個人的な感想文(生殖記 朝井リョウ)※ネタバレを含みます。
生殖記
※個人的な感想です。
※ネタバレを含みます。
読後直後の感想は、
スッキリしたような、煮えきらないような、そんな気持ちになった。
完全な救いではないのだけれど、ある種の救いがある内容だと思った。
尚成の発生から見守ってきた語り手からすると、ラストの尚成の展開は今までにないことで、語り手にとっては喜ばれることだったのだと思う。
世の中に殺されて生きてきた尚成にとって、イキイキと過ごせる対象が生まれたというのが。
他の登場人物は尚成と全く異なる存在ではなくて、ところどころニアミスというか、かすっている面があるな、と思った。
尚成の同僚のカップルが「挿入する側と挿入される側が逆ではないか」と思ったり後輩が実はゲイで、LGBTの為の活動を始めるなど…。
個人的には、尚成が後輩の活動に一緒に参加するという未来があって欲しいと思ってしまった。
尚成がお菓子作りをしているうちに、マカロン作りをしているゲイの友人と繋がりが生まれたりしないだろうか…と勝手に期待してしまった。
(ただ、朝井リョウはそういう分かりやすいハッピーエンドのような結末は書かないだろう、というイメージはある。)
また、生き延びる/殺されるの対比がわかりやすく書かれていたと思う。
あと、自分にもこんなふうに、ずっと見てくれる語り手の存在が欲しいと思ってしまった。
自分の発生からいる自分の親だって自分の全てを見ているわけではないと思うし、きっと自分でもわかっていないこともあるだろう。
だけれど、この存在は自分の発生からずっと見守っている存在で、そういう存在がいて欲しいと思ってしまった。
しかもお喋りだし、悪い奴ではなさそう。
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