【週末うちの一皿】船内凍結甘えび 年末の贈り物について
こんにちは、さかな一代の中乃一です。
いきなりですが、あなたの週末に、お魚との「未知との遭遇」をお届けしていこうと思っています。「うちの一皿」にふさわしく、さかな一代の大人たちが、あなたの食卓の一皿に「魚料理」が加わることを願って、静かに連載を開始します。日本の四季折々の旬や、伝統的行事、風習などの期限をたどりながら、魚とのかかわりをお伝えしていければと思います。「肉料理には負けないぞ!(笑)」
さて、第1回でご紹介したいのは「船凍甘エビ」。いきなり魚じゃないじゃん!と突っ込みをいただきそうなセレクト、それががまた、気まぐれな市場人のさかな一代らしいと思っていただけると幸いでございます。
12月に入ってすっかり遅れてしまった、お世話になった方への贈り物の手配について、あれやこれやと考えながら、さてと、重い腰を上げると、小売店やコンビニの店先のカタログ類はすでに撤去されているし、時期遅し。あちゃー。。
現代の年末の贈り物は、「今年お世話になった、大切な人に贈り物を送る」風習として存在しています。クリスマスプレゼントとはまた違った、この年末の贈り物文化の歴史を軽くたどってみましょう。
もちろん今でも盆暮れの義理事のうちの「お歳暮」として、個人や企業の風習として残っていますね。送られてくる商品を見ると、特に何を送るかの縛りは無いようです。個人なのか、企業なのか、贈る相手を考えながら選んでいますよね。ひと昔前なら、ご進物なら海苔というくらい、高級海苔が選ばれていて、新巻鮭なども含め、水産商品は贈り物のファーストチョイスでした。
今のお歳暮スタイルになったのは、江戸の商人の「掛け売り」の清算と深くかかわっていると言われます。現代のように整備された金融システムがなかったとはいえ、仕入れの清算が盆暮れの年2回だっていうんだから驚きです。「それはそれは長い間支払いを待っていただいて、、、引き続きよろしくお願いしますね。」なんて言いながら、江戸時代の商人は支払いに行くのに何か「ギフト」を持って行ってしかるべきだったのでしょう。
お歳暮は、年越しの「御霊祭」(みたままつり)で塩鮭、するめ、数の子、塩ぶり、魚介類の干物などを祖先の霊に供えることから来ていますので、それらの贈り物が好まれました。御霊祭は、自然の恵みへの感謝として、旬のものを神様へお供えする、それも、当時の最新のテクノロジーで最大の感謝を表そうと、当時の最新技術を使った保存性に優れた塩干物が中心になったと想像します。
ここで、やっとお魚との接点が見えてきました(ニヤリ)。この行事のため、ご家族が年越しに集まる際に、これらのお供え物を持ち寄っていたのでしょう。
ちょっとそれますが、塩ぶりについては、福岡県を中心とした地域に「結婚した奥さんの、いい嫁ぶり」に感謝して、ご結婚された年の年末に奥さんのご実家へ塩ブリを送る風習があります。ちなみにお返しは、するめだそうです。漁師の村々での風習を、塩ぶりを扱う商人達が広めたそうです。マーケッターたる博多商人のエピソードとして、今の日本のバレンタインデイ定着を連想してしまいました。
日本の年末の贈り物のルーツをたどると、いろいろ背景が見えて来て面白いですね。要するにルールなんてないんで、今年1年の自分があれたことを振り返り、お世話になった人や組織に感謝の気持ちを送る、気持ちのこもったものであればお手紙でもよいのです。
ぼくは、これがマナーだとか気にせずに「大切な人に」「お世話になった人に」素直に感謝の気持ちを送ることにしました。
国産船内凍結甘えび 北国赤海老
「兵庫県」という場所のイメージ。兵庫と言えば神戸!おしゃれな街、都会的イメージ。だからぼくたちが兵庫県って甘エビうまいんですよ、と言っても、一般のみなさんは少しピンとこないらしい。瀬戸内海でエビですか?と思われてしまう。
兵庫県には、日本海がある。今日の主役は浜坂港です、兵庫県の北西端、美方郡新温泉町の沿岸部に位置しています。新温泉町は、北は日本海、西は鳥取県に接する地域で、自然公園指定区域が町面積の46.3%を占め、海・山・温泉がある豊かな自然環境を背景に、漁業の他にも、但馬牛を代表する畜産業、観光業などが主産業な地域です。
★船内凍結甘えびの中でも最も評価が高い甘えびです。
なんで兵庫の甘えびの評価が高いのか。それは、日本海の中央部の「大和堆」、寒流と暖流の境界線に、堆と呼ばれる浅水域があり、周辺海域は日本有数の好漁場だからです。最も浅いところで200M少しという海の中の台地が、日本海の底に広がっていると思うと、とても興味深くないですか? もしかなうなら、一度水を抜いてみたい。
それから、浜坂港の「富美丸」、船内凍結甘えびで最も評価の高い網元さんです。どこに出してもまったく恥ずかしくない最高品。ぷりぷりの食感、とろけてしまう甘さは、最新鋭の急速冷凍設備の船と、豊富な経験をもつ網元さんの水揚げ後の手当の良さがなせる生産品だからこそです。
★鮮度、色目が完璧。エビ歴の長い市場人が「こんな綺麗な色、久しぶりというか初めてみたかも!」のお墨付き。
一般名甘えびで流通する「ホッコクアカエビ」は、南蛮エビとも呼ばれる程、赤唐辛子のように真っ赤。エビ歴の長いさかな一代の大人が「こんな綺麗な色、久しぶりに見た、というか初めてかも。」と感動していました。
週末うちの一皿:甘えびのお刺身とエビみその味噌汁
今日の一皿を作って、味わっていきましょうか。北国赤エビの頭を取り、ていねいに殻を剥いていきます。でも、エビの頭は捨てないでくださいね。
北国赤エビは、雌雄同体の生き物です。どういうことかというと、オスとして生まれて、成長するとメスになるというもの。人間からすると不思議なメカニズムですね。メスになり抱卵する前の北国赤エビは、頭の部分にミソがたっぷりあります。これがお目当ての人もいるくらい美味しいです。
だから、剥いた頭は、焼いたり、揚げにしたりて美味しく食べられます。手軽な方法だと、味噌汁の出汁にすると、とっても美味しいエビの出汁が出て、上品なお味噌汁が味わえますからおすすめです。
週末うちの一皿は、甘えびのお造り。極上の甘さを堪能しながら、エビみその出汁の効いた味噌汁をじっくりと味わう。
味わいながら、ふとこの一年を振り返っていました。
自分だけが完全だと思わないようにしよう。他の意見にもそれぞれに長所があり、自分こそが理論的だと信じているけど、もっと意見を聞いて違う考え方に耳を傾けないとな、と。あの人とはいろいろ意見はちがったけど、最終的には学ぶことがあった。
改めて、この考えに至った感謝の気持ちと一緒に、この甘えびをあの人への贈り物にしようと決めました。
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では、また次回をお楽しみに! サラバジャ。
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