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サブ45達成 | 第44回つくばマラソン(2024)出走記

周りから東京マラソンに次いで走りやすいと聞いていたつくばマラソン。
今年のシーズン前半は日本屈指の学園都市で開催されるこのレースに照準を合わせてきた。

この記事ではその取り組みについてまとめていく。
文句なしの走りができてしまった。


目標と意気込み。

MUSTの目標は自己ベスト更新。
WANTの目標は2時間45分切りの達成。

シーズン後半に控えた東京マラソンでの2時間45分切りをMUSTとして取り組んできたが、数値的なものは早く目標達成するに越したことはない。

二週間前の世田谷246ハーフマラソン後に改めて自分の身体との対話を繰り返し、今回は現実的に考えて2時間46分ほどが落とし所かと考えていた。

フルマラソンは失敗したくない。
その失敗ってなんだったんだっけ。
失速だけが失敗か?
向き合った方がいいだろうと考え、直前まで敢えて考え抜いて、最後は気持ちで決めることにした。


結果

グロスタイム: 2時間44分54秒
ネットタイム: 2時間44分49秒

これ以上ないのではないかと思うくらい綺麗に目標を達成することができた。

2時間45分切りという数値上の目標を掲げて練習を取り組み、当日はただ一生懸命取り組んだ結果、結果として目標を達成することができた。
踊らされず、踊り切れた実感がある。

滑り込んだー!

レースの振り返りと分析

今まで走ってきたレースの中で抜群に走りやすかった。
スタート時点での気温は6度。ゴール時点では12,13度あたりだろうか。
風もほとんど感じることをなく、記録を狙うにはうってつけの条件でのスタートだった。

会場に向かう道中、同行してくれた彼女に「これは(記録)出ちゃうぞ。」と、言霊のように繰り返し話していた。

直前まで移動時点で、今日はやっぱり2時間45分切りを達成しておこうと決めた。
道中での予想タイムは2時間44分37秒。
結果としては予想タイムより12秒遅かった。
さいたまマラソンは予想比-7秒でのフィニッシュだったため、当日の予想タイムはなかなか精度が高い。


スタート~10km地点

先頭から8列目ほどからスタート。
周りには明らかに実力者らしき方々が取り巻いていたので、スタート直後は接触・転倒のリスクを避けるために3分30秒ほどのペースで突っ込む。
いい位置でスタートできたのか、1分経つか経たないかくらいで自然と3分50秒ほどのペースに落ち着くことができた。

私はフルマラソンを走る時はアップをしないため、いつも通り最初の5kmはアップ感覚で走り進める。
この後42kmも走るのに、せっかく多めに摂ったエネルギーやせっかく休めた身体を使いたくないのだ。

リズムよく淡々と走っていく。
スタート時に勢いよく突っ込んでいた集団を少しずつ拾っていく。
結構長めにスタートダッシュを決め込んでいたようだ。早めに離脱できてよかった。

最初の10kmは無心で走ることができた。
その分、あまり印象的な出来事もなく記憶があまりない。


11km~20km

後方から大きな集団が迫ってきた。
2時間40分〜2時間50分を狙う人のボリュームがこんなにある大会もなかなかないだろう。

12km辺りで一つ目のジェルを補給。
馴染みのランニングショップで取り扱いを始めたマンゴー味のジェル。
サラサラ系で味も美味しく飲みやすかった。レース後半向けにもいいかもしれない。

「あれ、中野さんじゃない?」
何も考えずに走っていたところで急に自分の名前が聞こえてちょっとビビる。
振り返るとそこには何度か練習を共にした仲間が2人いた。

お久し振りです!と挨拶を交わし、お互いのレースプランについての情報交換をした。
3分50秒ペースで世間話をできるくらいには練習を重ねてきたってこっちゃ。
お互い2時間45分切りを目安にしていることが分かったのでそのまま合流することに。

彼らの背後には20人ほどの集団ができていた。
余裕のある綺麗な走り方をする2人組がいたら、そりゃついて行きたくなるわな。

めちゃくちゃ引き連れてますね!と話しながら走っていたらあっという間に20km地点に。
ここまで3分50秒ちょっとのラップで来ていたので、このまま順当に進捗できれば目標は達成できそうだという手応えを感じていた。


21km-30km

この辺りで集団に動きが出始める。
少し前を走っていた集団との距離が少しずつ詰まり、自然と合流。
縦長の集団になっていたが、給水地点の経由をトリガーに集団は少しずつバラけていった。

22km辺りで少しアキレス腱や踵あたりにピリつきを感じた。
これは初めての感覚だったので焦る。
接地時に発生する足首の横ブレから来るものだろうか。
接地ポイントを少し手前に修正して事なきを得る。ナイス判断。

24km地点で二つ目のジェルを摂る。
後半の内臓疲労に備えて早めに摂っておく作戦。
WINZONEのオレンジ。レースも中盤なのでカフェイン入りのものを入れておいた。
これも飲みやすい。安いし。

補給や給水はリズムが狂うのでなるべく回数を減らしたい。
今回、給水は取りづらかったので3回に1回ほどしか摂らなかった。
テーブルの間隔が狭いのと、ほとんどが片側サイドのみの展開だったので集団の中では取りづらい環境だった。

気候のコンディションが良いことを理由に給水機会は損切りした。
これは今振り返っても良い判断だったと思える。


31-35km

あっという間に30km地点に。変な感じ。
まだ余裕はある。
レース中、心拍数は見ていなかったが呼吸に余裕を感じていた。

アキレス腱や踵の違和感についても解消されていたため、タイムを落とす要因は薄れていた。
集団が少しペースダウンしていたが、これは集団を引っ張ってくれていた有志ペーサーの方が意図したものだったようだ。
作った貯金をもとに、失速を防ぎながらラストスパートに備えていたのだろう。

この作戦に乗り、35kmまでは逸る気持ちを抑えてひた走る。


36km-フィニッシュ

身体が動く。不調はない。脚が回る。
こんなに条件が揃った状態で35km地点を迎えたことはない。

昨シーズン、これまた気持ちよく走れたさいたまマラソンでさえ、37km地点で幻覚を見るくらいには追い込まれていた。

「タイミングを計ってこの集団から抜け出そう。」
出し切るためにそう決めた。
自分のレース。攻防のバランスを決めるのは最後まで自分だけだ。

38km地点。筑波大学構内に戻ってきて少し経った頃、飛び出した。
3分50秒を切るペースまで上げてテンポよく走る。

大学に入ってからの5km弱はとても長く感じた。
車道にあるちょっとした段差が集中力を削ってくる。
前を走るランナー達も脚があまり上がっていない。
シューズを地面に擦る音が目立ってきた。

ここで腰を入れ直し、流れに引きづられないように気合を入れる。
そんな中で彼女の応援ポイントに差し掛かる。
無事、その姿を見つけてなけなしの余裕を見せる。ありがたい。

もともといた集団の上位がスパートを掛けて追いつかれた。
女子2位の選手が仕切りに沿道から「追いつけるよ!」と声掛けを受けていた。
辺りのボルテージが上がる。私も必死に食らいつく。
女子1位の選手の姿はもう捉えられていた。

女子1位の攻防戦の背景で自身の戦いを繰り広げる。
それらの声援の中に「2時間45分切れるよ!」というものもあった。

あれ?余裕持って切れると思ってたけど、あまり余裕なさそう?
働かない頭で、手元の時計を見る。
あー、結構ギリだわ。
あと8分くらいで2kmちょい走らないとダメだ。
ペースを落とせる余裕は一つもなかった。

目の前にはこの大会唯一と言っていい難所のちょっとした坂が見えた。
集中力が切れかけたが、沿道の声援を糧に振り絞る。
幸いなことに脚は回り続けていた。

時計を睨んで覚悟を決めて競技場に突き進む。
目前で女子の優勝攻防戦が繰り広げられているため、女子と男子のゴールが左右で別れていた。

男子は左!とアナウンスがあったが、左がどっちなのか分からなくなっていた。
右に逸れながらもギリギリフィニッシュ。

でかいSEIKOの時計を見て目標の2時間45分を切れたことを確認。
安心感と達成感で胸がいっぱいになる。

ゴールしてすぐに有志ペーサーの方に感謝を伝えた。
すぐ後にゴールした仲間もネットタイムで2時間45分切りに成功したと、一緒にお互いの健闘を称え合った。

もうすぐゴールするであろう仲間を待ちながら、このプロジェクトを成功させることができた喜びに浸った。
たった一人の、自己実現を目指すだけの、自己満足の極みのようなプロジェクト。
私にとってはこれが本当に楽しいんだ。

心から笑えた。

おわりに。

前回のさいたまマラソンから約9ヶ月。

夏場も月に400km〜450kmの距離を踏んでこの日のために準備してきた甲斐があった。

振り返ってみると、現時点で今年ランニングに費やしてきた時間はちょうど300時間だった。
圧縮して丸々12.5日分。こってり。

大好きなビールも3週間くらい絶ったし。
(ノンアルコールビールは1ケースしっかり消費したわけだが。)

3月の東京マラソンまでレースの予定はない。
一旦仕切り直して、1からとは言わず、40くらいからまた100に積み上げて行きたいと思う。
走ること以外にもやりたいことたくさんあるんだよな。幸せなことだ。

存分に脇目を振りながら、自分の人生の旨みを育てて収穫して貪っていきたい。

今日はただただ熱い湯に浸かって漂っていたいから、近くの銭湯までジョグってぷかぷか浮いてこようと思う。

女子の優勝争いの背景に私の姿も映っていたので載せておく。

つくばマラソンを走られたすべてのランナーのみなさま、本当にお疲れ様でした。
声援を寄せてくれたすべての方、本当にありがとうございました。

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nakanoryo
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