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服のはなし

服が好きだ。

僕は小さい頃から自分の体型に対するコンプレックスがあって、他人に自分の体を見られることがすごくストレスだった。子供は悪意もなく人の気にしてることを指摘してくるから、何か言われるたびに傷ついてきた。

自分の存在に自信がない人間にとって、服は救いだ。
僕の場合それは自分の体を覆い隠してくれるという意味のものだった。
服が社会と自分を一枚隔ててくれることによって、僕はコンプレックスから解放されて自然な自分の状態でいることができる。

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一方で、服との付き合いに卑屈になっている人は多い。おしゃれかどうかというのが服の価値基準の最上位になっていて、自分を苦しめてしまっている。
おしゃれかどうか、似合うか似合わないかというのは確かにあるが(時代によっていかようにも変容するにしても)、それではあまりに息苦しい。

服は生活の道具であり、日々を楽しく、快適に生きるためのものだ。

これが第一義でなければならない。誰もが服に詳しくある必要はないし、苦痛を味わってまで流行に合わせる必要もない。
「デザインがカッコいいから」「可愛いから」「肌触りがいいから」「着まわせるから」「好きな芸能人が着てるから」「値段が安いから」「ポケットがたくさんあるから」
「流行に合わせているのが悪目立ちせず無難にいられて気楽」と思うなら流行に合わせるべきで、自分が満足しているかどうかが重要なのではないだろうか。

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服は人類史が始まってからずっと在り続けているもので、人間の個人と違って簡単には否定されない歴史の強度を持っている。
住む土地の風土や文化、制度に合わせて形成され、親から子へ、何世代にも渡って縷々と受け継がれてきた服文化は人類の偉大な資産だ。

胸を借りるつもりで、自信を持って服を着て生きていこう。


p.s. 昨年、服のお仕事をする機会がありました。
2023.8.27にBIGBOX東大和で開催された『おめかしワッショイ祭り』内のファッションショーで着物デザインを担当しました。

龍と鳳凰ををともに描き、龍鳳呈祥を表現しています。

念願が叶って嬉しい気持ちと同時に、服への愛情がより深まる仕事でした。

正面
背面

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