2016年 23冊目『システム思考をはじめてみよう』
名著『世界がもし100人の村だったら』の著書ドネラ・メドウズさんが今までに書かれたエッセイの中から著者が珠玉だと思ったものをピックアップしたものです。
システム思考をもう一度学ぼうと手に取ったので、少し拍子抜けでした。
ただ、私の前提を気にしなければ、あっという間に読めて、参考になる本で す。
・森のキャンプ場で、二人の男がテントの外に座っていると、大きなクマが自分たちめがけて走ってきます。
一人の男が靴紐を結び直しました。
もう一人が「気は確かか、熊より早く走るなんて無理だぞ!」すると男が答えました。
「熊じゃない。お前より早く走れば良いんだ!」
ブラックジョークですね。
ただ、ニューイングランドで複数の製材業が増産し、森林を破壊し、各社も倒産してしまった話。
アメリカ中西部のトウモロコシ農家が、生産量を増やし続けた結果、価格下落を起こしてしまった話。
熊と戦わず、人や会社同士が戦って、結果産業を潰してしまった事実は枚挙にいとまがありません。
・成功者はどんどん成功者であり続けるルールがたくさんあります。
大口割引、所得税よりも低いキャピタルゲイン税制、低所得者の住居近辺にある環境汚染を引き起こす工場。
医療、教育などもそうです。
しかし、成功者はそれらを自分の努力だと感じています。
・スポーツだとコートを変える、下位チームからドラフトができる、など公平にするようなルールがあります。
・全てのものは繋がっている!と言われて、ネガティブなサイクルを示されても、人はそれらに関心を持ちません。
ポジティブなサイクルで会話をしてみませんか。
・省エネは、経済問題の解決策となります。家庭や企業、政府のコストを削減するからです。アメリカが日本並みに効率を高めるだけで、年間4300億ドルのエネルギーを半減できます。
すると国内の原子力発電所を閉鎖できるかもしれません。そうすれば、莫大な資金調達、政治論争、避難計画、使用済み燃料の処分も要らなくなります。
米国原子力規制委員会も不要になります。
ペルシャ湾の石油の必要性や中東戦争への関わりからも解放されるでしょう。
すると貿易赤字や財政赤字も驚くほど改善されるでしょう。
都会の空気もきれいなり、酸性雨や温暖化問題の解決にも大きく役立つでしょう。リサイクルも同様のサイクルの起点になります。
・魅力をコントロールすることで、成長をコントロールし、価値をコントロールできます。魅力的な街は、どんどん開発されます。
そして、開発する場所がなくなった時、あるいは開発しすぎて魅力を損なった時に開発が終わります。それをコントロールしませんか。
・フィードバックも重要です。
プリウスに乗るとエコドライブであるかどうかフィードバックしてくれます。
それにより更にエコドライブが進みます。家のメーターも燃料だけではなく、それを金額換算して表示するだけで、使用量が減ります。
同様にホワイトハウス、主要箇所に国の借金の変化を載せてはどうでしょう。
おそらく政府の無駄使いが減少することでしょう。
とても面白かったです。
▼前回のブックレビューです。
▼新著『業績を最大化させる 現場が動くマネジメント』です。