2016年 53冊目『新卒無業』
リクルートワークス研究所の大久保さんの本ですね。
これは、若者の側から就職しない状況を読み解いた本です。
・学校基本調査によると、大卒者のうち卒業も就職もしていない人の割合は、91年5%、96年16%、2001年21%と大幅に増加。
このままでは、日本は立ち行かなくなるので9つの提言をしています。
・教育と職場をつなげよう:ドイツでは10歳で道を選ぶ機会がある。アメリカではジョブシャドウイングという1日特定の職種について歩くと言うのが人気。
・正社員と言う呼び名を廃止しよう:欧米ではフルタイムかパートタイムか。パーマネントかテンポラリーかと言う区別しかない。正社員に対しての非正規と言う否定語がない。また、同一労働同一賃金も進んでいる。
・働くことに意欲が湧く社会制度にしよう:専業主婦の優遇制度(103万円問題)やサラリーマンの妻の年金の第三号被保険者を無くそう。手厚い失業給付(月額30万以上)も、職安では30万以上の求人が無い事もあり、無くそう。
・コーポレートユニバーシティと職業能力基準を創ろう:業界単位のCU(企業内教育の外部開放)、NVQ(職業ごとの能力基準書と能力検定)、職業ハンドブック(職業ごとの傾向、賃金、必要な能力などが記載されている)、職種別人材紹介業などを整備しよう。
・学習の時間と賃金を支援する仕組みをつくろう:ベルギーの有休就学休暇(PEL: Paid Educational Leave)を整備しよう。
・自分の能力をマネジメントしよう:「知識・技術」「コンピテンシー」「基礎能力」の3階層で整理できる。特に対人・対課題で、「知識統合型のコミュニケーション能力」「目標設定能力」「継続学習能力」を強化しよう。
・コントラクター市場を創ろう:個人事業主531万人。現在は開業率が廃業率を下回っている。若年層は家族もおらず、リスクが小さい。ここを活性化させよう。
・お試し機能をつくろう:新卒紹介予定派遣、新卒契約社員、パートタイム学生などを強化し、副業を解禁しよう。
・本物のキャリアカウンセラーを創ろう:就業経験があるキャリアカウンセラーを大学や企業に配置しよう。
おもしろい本でした。
▼前回のブックレビューです。
▼新著『業績を最大化させる 現場が動くマネジメント』です。
この記事が参加している募集
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?