目の前でいただくご相談や仕事にはギャップがあります。曖昧な未来よりも、今目の前でいただく仕事を大事にすべし、という自戒も込めて、この記事を書き始めました。


「まだAI使ってないん?」という煽り

最近、営業資料やセミナー資料、ホワイトペーパーのデザインのお仕事がたまたま続いています。そんな中で「プロンプト一発で資料は一瞬で仕上がるのに、まだ資料を自分でチマチマ作ってるの?」というような情報が目に入ってきたりもします。(そんな煽らないでくれヤ…といつも思う。笑)

せや!チマチマ自分で作っている!
そこで、自分で資料を作る場面では、積極的にツールを試してみます。しかし実際には、思った通りにいかない……それなりに使えるが結局細かい調整が必要……という壁にぶつかることが多い。一瞬で仕上がるどころか、二度手間に感じることさえあるのが正直なところです。

私自身のツール活用力の未熟さの問題は大いにあるでしょう。プロンプトが悪いとか。もっと活用の余地があるのだろうと思うので、「このツールは使えない!」と切り捨てるつもりは無く、今後も色々試したい所存。それに、各種AIツールのこれまでの変遷を見れば、今は事足りないツールだとしても、どんどん進化していくと考えられます。だからツールも育つだろうし、自分も育たねばならぬ、と思います。

一方で、クライアントワークとして資料の構成やデザインを依頼していただく場合、話は違ってきます。仮に『プロンプト一つで爆速で資料ができる』未来が実現していたとしても、「このツールを使えば一瞬で仕上がるのでおすすめですよ〜」なんて返しても、そんなに喜んでいただけないでしょう。

「そういうことちゃうねん」


"作業依頼" の根っこにある要望

資料の構成やデザインを依頼してくださる背景には、単に「時間がないから誰かにやってほしい」という以上の理由があります。特に営業の現場では、PCに向かって資料を作るよりも、顧客と直接対話し、関係を築く時間を優先したいという切実なニーズがあります。

求められているのは、単に良い資料を作るという作業ではなく、次のようなことだと考えられます。

• 営業担当者を作業から解放し顧客に向き合える時間を増やすこと
• いち早く提案に行けるようにスピード感を持って作ること
• 自信を持って提案するための武器を作ること

本音を考えると、きっとこういうことだと思うんです。「意図だけ伝えたら、あとはサクッと良いものが仕上がってきたら理想だなぁ。」と。

もちろん、完全に丸投げで情報が足りない場合は、作業を進めるのが難しい。必要な部分はしっかり質問して補う必要があります。ただ、が求められているは「単に良い資料」ではなく、背景を理解して対応する姿勢でしょう。

極端な話、良い資料を作るぞ〜と意気込んで、営業担当者を1日中拘束してじっくりヒアリングするのは本末転倒ですよね。逆の立場で考えれば、「ツールが使えないから依頼しているわけじゃないのに、何時間もかけて事細かに指示しないといけないなら、自分で作ったほうが早い」と思うかもしれません。(まとめて時間をいただいて聞いた方が結果的にスピードを生む場合は別ですが。)

だからこそ、「ふんわりした指示でできるわけない!」などと思わず、目の前の人が何を求めているんだろう?と考える視点を持つことが大切。 

相手は営業さんだから、ここに時間をかけたくないんだと理解した場合、提出方法なんかも変化します。
すごく小さなことですが、外出先から空き時間で見るだろうから、聞きたい部分だけ画像にして該当箇所に直接質問を指し示して送ろう、など。(いちいちPDFを開いて該当ページに移動しなくて良いように。)
直接アウトプットに現れるものではありませんが、目の前の人の要望を想像して動いていると、小さな行動が変わったりしませんか。

そういうプロセスや気遣いも含めて、制作の仕事だと考えます。

大きな主語で語られる未来と、目の前の仕事

クライアントワークにおける制作プロセス論にだいぶ逸れてしまいました。話を戻しますと、未来予測と現実の仕事のギャップを感じた例としてご紹介したつもりです。ツールが進化し、「今時、資料なんてプロンプト1つで爆速でできるのに。」などと語られる一方で、目の前にある資料デザインの仕事で感じる価値や求められるものを考えると抱く、「そういうことじゃないんだよ」感。

たとえば、意図を汲み取るプロセスや、ヒアリングが壁打ちになり、そこから得られる新しい気づき。「この視点は思いつかなかった」「ここに具体例を入れてくれたので伝わりやすいですね」など、第三者視点での小さな提案が感謝される瞬間があります。1つ1つは大きなことではありませんが、そうした小さな積み重ねこそが、今、目の前の仕事でリアルに感じる価値です。

こうしたギャップは資料作成に限らず、あらゆる業務に当てはまると思います。「この業界はこうなる」「この業務は消える」といった大きな主語で語られる未来予測は、確かに気にしておくべき視点です。ただ、それに振り回されて目の前の声が見えなくなってはいかんぞ、と。

(そっちちゃう!)

大丈夫?と時折自分に問い掛けたい。目まぐるしい変化の中で迷子になったら、この記事に返ってこようと思います。


【おまけ】私のスタンス
昨年よく読んでいただいた記事も、『AIの仕事と人間の仕事』のようなテーマが多く、やはり今、多くの方が考えさせられるテーマなのだと感じています。
私自身、「人にしかできないこと!」みたいな泥臭さが好きで、正直言ってAIを最前線で使いこなせている自信はありません。でも、なんとかしがみついておきたい気持ちで試してみる中で、少しずつAIと仲良くなれてきた実感もあります。完全に拒否するわけでもなく、全力で飛びつくわけでもない、中立的な立場。

「AIでできるわけなかろう!!でもちょっと気になるけどな!」という似たスタンスの方には、何か気づきがある内容かなと思います。ぜひぜひ他の記事も読んでいただけると嬉しいです。

AIに限らず、時代は変わっても忘れたくないこと系の記事をピックアップしてみました▼

ではでは、今日もお疲れ様でした☕️

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