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三浦 さかな
2021年11月27日 20:35
ある少女がひとり、海を眺めていた。 レモン色の陽射しが、水平線を照らしている。 ふいに、少女の耳に声が届いた。 「知ってる?あの海の中にはね、全部があるんだよ」 はっとして辺りを見渡すものの、生き物の気配はない。「全部?」 少女は思わず聞き返し、じっと耳を澄まして答えを待つ。 すると再び、声が聞こえた。「そう。もう二度と戻らない命も、いま生きている命も、これから生まれる