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2024年 19冊目『錬金術の歴史』
確か松岡正剛塾の講義の途中で出てきた参考図書で手に取りました。
大学時代に材料物性だったので少しは土地勘がある分野でしたが、全く知らないことだらけでした。
昔フランスのINSEADのマーケティングのコースに参加したことがあります。
その際に、固有名詞が人の名前か会社の名前か、はたまた地名なのか分からずに(もしかしたら知らない単語の可能性もありましたが)で困ったのを思い出しました。
カタカナなのですが、まったく頭に入ってこない。
そもそも錬金術で残っている書物は、著者にとっては一攫千金できる話なので、それが一子相伝する人以外に広まっては困る。
だから、その書物だけを読んでも分からないようになっているのです。
物語になっていて、別の情報を与えられた人がその情報を付加すると、錬金術の話に読めるというものなのです。
だから、本当?って話のオンパレードでした。
例えば王の結婚式に招かれて、城に到着した4日目に全7幕の観劇を見ます。
その後、王族たちは黒い衣装に着替え、部屋も黒く変わるのです。
結婚するカップルを含む3組の王と王妃6人が目隠しをされます。
そこに黒装束の男が入ってきて、6人の首を斧で刎ね始めるのです。
この処刑が終わると、処刑人自身の首が切り落とされるのです。
この惨劇には続きがあり
6日目には、大釜で熱した沸騰した湯を王たちの遺体へ注ぐのです。
その上に黄金の球体を吊り下げ、そこに太陽光が集められ加熱します。
やがて冷却した球体を割ると、そこには卵があり、中から一羽の鳥が現れます。
血まみれで弱っている鳥に斬首された処刑人の血を飲ませると、鳥は美しく立派な姿に変わり始めるのです。
次に鳥は風呂へ入れられて、首を切られて焼かれてしまいます。
いくつかの工程を経て、その灰で作られたスープの中から身長10cmほどの男の子と女の子が姿を現します。
先ほどの鳥の血を与えられ、2人はぐんぐんと大きくなり、大人の大きさになるのです。
目を開いた彼らはまさに斬首されたはずの王と王妃だったという結末なのです。
この話は化学の結婚と名付けられているそうです。
この過程は、錬金術の化学的な作業工程を意味しているそうです。
こんな話から始まり、その後、地中海、イスラム世界、ルネッサンスとその当時の奥義書、そして近代化とオカルト化と話は進みます。
正直手に負えませんでした
▼前回のブックレビューです。
▼新著『業績を最大化させる 現場が動くマネジメント』です。