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【第10回】多面評価の盲点!匿名性は意外とない
成果主義とほぼ同じタイミングで一世を風靡したのが、「多面評価」の制度です(360度評価とも呼ばれています)。
これは「上司や部下、同僚が、対象者の社内における行動について観察した内容を本人にフィードバックする仕組み」で、いわゆる人事上の評価ではありませんが、それを補完する形で幅広く導入されています。
その結果を「人事評価の一部」として評価制度に組み込んでいる会社もありますが、一般的には評価の内容を補うもので、「上司の部下に対する偏った判断をけん制する役目」も果たすことになります。
この多面評価にも、忘れられない思い出がいくつかあります。以前勤めていた会社が、上司に対する無記名アンケート調査を行うようになりました。
そのアンケートは「極秘扱い」として、直接人事部に提出する仕組みだったので、日頃感じていることも率直に記入できます。
せっかくの機会なので、相性の決してよくなかった上司に関する問題点を、本音で書いて提出しました。ところが、この調査には「致命的な欠点」が隠されていました。
アンケートの記入内容には、評価者本人を「特定」できる項目があって、しかもそのままの状態で上司にフィードバックされていたのです。
当然のことながら、後日上司に呼び出されて「これはいったいどういうことだ!」としつこく問い詰められ、対応に四苦八苦しました。
そんな過去があったので、転職先で実施された多面評価では、特に注意して事に当たりました。
具体的には、上司が経営トップのお気に入りだったので、意に反して「よい点数を記入する」などです。
この上司、結構な「パワハラ上司」でしたので思いっきり低い点数をつけたかったのですが、あえて高く評価しました。
後で判明したのですが、この会社でも「誰が、誰を、どのように思っているのか」が分かってしまう仕組みで、危うく同じミスを犯すところでした。
尚、人事にいた同僚の裏情報によると、その上司に対する多面評価は「経営者の誉れ高い存在」ということもあってか、他の管理職と比べて「突出して高かった」そうです。
裏返すと、その会社の社員は皆「自ら生き残るための社内ルール」を、きちっと把握していたのかもしれません。
転職や転勤などで新しい職場に異動した時は「その場の空気を読んだ上で、慎重に行動しなければならない」ということでもあります(結構面倒くさいですが……)。
次回につづく
(本文は、弊著『なぜ職場では理不尽なことが起こるのか?』<幻冬舎ルネッサンス新書>より一部抜粋編集し、シリーズ化したものです)
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