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『死にがいを求めて生きているの』朝井リョウ
ゴールデンウィーク中に読了した一冊。
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読み始めてから知ったけれど、
『螺旋プロジェクト』という名の8作家による文芸競作企画で刊行された一冊らしい。
伊坂幸太郎さん発信の
「共通ルールを決めて、原始から未来までの歴史物語をみんなでいっせいに書きませんか?」
という呼びかけから始まったコラボ企画で、
8つの物語は「つながって」いるとのこと。
そんなの絶対におもしろいじゃないか。
他の『螺旋プロジェクト』作品も読んでみたい。
写真は、GW中に食べたもつ鍋。
茶色いモンは、ウマイ。
この本を最後まで読んで、
印象深い言葉がいくつかあった。
ナンバーワンよりオンリーワンは素晴らしい考え方だけど、それはつまり、これまでは見知らぬ誰かが行ってくれた順位づけを、自分自身で行なうということでもある。
見知らぬ誰かに「お前は劣っている」と決めつけられる苦痛の代わりに、自ら自分自身に「あの人より劣っている」と言い聞かせる哀しみが続くという意味でもある。
競争が減り、個性や自分らしさを求められるようになった平成の時代。
「人と比べなくていい」「みんな違ってみんないい」と言われたところで、どうしたって比べてしまう。
だけど人間は、自分の物差しだけで自分自身を確認できるほど強くない。
他者と比較して、その差異によってようやく自分の輪郭を掴むことができる。
しかし、外から目に見える順位づけや評価をされなくなった世界では、
他人軸ではなく自分軸で生きていかなくてはならない。
自分で自分を評価しなくてはならない息のしづらさは、
就活中に私が身に染みて感じたことだ。
与志樹が、中学の同級生に言われた言葉。
「相変わらず、手段と目的が逆転してる。」
「何かを成し遂げた人」になりたい。
「生きがいを持った人」になりたい。
でもその「何か」や「生きがい」の具体はわからない。
目的を達成するための手段なのか、
手段が目的となってしまっているのか。
誰とも比べなくていい。
そう囁かれたはずの世界は、こんなにも苦しい──
朝井リョウは共感性羞恥を死因とした大量殺人を目論んでいるんじゃないか?と思うほど、人の心中を丸裸にした一冊(めちゃくちゃに褒めています)。
私が鈍感で、朝井リョウさんが殺人犯にならなくて良かった‼️
同著の『正欲』が今月末に文庫化されるのを
心待ちにしている٩(^‿^)۶