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【第8回】止まらない不祥事と相性の連鎖

相性の良し悪しは、組織の至るところで様々なドラマを演出します。それは、昨今世間を賑わせている、大企業の不祥事にも垣間見ることができます。

不祥事の内容は「粉飾決算」や「品質問題」など多岐にわたりますが、共通しているのは「長期にわたって隠ぺい工作が行われていた」点です。

しかも、おそらくは何らかの形で、その企業の「経営層が関与していた」ということです。

組織の中で仕事をしている限り、「部下」の立場で不祥事を表沙汰にすることは「至難の業」と言わざるを得ません。

上からの指示とあれば「何とかやりくりしてみよう」と努力しますが、コンプライアンス上の観点から、ハードルはとてつもなく高くなります。

この場合、「業務命令」と割り切って突き進む者もいれば、躊躇して、「一線を画す」者も出るでしょう。

しかし、「会社での居場所」が頭をかすめると、どこかで妥協点を見出し、やむなく対応してしまいます。

これは悲しいかな、「組織人として生きていくための性(さが)」なのかもしれません。

「幹部」や「上司」としても、目標を達成しないと「自分の地位が危うい」と感じた時は、ことが強行突破に及びます。

問題は、一度手を染めると今度は発覚を恐れて、表に出ないよう「内部で画策」することになります。

そこで側近として登用されるのが、間違っても裏切ることのない、「安心できる部下」です。

登用された「相性の良い部下」は、その後も高い評価を得て出世するわけですから、益々忠誠を尽くすようになります。

逆に、「己の立場を危うくする可能性のある部下」は、元々考えの合わない人種でもあります。
必然的に、重要なポストから遠ざけたり排除します。

昨今は、コーポレートガバナンスの重要性が指摘され、外部監査や社外取締役の導入なども進んでいます。

また、巷では「コンプライアンス(法令順守)」というフレーズも、すっかり市民権を得た感があります。それでもなぜか、「不祥事」が後を絶たずに起きてしまいます。

この現象は、どう考えても単純に「経営能力」とか、「管理体制」の問題としてだけで片づける訳にはいきません。

ひょっとして、経営陣の心の奥底に潜む「相性の良し悪し」が関与しているのではないでしょうか。

そう考えると「様々な矛盾」が理解できます。何といっても、「上に行けば行くほど好き嫌い」なのですから。
 
                    次回につづく

(本文は、弊著『なぜ職場では理不尽なことが起こるのか?』<幻冬舎ルネッサンス新書>より一部抜粋編集し、シリーズ化したものです)

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中山てつや
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