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2017年 44冊目『巨大ブラックホールの謎 宇宙最大の「時空の穴」に迫る』

宇宙関連の本2連発です。
巨大ブラックホールの本です。

単なるブラックホールではなく、巨大ブラックホールです。
ありとあらゆる天体の中で最も重力が強いのがブラックホールです。
その中でも最も大きくて重い種族が巨大ブラックホールです。

ブラックホールは、その強烈な重力によってまわりの光や物質を飲み込んでしまい、それらを二度と出しません。
まさに怪物です。

光すら出てこないので、それ自体は暗黒の天体です。

しかし、巨大ブラックホールは、周囲の物質を大量に吸い寄せることで、じつは宇宙で一番明るい天体として輝くこともあるのです。

このような両極端な成立をあわせもつ、宇宙で最も奇妙な天体が巨大ブラックホールなのです。

まずブラックホールとは何か。
光が出てこないということです。
高速は秒速30万キロメートル。

1秒間で地球を7周半するスピードです。
これが脱出できないわけですから、

ブラックホールの半径R=2GM/cの2乗 から RとM重量の関係性が導き出せます。

例えば、地球は質量が6×10の24乗半径は6400kmです。
地球がブラックホールになるために、どれくらい縮めばよいのか計算できます。

すると半径は1㎝!!!!以下。

同じく太陽で計算すると。
半径3㎞にできるとブラックホールに変身するのです。
信じられません。

恒星は、水素が核融合して燃えています。

水素がなくなると、ヘリウム同士がくっつき、炭素や酸素といった思い元素の反応が起きます。

順に重い元素が反応するのですが、どこかで核融合が止まります。

太陽クラスだと炭素か酸素くらいで止まりそうです。
核融合に必要な高い温度が得られないからです。
すると、重力に逆らう力が得られないので、つぶれてしまうのです。

結果、白色矮星という大きさになります。
太陽だと、現在の直径140万kmから1万kmくらいになります。
さらに小さくなると中性子星になります。

太陽の10倍以上重い星が燃え尽きたときに作られます。
その際に、超新星爆発が起き、明るく輝きます。
これが重たい星の最後の瞬間です。

太陽より30倍以上重い星であれば、さらに小さくなり、それがブラックホールになるのです。

一方の巨大ブラックホールです。

巨大ブラックホールは、それぞれの銀河の中心に1つだけあります。
銀河の中心が明るく輝いている写真がありますよね。
その中心に1つだけ存在しているのです。

ちなみに巨大ブラックホールの重さは、太陽400万個です。
つまり、通常ブラックホールの10万倍以上の重さなのです!
大きさは1200万㎞。
地球と太陽の距離=1AUの8%です。

ちなみにさらに大きな巨大ブラックホールもあります。
M87銀河では、太陽の60億個分の質量があると考えられています。
その半径は180億㎞、つまり120AUになります。
つまり、太陽系程度の大きさになります。

大きく感じますが、銀河系は数十万光年の半径があり、太陽系は数万分の1光年ですので、その小ささ?がよくわかります(笑)
巨大ブラックホールが明るいのはなぜでしょう?
それは周囲のものを引っ張って飲み込むからです。

重力エネルギーを開放するのです。
E=G×Mm/rの式であらわされます。
Mは物体を引っ張る天体の質量、rはその半径、mは引っ張られるものの質量。

これがとても効率が良いのです。

理由ははしょりますが、核融合の10倍程度、核分裂の100倍程度、化学反応の10億倍程度効率が良いのです。

ちなみに現在想定するブラックホールの想像図は、中央にブラックホールがあり、その周囲にガスが回転しながら落ちていく降着円盤(ブラックホールのエネルギー源)、と垂直に伸びるジェットの3パーツからなると考えられています。

ちなみにジェットの長さは、けた違いに長いので、発見された例が複数あります。

ブラックホールと降着円盤を分離して発見した例はまだないようです。
ちなみに巨大ブラックホールは、200年前、まだ銀河という概念がなかったころ、ジョンミッチェルという科学者が、予言したそうです。

観察方法も予言したということですから天才ですね。

現在は様々な方法で、巨大ブラックホールの観察合戦が起きています。
著者が予想するには、この10年程度で、観察の報告が起きるのではないかという話です。

ざっくりいうと、何百キロも離れた複数の観察装置のデータを統合して、解析を行うそうです。

精密な時間を測定する方法、間を埋めるソフトウエアの進化などが次々に起こり、可能性が高まっているそうです。

発見が楽しみになる本です。

▼前回のブックレビューです。


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