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小説《魂の織りなす旅路》

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光たちからのメッセージ小説。魂とは?時間とは?自分とは?人生におけるタイミングや波、脳と魂の差異。少年は己の時間を止めた。目覚めた胎児が生まれ出づる。不毛の地に現れた僕は何者なの…
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2023年2月の記事一覧

連載小説 魂の織りなす旅路#3/不毛の地⑴

連載小説 魂の織りなす旅路#3/不毛の地⑴

【不毛の地⑴】

「ほれ、起きれ。ほれ、行くぞ。」

 重たい瞼を開けると、浅黒い皺くちゃの顔がこちらを覗き込んでいる。驚いた僕は身をよじり、咄嗟にこの見知らぬ男から離れようとした。

 「話はあとやね。もう出発しなきゃなんねぇ。ほれほれ、起きれ。」

 男が僕の腕をつかむ。腕を引っ張られた僕は、よろめきながら立ち上がった。何か言おうとしたものの、乾燥した上唇と下唇が張りついて上手く喋れない。

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連載小説 魂の織りなす旅路#4/不毛の地⑵

連載小説 魂の織りなす旅路#4/不毛の地⑵

 【不毛の地⑵】

 僕が寝ていた低木が遥か彼方の点となり、とうとう見えなくなったとき、僕はため息をつき呟いた。

 「生まれたてのほやほやとはね。ふざけた話だ。」

 そして、馴染みのない自分の手を見つめながら、ぞんざいな口調で男に話しかける。

 「ところで、こんな大きな僕を生んだのは、いったい誰なんだろうね?」

 男は皺くちゃの顔を僕に向け、口元を緩めた。

 「そりゃあんた、あんたは始ま

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連載小説 魂の織りなす旅路#5/不毛の地⑶

連載小説 魂の織りなす旅路#5/不毛の地⑶

【不毛の地⑶】

 今、僕の身には不可思議なことが起きている。僕は僕を知らない。ここがどこなのかも知らない。しかし、この男は僕を知っていると言う。
 とりあえず、それだけでもこの男についていく価値はありそうだ。こんな乾いた何もない赤土の上で、何もわからず立ち尽くしていても飢え死にするだけだろう。

 僕の記憶は、この男が僕を覗き込んだところから始まっている。それ以前の記憶はない。記憶喪失なのかもし

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連載小説 魂の織りなす旅路#6/不毛の地⑷

連載小説 魂の織りなす旅路#6/不毛の地⑷

【不毛の地⑷】

 一体この男は何者なのだろう。どこから来て、どこに僕を連れて行くのだろう。

 「見えるものと見えないものの境目さね。」

 男は当たり前のように、僕の心に浮かんだ質問に答えた。

 「そこはここから近いのか?」

 どうせ答えらしい答えは返ってこないだろうと思いつつ、僕は聞く。

 「近いと思えば近いし、遠いと思えば遠いやねぇ。」

 どうやら僕を冷やかしているわけでないようだ

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連載小説 魂の織りなす旅路#7/洞窟⑴

連載小説 魂の織りなす旅路#7/洞窟⑴

【洞窟⑴】

 陽が傾いてきたせいか、あんなにも痛かった陽射しは弱まり、急激に寒くなってきた。薄い布を一枚纏っているだけの僕は、ブルッと身震いする。

 「寒いかや? そらそうやねぇ。寒いに決まっとるやねぇ。でもほれ、あすこの山。あの崖下に着いたらあったかいやね。」

 歩き始めたときは小さな点でしかなかった岩が、今は巨大な山として目の前に聳えていた。緑に覆われた山頂は平らかに広がり、ここから見え

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連載小説 魂の織りなす旅路#8/洞窟⑵

連載小説 魂の織りなす旅路#8/洞窟⑵

【洞窟⑵】

 洞窟は、どんなに歩いてもちっとも暗くならなかった。どこかに蝋燭や松明があるに違いないと、あたりを見回しながら歩いてきたが、その反面、この明るさが蝋燭や松明のそれとは異なることにも、僕は気がついていた。

 「ここは境目さぁね。暗いも明るいもないやね。」

 僕の疑問を察した男が、穏やかな口調で言う。ここが、見えるものと見えないものの境目。境目からやって来た僕を知っている男が、境目に

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連載小説 魂の織りなす旅路#9/洞窟⑶

連載小説 魂の織りなす旅路#9/洞窟⑶

【洞窟⑶】

 僕がこの男を呼んだとでもいうのだろうか? いつ? どうやって? 僕は一体誰なんだろう。なんだって、あんなところで寝ていたんだろう。

 「そりゃぁあんた、教えたとおりさね。生まれたてのほやほやだったんさね。」

 「始まりの者から?」

 「そうそう。」

 結局は、創造主様のお話に戻るのか。この男の言うことは、なにもかも僕にはさっぱりだ。

 「あんな辺鄙なところに生み落とすなん

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連載小説 魂の織りなす旅路#10/胎児

連載小説 魂の織りなす旅路#10/胎児

【胎児】

 胎児は見えない夢をみる

 見えない母親の夢をみて

 見えない父親の夢をみる

 見えない母親に波長を合わせ

 見えない父親に波長を合わせる

 そうして 

 見えない羊水に身を浸し

 見えない羊水に身を溶かした胎児は

 始まりの者と一体になる