日本にやってくる中国文化人とともに、東洋文化の再興を。
中国知識人が続々と日本にやってきて、書店を開業するといった動きが増えているという記事。
こういうことになっていくと思っていた。
習近平体制の言論統制を嫌う文化人は日本を選ぶはずだ、と。
中国武術も同様の動きになるかもしれない。
元来、中国伝統武術家にとって中国共産党政府は仇敵である。
「古いものはすべて悪」という浅薄な発想で文化大革命を推し進め、中国伝統武術も根絶しようとした。
その後、中国政府は文化大革命は誤りであったと認め、伝統武術は国策として振興されることとなった。
それにより、「愛国的中国武術家」が中国共産党政府を礼賛するという、なんだかおかしな状況になっている。
このあたりのおかしな雰囲気は、BS1「真実への鉄拳〜中国・伝統武術と闘う男」を見ると伝わってくる。
武術は政治的ニュートラルではあるが、ひとつ間違うと当局のガサ入れが入るかもしれないという状況下では、あまり武術が発展するような気がしない。
中国武術協会が“他流試合”を禁止したのも、こうした傾向と無縁ではないように思う。
私は、2000年代には天龍武術会の一員として毎年のように上海や青島に行っていたのだが、今現在、中国武術を学ぶために中国本土に行く必要性を、私は感じない。
むしろ今後、文化人同様に中国武術家もどんどん日本にやってきて、日本で中国武術がより盛んになるかもしれない。
そうなるとおもしろい。
現代社会を構成する社会規範は、多くの部分が欧米由来のものになっている。
西洋合理主義がもたらした社会的発展は否定しないが、同時にその歪みも顕著になりつつあると感じる。
今このとき、東洋思想・東洋文化を学び、それを再興することは、歴史的に重要な意義を持つと私は思っている。
習近平体制の中国共産党政府との付き合い方は慎重を要するが、日本に魅力を感じ、日本の法と文化を尊重する中国人は、大事な友人として接する必要がある。
長い目で見て真に歴史を変えるのは、文化に根差した草の根の行動だと私は思っている。