大切な人を呼ぶ景色
3回目のワクチン接種後2日目。
発熱はなかったけれど今日はのんびりしたいと心に決めて、Netflixで映画鑑賞。
その中で最後に見た映画がとても印象的でした。
桜のような僕の恋人
「桜のような僕の恋人」は宇山佳佑さんの小説を原作にした切ないラブストーリー。
ずっと読んでみたくて図書館で貸出OKになるのを待っていたのですが、最近テレビCMでこちらの映画のPRを見かけたのを思い出して、せっかくだから小説の前にと観てみることにしました。
物語は、主人公の晴人が美容師の美咲と恋に落ち、彼女に刺激を受けて諦めていたカメラマンの夢へ向かって歩みだすが、大きな難病が美咲に降りかかり……。
タイトルの通り、桜舞い散る美しい情景から映画は始まり、ラストシーンも春のあたたかさが感じられる、今の季節にピッタリの映画です。
主演は中島健人さんと松本穂香さん。
切ないすれ違いのシーンは思わず頭を抱え、あぁ……と、声を漏らしてしまいました。
松本穂香さんの演技がリアルすぎて、どんどん感情移入してしまい胸が苦しくなりました。
景色を見ると思い出す人
この映画の始まりもそうでしたが、様々な小説、ドラマ、映画、さらには私たちの普段の生活でも、景色を見て思い出す人というのは存在すると思います。
見事なグラデーションで描かれる夕焼け。
雨に濡れるあじさいの花。
ひらひらと舞い踊るいちょうの葉。
街中を輝かせるイルミネーション。
目もくらむような雪原の世界。
思い出されるのは、両親や家族、パートナー、大切な友人かもしれません。
あるいは、何気ない日常の一瞬にも、私たちの記憶を呼び起こす景色が見られることもあるでしょう。
それは目で見るものだけでなく、音や香り、温度や感触なんかでも、もしかしたら思い出のあの人に出会えるかもしれませんね。
大切な人ができたとき、私たちは知らず識らずのうちにその人を取り囲む背景までも切り取って、胸に刻み込むのだなぁと改めて実感しました。
それはときに、写真や映像以上に色鮮やかに、この手に触れているかのように。
もう会えなくなってしまった人であれば、なおのこと景色の力は強いものになるのだと思います。
私の場合は、青空に浮かぶふわっふわの白い雲。
透き通った白さから、私の大切な人の顔が覗いて見えるような気がするのです。
教えてください。
あなたの大切な人を呼んでくれるのは、どんな景色ですか?