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【第13回】上司をほめ殺してみる

相性の悪い上司に対して最も効果のある対策は、「その上司をほめること」です。

「そんなこといっても、ほめるところなどありゃしない」「ほめるといっても、どこをほめていいのか」といった声も聞こえてきます。

それもそのはず。相性が悪いのですから、正にその通りです。しかし、ほめられて悪い気になる人は、まずいません

スタンフォード大学ビジネススクールで教鞭をとる、組織行動学専門のジェフリー・フェファー教授も、著書『「権力」を握る人の法則』の中で次のように述べています。

「自分の仕事ぶりについて考える時、ぜひとも確認すべき点が一つある。それは、自分の行動や発言、そして仕事の成果は、上司をいい気分にさせているか、ということだ。

いい気分というのは、あなたに満足するという意味ではなく、上司自身が自分に満足しているか、という意味である。

あなたがいまの地位を確保し、さらに上へ行く確実な方法は、端的に言って上司をご機嫌にしておくことなのだから。

上司を気分よくさせる最善の方法は、何と言っても誉めることである。そのことは調査によっても裏付けられており、誉め言葉は、影響力を手にする効果的な方法だとされている。

誉められて悪い気のする人はいないし、誉めてくれた相手に好意を抱くのも自然な感情である。そして好かれれば、あなたはそれなりの影響力を持てるようになる」

いかがでしょうか。上司を「ほめる」行為は、相性の如何を問わず良い結果をもたらすのですから、馬の合わない上司に対しても「効果」を発揮するはずです。

ポイントは「相性そのものを改善するには至らずとも、上司を気分よくさせることは可能」ということでしょうか。

とはいえ、人をほめることは、実際にやろうとするとなかなか「難しい」ことでもあります。

身近な人に対してでさえ簡単ではないのに、ましてうまくいっていない上司を「ほめる」など、ほとんど離れ業です。

そもそも「ほめるところがない」のですから、とてつもなくやっかいです(パワハラ系であれば論外でしょう……)。

普通に考えると、たとえ理屈としては分かっていても「ちょっと無理」と思ってしまいますね。

では、「ほめるところが見当たらない上司」に対して、実際に「ほめる」ことは可能なのでしょうか。

もしできるとしたら、具体的にどのような方法があるのでしょうか。次回はそのあたりを見ていきたいと思います。
 
         次回につづく(毎週火曜日に投稿予定)

(本文は、弊著『なぜ職場では理不尽なことが起こるのか?』<幻冬舎ルネッサンス新書>より一部抜粋編集し、シリーズ化したものです)

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中山てつや
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