2016年 5冊目『ナチスの戦争1918ー1949』
ナチの反ユダヤ主義を象徴とした人種戦争とは何だったのか と帯にあります。
知らなかった事が沢山載っていました。読みながら言葉を失いました。
ナチスが第二次世界大戦を起こした。
アウシュビッツでユダヤ人を大量に虐殺した。
日本とイタリアも参戦し、最終的には米英露などの連合国軍に敗れた。
これくらいの大雑把な知識しかありませんでした。
この本によると、ナチはアーリア人が最も優秀な民族であり、他の民族を壊滅する事が重要であると考えていたそうなのです。
つまり、戦争を起こし、他民族を無くすことが目的でした。ですので、ユダヤ人以外のロシア人(彼らの認識ではアジア人)や他のヨーロッパ人を殺害する事に抵抗はありませんでした。
ですので、戦争中に捕虜にした兵隊や一般の人々を殺す事を厭いませんでした。
捕虜にして、奴隷にするか、殺すかという事でした。
最大に殺したのは、ユダヤ人も多いのですが、ロシア人だそうです。
東方から蛮族であるロシア人がやってくる。それを防がないといけないという論理だったようです。
ナチは他民族を殺すだけではなく、敵前逃亡したり、戦争に賛成しないアーリア人にも容赦がありませんでした。
また、障害がある人は子供が出来ないように手術をしたり、殺害したりしたようです。
彼らか見て、劣等な民族も同じく断種されたようです。
一方で、アーリア人は増やさないといけないので、健康な女性はたくさんの子供を産む事が奨励されたようです。
本の中にも、すべての人が賛成していたわけでは無いが、徐々に世の中が変わってきた様子が書かれていました。
本当に怖いです。
ドイツは第一次世界大戦で敗戦し、国土の一部をポーランド、フランスなどに割譲され、また膨大な賠償金を払わされました。
戦争を起こす理屈は、アーリア人が安定的に生き続けるためには、農産物を収穫するための土地が圧倒的に少ない。
西側であるフランス、東側のポーランドやソ連の土地を奪取し、そこでアーリア人が豊かに生きていくための収穫を得るのだと言うロジックです。
ですので、全てを取るまで戦争は終わりません。
終戦の仕方など想定していなかったのです。
ですので、1945年になり、敗戦が見えているにもかかわらず、最終月まで、ドイツ軍は抵抗を続け、ドイツの街にいる市民も抵抗を続けました。
結果、最後の数ヶ月で戦争全体の25%の死傷者を追加する事になりました。
そして、捕虜の惨殺も終戦ギリギリまで続いたそうです。
劣等民族を殺す事自体が目的だからです。
将校のうち一部の人たちは終戦を進言したそうですが、ヒトラーは聞く耳を持たなかったそうです。
最後には、軍隊の階級をなくして、1人でも戦えという指示までしたそうです。
終戦になるに従い、ドイツ人に対して連合国軍側も残虐な行為をします。
自分たちがやった事をやられたわけです。
ドイツの一般の方々は、その最後の印象が強く、悪いリーダーであるヒトラーに騙され、ひどい目にあったと思っているそうです。
これは日本人の第二次世界大戦への感覚に似ている気がします。
私が断片的な知識しかなかったため、とても学びが多かったです。よむのがつらくなりますが、お勧めです。
▼前回のブックレビューです。
▼PIVOTに出演しました。よかったらご覧ください。