「生きづらい」と恋人が言った、その時。
私のパートナーは双極性障害を持っており、私と同じメンタルクリニックに通っている。
私は8年ほど前から、パニック障害を患っている。
それについては、いつかまた別のタイミングで文字にしたい。
彼女の最初の診断は、適応障害だった。
付き合ってから間もなく、一緒に暮らし始めた頃。
出張続きの激務で、日に日に元気がなくなっていく彼女の姿に、いつか倒れるんじゃないかと心配していた。
そんな、ある日の朝、彼女は遂にベッドから起き上がれなくなった。
様子のおかしい彼女を、どうにか私が通院している病院に連れて行ったのが始まり。
今では主治医にカミングアウトをして、何もかもオープンに、二人一緒にお世話になっている。これは割りと珍しいケースなんじゃないか、と思う。
◇
そんな彼女は「アレキシサイミア」だと、先生に言われた。
「失感情症」なのだという。
病気ではなく、そんな性格傾向なのだと。
確かに彼女に何か質問をした時、
「分からない」
「決められない」
と言われることは多い。とても。
些細なことでも、自分の気持ちを言葉にして出すことに時間がかかる。
痛かったり悲しかったりに、鈍い。
当たり前のように彼女の個性として受け止めていたものを、
「失感情症」というものと比較してみた時、数日前に彼女が口にした言葉の重みが増した。
「生きづらい」
同じ世界を生きているようで、私が見ている風景と彼女のそれは全くの別物で。
それを言われた時、私はただ
「そうだね、生きづらいね。しんどいね。」
そう、共感することしか出来なかった。
次、また彼女にそう言われたら、私はなんて答えたらいいだろう。
彼女が大好きな高級チョコレートを一粒、その口に放り込んで幸せを嚙みしめさせる、くらいしか思いつかない。
ただね。
生きづらい世界だけど、どんな感情もこぼさず私が受け止めるから。
一緒にずっと、私と笑っていて欲しいよ。
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