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波照間に流れついた世界一ムダな詩03 THE 虚無僧

コムソーヤ


コムソーヤの冒険


わしはどこまでも自由だ


よし


よしよし


尺八を吹こう


今日も風に吹かれて

尺八を吹くのだよ


今日もあの大きな木に

よじ登って


不快だ


いまのわしはかなり不快だ


蚊がいる


蚊の羽音に合わせて

尺八吹くわしも

大概であるな(苦笑)


そうこうしている間に

わしの耳元へ

マックスで蚊が接近


待っていた

まんまと来たな


すまんな


殺生を固く禁じておったわしであるが

うぬだけは許せんのだよ


耳元をたたいた


スナップきかせて


もちろん


命とも言うべき尺八は

口元から一切はなさずに


耳元をたたいた


フォォッ


一瞬

尺八が激しく鳴いた


でもわし 被り物しとった


被り物しとるから

耳元を直にたたけんかった


被り物が激しく揺れた


そもそもだ

蚊の羽音

あの鬱陶しい羽音が

耳元に最接近したからといって

耳元をたたくことが

正しい理なのだろうか


耳元に最接近したからといって

耳元を叩けば

蚊を叩き潰せるなんて


わしはひょっとして

何か途轍もない思い違いを

しておったのかもしれん


マトリックス


わしは今日マトリックスから

抜け出せた


しかし


ひょっとしたら

マトリックスのなかに

いたままのほうが

わしは幸せだったかもしれん



今日の尺八の音色は

どこか寂しげだった


はるか上空を

鷲が風にのって舞っている


いまだにわしは

知らない

天に敷かれた鷲の通り道を


コムソーヤは今日も


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