生きててよかったと思える日が来るって言われても
病気と闘っている最中、何度となく死ななければならない精神状態に陥りました。その度に家族が「いつか生きててよかったと思える日が来る」と言って止めてくれました。
余命宣告された人など生きたくても生きられない人がたくさんいるの中で、死にたいと思うことはとんでもないことで、贅沢な感情ととらえられます。実際非常に贅沢な感情です。でも、分かってていても脳が「死になさい」と一秒一秒自分を追い込んでくる、それが病気になった状態でした。
苦しいんです。非常に。言葉では上手く説明できないのが歯がゆいのですが、本当に辛い。私は運よく生きています。家族と主治医がなんとか止めてくれたから生きていますが、あの時間は本当に苦しかった。
「いつか生きててよかったと思える日が来るから」と言われても、頭の中で死神が鎌を振り回しているような状態なので、「そう言われても…」と毎日ぐちゃぐちゃにくじけて、身体を丸めて泣くことしかできませんでした。
周りだって必死なのは分かっているので責められないし、死ぬわけにはいかない。でも、頭は死ぬことしか考えさせてくれないのです。こればっかりはこの状況になってみないと理解できないと思います。すごく怖く、すごく苦しい時間でした。
そんな日々をどう乗り切ったかというと、私はとりあえず寝ることで過ごしました。と、言っても自力では眠れなかったので、処方された睡眠薬を飲んで寝ました。薬を飲みたくない日もあって、そういう時はとりあえず、温かいミルクにちょっとお砂糖を入れたものを飲んで寝てみたりしてました。
で、起きた時に、「ちゃんと起きた、生きてた、えらい」と自分を無理やり褒めました。毎日毎日これを繰り返して、お昼寝でもなんでもいいので、苦しくなったら寝ることを繰り返して過ごしました。
精神疾患になると、規則正しい生活、バランスの良い食生活、そういった身体に良さそうな事をやりなさいと言われますが、無理なんです。最初は本当に無理なんです。だって死にたいとしか思えない人間が、なぜ生きる努力をしなくてはならないのか、という気持ちでいっぱいなので。でも、とりあえず、寝て、起きられたらもう100点満点とするのが治るきっかけの最初でした。
そこから、ご飯が食べられたら100点、歯磨きをしたら100点、お風呂に入れたら100点とできることを増やし、外に漫画を買いに行けたら100点、マックでソフトクリームを注文できたら100点、と少しずつ行動範囲を広げていきました。(私の場合は、適応障害でも広域不安などのパニック発作がひどかったので、外に出るのは必死でした)
時間が過ぎていくごとに段々脳は回復していく気がしました。そして段々と元の自分に戻っていきました。急には戻らないので、本当にのんびり過ごすしかありませんが、これは生き方を改めるチャンスととらえて、あきらめて寝てみてください。起きた時に、時々、「あれ、ちょっと具合がいいかな?」なんて瞬間がやってくるかもしれません。