【エッセイ】どうしていいかわからなくなっちゃった
就活、嫌だ。
「嫌だ」と言っててもしょうがないのは重々承知だが、それにしたって嫌だ。
この間、就活の為に、着慣れないスーツを身に付け、前髪をこれでもかってくらい横に流して固めて証明写真を撮った。
出来上がった写真に映るぎこちない自分を見て、「ああ、なんか無理だ」と思った。
目の前がくらくらして、悲しくてつらくてたまらなかった。
わたしの人生の目標は「大学で勉強すること」だった。
幼い頃のわたしにとって、それは遠い遠い将来のことだった。
だから、その後のことなんて考えてなかった。
だが、それは案外早く訪れた。早く訪れ、そして、あっという間に終わろうとしている。
幼い頃のわたしは、いわゆる「かわいげのない子供」で、みんなが「ケーキ屋さんになりたい」とか「お花屋さんになりたい」とか、かわいい夢を語る横で、「弁護士」とか「学校の先生」とか実に真面目な夢を語っていた。
「真面目な優等生」、それがわたしの「一側面」だ。自分で言うのは、かなり恥ずかしいが、まあ「優等生」かはどうかは置いておいたとしても「真面目」だとは思う。
でも、上記の「真面目な夢」は、本当の「夢」ではない。
「将来の夢」を語らなければならない時、その夢からずっと目を逸らしてきた。
心のどこかで、本当の「夢」は叶うわけがないと諦めていたし、「真面目な優等生」の「わたし」が、「安定した職業」を求めていたからだ。
昔から、何より本が大好きだ。
ずっとずっと、本が、物語が、わたしの人生だ。
「作家になりたい!」
そう思わない訳がないだろう。
上記のかわいげのない夢だって、突き詰めれば「本が買えなきゃ困る」から、無難なものを選んでるだけなのだ。
就活になって、「本当の夢」から目を逸らせなくなった。
わたしは、本当にのろまだ。
今更、「作家になりたい」なんて。
「真面目なわたし」は、戸惑っている。
「真面目なわたし」は、「趣味と仕事は違う、分けるべきだ。暮らしていけなかったらどうする?」と考えている。
「真面目なわたし」は、就活でいろんな職種のいろんな説明を聞いた。
でも、ダメだった。
考えれば考えるほど、「わたし」がやりたいのはこれじゃないと思ってしまう。
今更になって、「わたし」はわがままになってしまった。
どうしていいかわからなくなっちゃった。
今まで、わがままなんて、したことないから。
21歳になったわたしは、凡人で、才能なんてない。
「作家になりたい」、その思いだけが頭から離れないのろま。
今更、夢を見てもいいのかな?