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グロ・虚無感と母の生き様。生涯忘れられないだろう2冊の本について

5月にあった、ちょっと嬉しいこと。
いわた書店さんの一万円選書の抽選に当たったこと。

期限までに書店からご用意いただいたカルテを記入し、その内容に基づいて自分にぴったりな本を1万円ほどの予算で店主の方が選んでくださるというおもしろい仕組みだ。

(↑本も出されているみたい)

お友達がXで当選のポストをしていて興味が湧き、面白半分でえいや!とノリで応募。
忘れかけていたころに当選の連絡が届いて、実際に選ばれてちょっとウキウキ、加えて少しソワソワ。

少しずつカルテを埋めていっているところなのだけど、設問の中に「これまでに読んだ本で印象に残っている本BEST20」というものがある。
最初の10冊ほどはすぐ思いついて書けていたのだけれど、その先は「あれ、何の本読んだっけな」と本棚やKindleを覗きにいって記憶を辿り……
自分が人生で読んできた本ってほとんど覚えていないものだな、覚えているものって、少なくともここ2〜3年の間に出会った本ばかりなのだなと思い知らされた。

でもその反面、ずいぶん前に出会っても克明に覚えている本もいくつかあって。
読んだときの衝撃とか読後感っていうのはずっと残っているものだなと思ったので、書き留めておこうかなと。


グロい。何この読後の虚無感:『疾走』

中学生でこの本に出会ってしまった私。
やってしまった。

当時NEWSを推してて、メンバーだった手越くんが映画で主演をやるというから……
そんな甘い動機で読むんではなかった……
いや、映画を観る前に読んでおいて正解だったのかもしれない(ちなみに映画は観れなかった、映像で観るなんて耐えられないと悟ったから)

強烈。
中学生が知っていい世界だったのだろうか。
文字から十分すぎるほど伝わってくる情報、描写に、どんどん心を支配される。
ページをめくればめくるほど肩にずしんと何かのしかかってくる感覚。

救われない。
救いがない。
どうしたらいいのか、どうしたらよかったのか。

20年以上も前に読んだ本だから、細かな内容は覚えていないんだけど、読んだ後の「何かを知りすぎて何かを失くしてしまった感覚」は今でも覚えてる。
正直、もう一度読むのには勇気がいる。
それくらい、すごい本だった。

信仰と純愛、母の芯を垣間見た:『塩狩峠』

この本はやっぱり外せない。
小説の登場人物に思いを馳せて、こんなにもたくさんの涙を流したのは後にも先にもないと思う。

『塩狩峠』は、母が大好きな本だと聞いて学生時代に教えてもらった本だ。
そのことは、2年前にもnoteに書いていたみたい。

この本を好きな母が、私は大好きだ。
そして母が大好きな私は、自然とこの本が大好きになった。
この本は、まさに私が愛する「母の生き様」が描かれている。
この本のすべてが、愛なのだ。

この本に出会えたことは、人生の財産のうちの一つになった。
生きているうちに、自分の命か誰かの命か?選択を迫られることなんてあまり多くはないと思う。
でも子どもを産み、育てるようになって、今まで以上に「もしそんなことになったら」と想像するようになった。

息子と私、ふたりでいるときに、誰かに命を狙われるようなことがあったら。
迷うことなく自分の命を投げ捨てて息子を守ると思う。
でもその後、遺された息子はちゃんと幸せになってくれるのだろうか。

難しい。
やっぱり一番は、みんなで幸せに生きることなのだ。
でもそれが難しくなってしまう日は、もしかしたら突如やってくるのかもしれない。
だから1日も後悔の残らないように、息子に愛を伝えたいし、息子にも笑顔を浮かべていてほしい。

私にとって、母が与えてくれたこの本がバイブルであり、生きる指針になった。

一万円選書、めちゃくちゃ楽しみ!

カルテの内容は他にもあるので、首をかしげながらあーでもないこーでもないと少しずつ書き埋めていっている。
店主さんも当選者一人ひとりのことを考えながら、既読の本があれば差し替えてまた提案し、とすごく丁寧に選書してくれるみたい。

誰かに一万円分も本を選んでもらえる機会なんて、この先きっとないかもしれない。
自分が普通に生きていったら出会うことのなかった本に出会えるかもしれないし、今まで「まぁこれはいいか」と素通りしていた本に強制的に向き合うきっかけになるかも。

そしてその数冊の中から、『疾走』や『塩狩峠』のように一生忘れられないほどの雷を落としてくれる何かが現れるかもしれない。

カルテ提出の期限まであと数日。
引き続きワクワク&ソワソワしながら、運命のXデイを待つ私でした。

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