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「生きづらい」と恋人が言った、その時。

私のパートナーは双極性障害を持っており、私と同じメンタルクリニックに通っている。

私は8年ほど前から、パニック障害を患っている。
それについては、いつかまた別のタイミングで文字にしたい。

彼女の最初の診断は、適応障害だった。

付き合ってから間もなく、一緒に暮らし始めた頃。
出張続きの激務で、日に日に元気がなくなっていく彼女の姿に、いつか倒れるんじゃないかと心配していた。
そんな、ある日の朝、彼女は遂にベッドから起き上がれなくなった。


様子のおかしい彼女を、どうにか私が通院している病院に連れて行ったのが始まり。
今では主治医にカミングアウトをして、何もかもオープンに、二人一緒にお世話になっている。これは割りと珍しいケースなんじゃないか、と思う。

そんな彼女は「アレキシサイミア」だと、先生に言われた。
「失感情症」なのだという。
病気ではなく、そんな性格傾向なのだと。

確かに彼女に何か質問をした時、

「分からない」

「決められない」

と言われることは多い。とても。

些細なことでも、自分の気持ちを言葉にして出すことに時間がかかる。
痛かったり悲しかったりに、鈍い。

当たり前のように彼女の個性として受け止めていたものを、
「失感情症」というものと比較してみた時、数日前に彼女が口にした言葉の重みが増した。


「生きづらい」

同じ世界を生きているようで、私が見ている風景と彼女のそれは全くの別物で。
それを言われた時、私はただ

「そうだね、生きづらいね。しんどいね。」

そう、共感することしか出来なかった。


次、また彼女にそう言われたら、私はなんて答えたらいいだろう。

彼女が大好きな高級チョコレートを一粒、その口に放り込んで幸せを嚙みしめさせる、くらいしか思いつかない。

ただね。
生きづらい世界だけど、どんな感情もこぼさず私が受け止めるから。

一緒にずっと、私と笑っていて欲しいよ。




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