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走る距離を、走り出す前に決めるのが大切な理由

走る前に、今日走る距離(時間)は決めていますか?「なんとなく、走り出してから決める」こともできますが、事前に数字で決めて走り出すほうが良いと思います。「今日は5km走るぞ」という具合に。

今回は、走る距離(時間)を事前に決めることが大切な理由について書きます。

1:自分との対話と改善

自分の走り=走力☓体調☓外的コンディション

これらが自分の走りを決める基本的な3つの構成要素です。走力(走る能力)が成長しても、それ以外の要因でもアウトプットは左右されます。

これはビギナーもエリートランナーも同じです。世界記録保持者も、前日に食べ過ぎた上に寝不足で大雨強風の中で走れば、速くは走れません。

これらの3要素が、毎日の自分の走りを決めています。自分を理解することは、次に繋がります。

3要素が自分に与える影響をどれくらい予想できるか、そして結果と振り返りを次に繋げられるかが「走り続ける・より長く走る・より速く走る」いずれにおいても大事だと思います。そのために「走る前に走る距離(時間)」をを決めてみましょう。

事前に走る距離(時間)を決めるということは、スタート前に上記3要素を自然に考えることになります。とはいえ、ある程度は意識せずともやってると思います。例えば「今朝は少し眠いから短めにしておこう」とか。

これを一段深めて、走り出す前に距離(時間)を数字で決めましょう。「今日は5km走ろう」という具合です。最初は「なんとなく」でいいと思います。

5km走り終えたとき、走る前の気持ちと比べてみましょう。「思ったとおりだった」という時もあれば、「思ったよりも○○だった」な時もあると思います。 思ったよりも楽だった、きつかった。

この「思ったよりも○○」の理由を、走った後に振り返ってみましょう。
ヒントの宝庫です。

「思ったよりもきつかった」の理由→改善のヒント
・前半飛ばし過で後半バテた→次はゆっくり走りだそう
・そういえば昨日寝不足だった→次はちゃんと眠ってから走ろう。
・暑かった、ウェア選び失敗した→次は半袖にしよう。
・人が多くて気を遣った→次もっと空いてる時間に走ろう。

「思ったよりも楽だった」の理由→成長のヒント
・スタート前に試した新しい準備運動のおかげで体がよく動いた→これをルーチンにしよう
・今朝は朝日がキレイで気分が上がった→この時間帯に走るようにしよう
・ゆっくり目のペースが良かったのかも→次は同じペースで距離を1km伸ばしてみよう

走り出す前に、自分なりに具体的な目標(距離や時間)を決めて、走ったあとの気持ちを整理すると、色々わかります。それを次のランニングに、少しだけでも活かしてみましょう。より良いランニング体験に近づいて行きます。

2:メンタルの強さ

「事前に距離を決める」と「決めた距離を走りきる」は別のことです。けれど、やはりできるだけ走りきったほうが良いと思います。

どんなに遅くなっても、歩いても、自分の決めた距離(時間)を走りきること、には大きな意味があります。

前述の「走力」は2つに分解できます。フィジカル(体)とメンタル(心)です。

自分の走り=走力(フィジカル+メンタル)☓体調☓外的コンディション

マラソンや長距離ランニングはメンタルのスポーツとも言われます。実際にマラソンを走ると、メンタル面が支配する要素が大きいと感じます。

苦しい中でも体を動かし続ける強い心。
心が止まると体は止まります。体が先に止まることはありません。

距離に関わらず、5kmや10kmでもそれは同じだと思います。走る行為自体は、体に負荷をかけるものです。その中でも継続的に体を動かし続けるには一定の気持ちの強さが必要です。それも”走力”だと思います。

走る前に距離を決めると、その距離が目標になります。自分で立てた自己目標です。

例えば「今日は5km走ろう」と思った時でも走ってる途中で「やっぱり4kmにしようかな…」と思うこともあります。そんな時でもできるだけ「5km」に執着しましょう。歩いてもいいです。

「途中でやめない」ということは大きな意味があります。やりきれば必ずなにかが残ります。

「事前に5kmの目標を立てたが、4kmからラスト1kmは半分歩いてしまった。けれど5kmは終えた」 

事前に決めた距離を、最後までやり切ることで、自分に何が足りないか・何が想定外だったか、がより具体的にわかります。

例えばこのケースだと「4→5kmの半分は歩いた」だったら0.5kmは走れたので「(今日のコンディションでの)自分の最高距離は4.5kmだった」というのがわかります。これは4kmで止めていたらわかりません。

またこれは結果的に自分の限界に近いところまで行ったので、フィジカル・メンタルのキャパを広げ、走力をることにも繋がります。

もちろん過度な無理はしないのは前提です。

3:”やめぐせ”

「やめぐせ」という言葉があります。事前に決めたトレーングを途中でやめてしまうことで、癖になりやすいです。

自分の決めた距離を走り切ることは、この癖をつけず、やりきる癖をつける、という意味でも効果があると思います。

「事前に距離が決まっている」の究極形がレースです。マラソンは42km、ハーフは21km、5kmランイベントは5km、ときっちり決まっています。

練習でやめぐせがついてしまうと、レースでも途中棄権しやすくなります。気持ちの限界がきやすくなるからです。

体は走れるのに、気持ちがついていかない、ということは長距離ではよくあります。

私は20回ほどフルマラソンに出てますが、途中棄権したことはありません。タイムは5時間超~2時間台と様々ですが、途中で止めたことはありません。ひどく厳しいレースも多くありましたが、遅いジョグでも完走はしました。

それはトレーニングでも、事前に決めた内容は途中で止めない、と決めて走っていたからだと思います。

苦しくなっても、当初予定してたペースを維持できなくなっても、それなりにではあるけれど、トレーニングメニューで決められた距離(時間)はやりました。

そこから得た教訓を言語化して、次のレースに向けたトレーニングに活かしてました。

これは普段のジョグも同じです。今日は10km走ると決めたら10km走っています。調子が悪ければ、走る前に「今日は5kmにしとこう」と決めて5kmを走っています。

すると「途中で止める」という発想自体がなくなります。苦しいレースでも「完走はしよう」と思えるようになります。

完走すれば、必ず次につながるなにかがあります。走り方の改善点はもちろん、苦しい中で最後まで走ったというメンタルの成長、より強い気持ち。

この規律は大事だと思います。ランニングのみならず、仕事や普段の生活でも。自分が決めた目標に対して、実際に取り組んでいく、その中で成長もしていく。ランニングと違って、仕事や生活は一人ですべてをコントロールはできませんが、それなりに通ずるものはあると思います。

成長感は大きなモチベーション

ランニング継続の大きなモチベーションの1つは「成長」です。

今回の記事は、成長感をテーマに書きました。

大人になると自分が成長している実感はなかなか得にくい。学生時代の、テストや通信簿・運動会やカラオケの点数のような明確な評価はありません。仕事の評価も様々、大人の為のクリアな物差しものはなかなか見つかりません。

「自分ががんばった分、成長している」をビジブルに感じられるのがランニングです。3ヶ月前は3kmしか走れなかったけど、5kmも走れるようになった、距離にして2キロ、率にして40%の成長、すごい。これは純粋に嬉しいですよね。

これがモチベーションです。自分の努力と積み重ねで着実に成長していきます。

その成長をより効率的に・より強く感じるできるように、前述のことを試してみてください

工夫と意識(と少しの規律)でランニングは楽しく意義深い体験になります

少し考えてから走ること、自分と対話して自分の状態を知ること、心を強くすること、それを生活や仕事に活かすこと。

これらは意外と簡単に始められ、奥も深いです。

いくつか事例を書きましたが、全てではなく、できるところから始めてみてください。

ゆっくりでも少しづつでも、自分自身が確かな成長感を感じられることが、走り続けていく上でとても大事だと思っています。そんな方々が増えてくれると嬉しいです。













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